愛犬の前足の違和感、見逃していませんか?|病院受診の判断ポイントを解説

愛犬がふらついて歩いたり、片足をかばうような歩き方をしたりすると、飼い主様としては「ケガを引き起こしているのでは?」と不安になることでしょう。大切な家族である愛犬が、いつも通りに元気に動けない姿を目にすると、心配の種が尽きないものです。犬の前足に異常が見られる原因は多岐にわたり、軽いケガから深刻な病気までさまざまです。

今回は愛犬の前足に違和感を覚えたときに、見られる症状や原因、自宅でできる応急処置や、病院受診が必要なケースなどを詳しく解説します。

■目次
1.前足の異常をどのように見分けるのか
2.考えられる主な原因
3.応急処置と自宅でできるケア
4.動物病院への相談が必要なケース
5.まとめ

前足の異常をどのように見分けるのか

愛犬の前足に異常がある場合、以下のようなサインが見られることがあります。これらの症状を把握することで、異常の早期発見につなげることができます。

<歩き方の変化>

前足に異常があると、歩き方が明らかに普段と異なる場合があります。例えば、足を地面につけずにケンケンするような動きや、足を引きずるような歩き方をしている場合は注意が必要です。また、跛行(はこう:足をかばいながら歩く状態)も異常のサインです。

<足の使い方の違い>

体重をかけると痛みが生じるため、片方の前足に体重を乗せないようにする行動が見られることがあります。また、立ち止まるときや座っているときに、前足の位置が普段と違う場合も注意が必要です。

<腫れや熱感>

足や関節部分に腫れがある、触ると熱を感じる場合は、炎症やケガが原因である可能性があります。これらは目視や触診で確認できますが、強く触れすぎると痛みを与えてしまうため注意が必要です。

<痛がる様子>

愛犬が前足を頻繁に舐めたり、咥えたりしている場合や足を触られるのを嫌がる場合には痛みや違和感があると考えられます。これも異常を見つけるための重要なサインです。


これらの異常が疑われる際には、愛犬の動きや歩き方をスマートフォンで動画撮影しておくと良いでしょう。特に、症状が軽い場合でも動画を記録することで、獣医師に正確な情報を伝えることができます。それにより、診断がスムーズに進むことがあります。

考えられる主な原因

前足の異常には、以下のようにさまざまな原因が考えられます。

<外傷>

散歩中にガラス片や鋭利な物で切り傷や擦り傷を負うことがあります。また、足に異物(トゲや小石)が刺さるケースも多いです。これらの場合、出血や傷口の痛みが見られます。

<関節の問題>

脱臼や捻挫が原因の場合、急な動きや転倒が引き金となります。関節が外れる、あるいは関節周辺が腫れることがあります。特に脱臼は激しい痛みを伴うため、すぐに病院で診察を受ける必要があります。

<骨の異常>

骨折や成長期特有の骨のトラブルも原因の一つです。特に大型犬では、成長期に骨の変形が見られることがあります。骨折の場合は足を着かずに動くほか、触れると強い痛みを感じるため注意してください。

<皮膚トラブル>

アレルギーや皮膚炎が原因で、肉球や指の間に炎症が起きることがあります。かゆみや赤み、腫れが見られるほか、足を頻繁に舐める行動が特徴的です。

<神経の問題>

椎間板ヘルニアなどの神経の問題が原因で、前足に力が入らなくなることがあります。この場合、足を動かしづらそうにしているだけでなく、全身のバランスが崩れることもあります。

<犬種や年齢による影響>

大型犬は関節炎や骨の問題、小型犬は膝蓋骨脱臼など、犬種や年齢によっても特有のリスクがあります。愛犬の特徴を理解し、注意深く観察することが大切です。

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応急処置と自宅でできるケア

<応急処置の方法>

ケガが疑われる場合、まずは傷口を清潔な水で洗い流しましょう。出血が見られる場合は、清潔なガーゼやタオルで軽く圧迫止血を行い、患部を冷やして炎症を抑えます。ただし、氷は直接当てず、タオルに包んで使用してください。

<安静に過ごす工夫>

動きを制限するために、ケージやサークル内で安静にさせましょう。また、散歩はトイレに行く程度にとどめ、激しい運動は控えてください。

<自宅での観察ポイント>

自宅で経過を観察する際には、症状が改善しているか、悪化しているかに加え、食欲や元気の変化も確認しましょう。小さな変化が病状のヒントになる場合もあります。

<素人判断でのケアを避ける>

包帯を巻いたり、市販の人用薬を使用したりすることは危険です。自己判断によるケアは症状を悪化させる可能性があるため、必ず獣医師の指示に従いましょう。

動物病院への相談が必要なケース

以下のような場合は、速やかに動物病院へ相談することをお勧めします。

・足をまったく地面に着けない
・激しい痛みを訴える(鳴く、攻撃的になるなど)
・腫れが顕著
・症状が24時間以上続く
・食欲や元気が低下している

早期発見と早期治療は、愛犬の健康を守るために非常に重要です。放置すると症状が慢性化し、治療が困難になることがあります。適切な治療を受けることで、愛犬の苦痛を軽減し、回復への道筋を整えることができます。

まとめ

愛犬の前足に違和感を覚えたら、まずは冷静に症状を観察しましょう。軽度の症状であれば自宅でのケアで改善する場合もありますが、異常が続く場合や重度の場合は迷わず動物病院に相談してください。

日頃から愛犬の動きや体調を観察し、健康状態に注意を払うことがトラブルの早期発見につながります。大切な家族である愛犬との幸せな時間を守るためにも、適切な対応を心掛けましょう。


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