愛犬・愛猫の骨折を見逃さない!|緊急性の判断と応急処置
愛犬や愛猫が突然手や足の痛みを訴えるようになったら、どうしたのだろうと心配になりますよね。一部が大きく腫れていたり変形したりしていたら、それはもしかしたら骨折しているかもしれません。
骨折は主に事故が原因で起こり、痛みから元気や食欲がなくなることもあります。また、治療が遅れると骨を元の状態に戻すことが難しくなるため、早期発見・早期治療を行うことが重要です。
今回は犬や猫の骨折について、症状や緊急度の判断方法、応急処置の正しい方法などを解説します。
■目次
1.骨折が起こりやすい状況とは
2.骨折を疑うべき症状と行動の変化
3.骨折が疑われる部位ごとの特徴
4.緊急度の判断方法
5.応急処置の正しい方法
6.動物病院での治療について
7.まとめ:大切な愛犬や愛猫を骨折から守るために
骨折が起こりやすい状況とは
犬や猫の骨折は、主に以下のような原因から起こります。・高所から転落した
・交通事故で強い衝撃が加わった
・ドアに挟まった
・誤って踏んでしまった
・同居している犬や猫と喧嘩した など
また、元気いっぱいな時期である子犬や子猫、骨が細い犬種、自由に外出できたりベランダを行き来できたりする猫などで骨折のリスクが高い傾向にあります。
骨折を疑うべき症状と行動の変化
以下のような症状が見られる場合は骨折している可能性が高いため、直ちに病院を受診しましょう。・手や足が変形している
・特定の部分が大きく腫れている
また、手や足を地面につけられない、抱っこをすると嫌がる、患部を触ると痛がって鳴くなどの症状が見られる場合も、骨折している可能性があります。
ほかにも、元気や食欲が落ちたり、呼吸が速かったりする場合は痛みが強く出ているサインかもしれないため、早めに動物病院を受診しましょう。
骨折が疑われる部位ごとの特徴
骨折は体のあらゆる部位に発生し、それぞれ特徴があります。<前足>
前足は最も骨折しやすい部位です。犬や猫は前足から着地するため、転落事故で発生することが多く、特に肘から手首までの部分は骨が細く骨折しやすいため、注意が必要です。
<後ろ足>
前足に次いで多く骨折が見られる部位です。転倒事故や交通事故などで発生することが多い傾向にあります。
<尾>
犬や猫の尻尾は、たくさんの小さな骨がつながってできています。そのため、尻尾を誤ってドアに挟んだり踏んでしまったりすると、骨折することがあります。また、排尿障害が出ることもあり、おしっこがうまく出せない状態が続くと、尿毒症を引き起こして命に関わることもあるため、注意が必要です。
<顎>
交通事故などで顎に大きな力が加わった場合や、重度の歯周病によって顎の骨が溶けた場合などに骨折することがあります。痛みが強く食事をすることが難しいケースも多いため、緊急性が高い状態といえます。
緊急度の判断方法
以下のような場合は緊急性が高いため、直ちに動物病院を受診しましょう。・出血が止まらない
・元気がなくぐったりしている
・痛みから食事がとれない
・おしっこがほとんど出ないか全く出ない
また、骨折しているのにそのまま放置してしまうと、骨が変にくっついてしまって正常に動かせなくなってしまう可能性があります。時間が経てば経つほど治療が難しくなるため、骨折が疑われる場合は判断に迷う場合も含め、念のため早めに動物病院を受診しましょう。
応急処置の正しい方法
可能であれば、骨折部分が動かないように割り箸などを添え木にして、タオルや包帯などで巻いて固定しましょう。ただし、痛みが強い場合は、飼い主様に噛みついてしまったり、暴れて骨折部位に負荷をかけてしまったりする恐れがあります。また、手や足が変形している場合や骨が飛び出している場合は、独断で元の形に戻そうとするのは非常に危険です。そのため、痛みが強い場合や骨折部位が変形したり骨が露出したりしている場合は、無理に処置をしようとせず、直ちに動物病院を受診してください。傷口がない場合は、氷嚢などで冷却しても良いでしょう。
動物病院での治療について
動物病院では問診や身体検査を行った後、主にレントゲン検査を行い、骨が折れていることを確認することで診断をします。ただし、レントゲン検査だけでは不十分な場合、CT検査やMRI検査が必要になるケースもあります。また、骨折治療の基本は手術です。手術の方法は骨折部位や骨の状態などによってさまざまで、プレートやピンを入れて直接固定することもあれば、皮膚の外からピンを刺して固定することもあります。
軽度の場合や手術が難しい場合は、ギプスを使って固定することもあります。回復期間は大体2〜3か月程度ですが、高齢の場合やリハビリをしない場合は治癒が遅れ、回復までに時間がかかります。
まとめ:大切な愛犬や愛猫を骨折から守るために
犬や猫の骨折の多くは交通事故や落下事故、転倒事故など、事故が原因で起こります。骨折は痛みが強く動物の体にかかる負担が大きいため、子犬や子猫のうちからしっかりと飼育環境を整え、事故を予防することが大切です。本記事を参考に、骨折が疑われる症状が見られた場合は、なるべく早めに動物病院に相談するようにしましょう。
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