愛犬の歩き方が変?痛がらなくても要注意!原因と対策を解説

痛がっている素振りはないのに愛犬の歩き方が変だと感じたら、心配になりますよね。痛みを伴う場合はケガの可能性が高いものの、痛がっていないように見える場合は神経や内耳の病気などが原因かもしれません。

今回は、犬の歩き方に異常が見られる場合に考えられる原因や異常を見逃さないためのポイントなどについて、詳しく解説します。

■目次
1.犬の正常な歩き方とは
2.歩き方の異常:よくある症状と特徴
3.痛がらなくても歩き方がおかしい原因
4.歩き方の異常を見逃さないための観察ポイント
5.獣医師による診断と治療アプローチ
6.まとめ:愛犬の健康と快適な生活のために

犬の正常な歩き方とは

犬が歩くときは、通常「左後肢→左前肢→右後肢→右前肢」の順に足を運び、前後左右の足は等間隔に動きます。この時、必ず2本以上の足が地面に着いていて、頭はほとんど上下しません。

ただし、歩くスピードが速くなると、両後肢で同時に地面を蹴り、両前肢で同時に着地をします。

また、大型犬では同じ側の後肢と前肢が同時に出る場合があり、オールド・イングリッシュ・シープドッグではこの歩き方が正常です。

歩き方の異常:よくある症状と特徴

以下のような症状が見られた場合は注意が必要です。

<足を引きずる>
軽度の場合は足先が軽く地面にこすれる程度ですが、重度の場合は足をだらんとさせて引きずったり、足に力が入らず立てなくなったりします。

<足を浮かせる>
痛みがあると足に体重をかけられなくなり、足を浮かせながら歩くことがあります。

<頭を上下に振って歩く>
足に体重をかけられなくなると、頭を上下に振りながらひょこひょこと歩くことがあります。

<歩幅が狭くなる>
四肢のどこかに異常が生じると小さい歩幅で歩くようになったり、前肢と後肢のどちらかの歩幅が狭くなったりすることがあります。

<ふらつく>
足に力が入らずふんばることができなくなると、フラフラすることがあります。

痛がらなくても歩き方がおかしい原因

歩き方がおかしいからといって、必ずしも足が痛むわけではありません。痛みを示さない場合には、以下のような原因が考えられます。

<神経系の問題(椎間板ヘルニア、変性性脊髄症、脳腫瘍、水頭症など)>
犬も人間と同じように、脳からの司令を受けることでスムーズに歩くことができます。そのため、神経系に異常が生じると司令がうまく伝わらなくなり、足を引きずったりフラフラしたりします。また、重度の場合は立てなくなることもあります。

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<筋肉や関節の慢性的な疾患(パテラ、レッグペルテス、股関節形成不全など)>
犬は本能的に痛みを隠す傾向にあります。筋肉や関節に慢性的な異常を抱えている場合は鈍い痛みが続くことが多いため、痛がるそぶりを見せないことがあります。

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<加齢による変化>
犬も年齢を重ねると筋肉が衰えたり関節の動きが悪くなったりします。そのため、よろよろと歩いたり、歩幅が狭くなったりします。また、さらに老化が進むと、寝たきりの時間が増えるようになります。

<内耳の問題(前庭障害、内耳炎など)>
内耳には平衡感覚をつかさどる働きがあります。そのため、内耳に異常が生じると体のバランスがとれなくなり、フラフラすることがあります。また、重度の場合は立てなくなることもあります。

<貧血>
中毒や感染症、腫瘍などが原因で貧血を起こすと、フラフラすることがあります。

歩き方の異常を見逃さないための観察ポイント

異常を見逃さないためには、正常な歩き方を把握している必要があります。そのため、以下のチェックポイントを中心に、日常的に愛犬の歩き方を観察・記録するようにしましょう。

・四肢がバラバラに動いているか
・歩幅は同じか
・体重のかけ方は均一か
・フラフラしていないか
・体や頭を振っていないか
・足を引きずっていないか
・足を挙げていないか

肉眼での観察が難しい場合は、動画におさめて確認する方法がお勧めです。それにより、正確に観察できるだけでなく、記録として残すこともできるため、病院での診察時に役立つこともあります。

獣医師による診断と治療アプローチ

動物病院では、まずはじめに歩行検査を行います。歩行検査は犬にゆっくり歩いてもらい、歩幅や歩くときの姿勢を観察することで異常を確認する検査方法です。

その後、身体検査や神経学的検査、画像診断を行い、必要に応じて血液検査などを行うことで総合的に診断し、原因に合った治療を行います。

<投薬>
痛み止めや抗炎症薬など、症状にあった薬を投与します。また、場合によっては関節をサポートするようなサプリメントを処方することもあります。

<理学療法>
運動機能を回復させるために、マッサージや運動療法、温熱療法などを行います。

<手術>
骨折や椎間板ヘルニアなど、一部の病気やケガにおいては手術が適応となることもあります。

まとめ:愛犬の健康と快適な生活のために

愛犬の歩き方に異常が見られる場合は足の痛みだけでなく、神経系の問題から加齢までさまざまな原因が考えられます。そのため、愛犬の健康と快適な生活を守るためには、飼い主様が日頃から歩き方をよく観察し、いち早く異常に気がつくことが大切です。今回ご紹介した内容を参考に、万が一愛犬の歩き方に違和感を覚えたら、なるべく早めに動物病院に相談するようにしましょう。

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