犬のしわの皮膚炎(間擦疹)
間擦疹は、犬の皮膚のシワやたるみ部分に生じる皮膚炎の一種です。シワが多い犬種(ブルドッグ、シャー・ペイ、パグ、バセットハウンドなど)に特に多く見られます。間擦疹は、湿気、摩擦、細菌や酵母菌の繁殖などが主な原因となり、これらが組み合わさって皮膚の炎症を引き起こします。
原因
1. 湿気と摩擦
シワや皮膚のたるみ部分は通気性が悪く、湿気がこもりやすいです。この湿気が皮膚をふやけさせ、摩擦が増加し、皮膚のバリア機能が損なわれます。この状態が続くと、炎症が生じ、間擦疹が発生します。
2. 細菌や酵母菌の繁殖
湿った環境は細菌や酵母菌(特にマラセチア)の繁殖に適しています。これらの微生物が過剰に繁殖すると、皮膚に感染を引き起こし、炎症やかゆみを伴う間擦疹を引き起こします。マラセチアは特に湿気の多い場所で繁殖しやすく、皮膚炎の悪化に寄与します。
3. 皮脂と汚れの蓄積
シワ部分には皮脂や汚れがたまりやすく、これが刺激となって皮膚炎を引き起こします。特に皮脂が過剰に分泌されると、それが細菌や酵母菌の栄養源となり、感染のリスクが高まります。
症状
発赤(紅斑):シワの間の皮膚が赤くなる
かゆみ:犬が頻繁にかく、あるいは擦りつける行動を示す
湿り気:皮膚が湿っている、またはぬるぬるしている感じがする
におい:感染が進むと悪臭が発生することがある
かさぶたや膿:重症の場合、皮膚にかさぶたや膿が見られることがある
予防と管理
1. 日常的なケア
シワ部分を清潔に保つため、定期的に拭き取る。特に抗菌性のあるペット用クリーナーを使用すると効果的です。入浴後や濡れた場合には、シワ部分を完全に乾かすことが重要です。
2. 適切な環境管理
湿気を抑えるために、犬の生活環境を清潔で乾燥した状態に保ちます。特に湿気の多い季節や場所では、エアコンや除湿機を使用して湿度をコントロールすることが推奨されます。
3. 定期的な検査
獣医師による定期的な健康チェックを受けることが重要です。シワや皮膚のたるみ部分の状態を定期的に確認し、早期の兆候を見逃さないようにします。
治療
1. 局所治療
抗菌性クリームやローションを使用して感染を抑える。獣医師の指導のもと、適切な薬を使用します。特に抗菌剤を含むクリームや軟膏は効果的です。
2. 抗生物質
細菌感染が重症の場合、経口抗生物質が処方されることがあります。抗生物質の使用は、感染の広がりを防ぎ、炎症を抑える効果があります。
3. 抗真菌薬
酵母菌感染が原因の場合、抗真菌薬が使用されます。マラセチアなどの酵母菌感染には、特に有効な治療法です。
4. 抗炎症薬
かゆみや炎症を抑えるために、抗炎症薬(ステロイドなど)が使用されることがあります。これにより、犬が過剰にかくことを防ぎ、二次的な感染のリスクを減らします。
まとめ
間擦疹は、特にシワが多い犬種において一般的な問題ですが、日常的なケアと適切な環境管理によって予防することが可能です。症状が見られた場合は早期に獣医師の診察を受け、適切な治療を行うことが重要です。定期的なチェックと清潔な環境の維持が、犬の健康を保つ鍵となります。