愛犬の歯が生え変わる時期とケア方法!獣医師が教える正しい対応

私たち人間と同じように、犬も成長とともに歯が生え変わります。しかし、「歯はいつ頃生え変わるのか」「歯磨きケアはいつもどおりで良いのか」など、生え変わりに関して疑問や不安を抱えている飼い主様も少なくありません。

今回は、犬の歯が生え変わる時期や正しいケアの方法などを解説します。

■目次
1.犬の歯の生え変わりについて
2.犬の歯の生え変わりの時期と過程
3.生え変わり期間中に見られる症状と行動
4.生え変わり期間中のケア方法
5.注意が必要な症状と対処法
6.獣医師による診断と治療
7.生涯にわたる歯のケア
8.まとめ

犬の歯の生え変わりについて

犬は肉食動物であるため、肉を引きちぎったり骨を噛み砕いたりできるように歯が鋭く尖っています。

また、犬の歯の種類は切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯の4種類で、歯の数は基本的に乳歯は28本、永久歯は42本です。

しかし、中には乳歯が抜けずに残ってしまうこと(乳歯遺残)があります。それにより、噛み合わせが悪くなったり、歯周病や口内炎などを引き起こしたりする恐れがあります。

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犬の歯の生え変わりの時期と過程

犬は生後3週くらいから乳歯が生えはじめ、だいたい生後6週前後には乳歯が生え揃います。そして、乳歯は生後3か月頃から抜けはじめ、一般的には切歯→臼歯→犬歯という順番で抜けていきます。永久歯が生え揃う時期は大体生後7か月頃です。

ただし、生え変わりの順番や時期には個体差があります。

生え変わり期間中に見られる症状と行動

歯の生え変わり期間は歯茎がむず痒くなることが多く、物をよく噛む、よだれが増えるといった変化が見られるようになります。また、歯茎が腫れたり出血したりといった症状が出たり、痛みから食欲が落ちたりすることもあります。

生え変わり期間中のケア方法

将来の歯磨きを習慣づけるために、若い頃から口を触って歯磨きの練習をすることはとても大切です。ただし、先ほどもご紹介したとおり歯茎が腫れたり出血していたりするケースもあるため、歯磨きの際はなるべく優しく磨くようにしましょう。

また、歯のむず痒さを解消するために、カミカミできるおもちゃを与えると良いでしょう。ほかにも、タオルやロープを使って引っ張り合いをするのもおすすめです。

※おもちゃは適度な硬さのものを選びましょう(硬すぎると歯が折れますので注意してください)。

フードは普段どおりで構いませんが、痛みから食欲が落ちている場合には、一時的にドライフードをぬるま湯でふやかして与えたり、ウェットフードに変更したりしましょう

注意が必要な症状と対処法

一般的に、乳歯が抜けた後に見られる歯茎からの出血は、量も少なくすぐに止まります。しかし、出血が止まらなかったり痛みが強かったりする場合は、迷わず動物病院を受診するようにしましょう。

また、生後6〜7ヶ月を過ぎても乳歯が抜けずに残ってしまう状態を「乳歯遺残」といいます。乳歯遺残があると、噛み合わせが悪くなったり、重複歯列になって歯周病を引き起こしやすくなったりします。もし、乳歯遺残による噛み合わせの問題で歯列矯正が必要な場合、矯正できるのは7ヶ月齢までとなります。

そのため、6〜7ヶ月を過ぎても乳歯が自然に抜けないようであれば、なるべく早めに動物病院を受診しましょう。

また、おもちゃが硬すぎると歯が折れてしまうことがあるため、適度な硬さのおもちゃを選ぶように気をつけましょう。

獣医師による診断と治療

子犬は、まだしつけが完了していなかったりじっとすることが苦手だったりして、口の中をじっくり覗けないことも少なくありません。そのため、定期的に動物病院を受診し、乳歯が残っていないか、かみ合わせに異常がないかなど、歯や口の中の状態をしっかり獣医師に確認してもらいましょう。

乳歯が残っている場合は、抜歯が必要になります。ただし、抜歯は全身麻酔下で行うため、麻酔が1回で済むように避妊・去勢手術と一緒に行うケースも少なくありません。そのため、抜歯の時期についてはかかりつけ医とよく相談するようにしましょう。

生涯にわたる歯のケア

犬は人よりも歯石がつきやすいため、多くの子が歯周病にかかります。歯石のもととなる歯垢や食べかすは歯磨きで取り除くことができるため、子犬のうちから歯磨きケアの習慣をつけておきましょう

また、適切な食事管理も歯の健康を守ることにつながります。ウェットフードは歯石がつきやすくなるため、ドライフードを与えることを推奨します。

乳歯遺残は予防が難しいため、定期的に動物病院で歯科健診を受けることが大切です。

まとめ:愛犬の健康な歯を守るために

犬は口腔内トラブルが多く、特に小型犬では乳歯遺残が多く見られます。乳歯が残っていると歯周病をはじめ、さまざまな病気を引き起こす原因となるため、定期的に歯科健診を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。

また、こちらでご紹介した内容を参考に、愛犬の歯になにか異常が見られた場合は、なるべく早めに獣医師に相談するようにしましょう。

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