高齢猫に多い病気【甲状腺機能亢進症】
こんにちは大田区大森イース動物病院です。甲状腺機能亢進症は、高齢猫において最も多いホルモン関連の病気です。特に、日本において高齢猫の8.9%がこの病気を発症しており、世界的には1.5%から11.4%とされています。10頭の高齢猫のうち1頭がこの病気にかかる可能性がありますが、実は発見されていないことが多い病気でもあります。知らず知らずのうちに猫ちゃんを苦しめないように病気を知りましょう。
どんな病気?
甲状腺機能亢進症は、甲状腺が過剰にホルモンを分泌することによって引き起こされる病気です。この病気になると、猫は急に食欲が増加しますが、体重は減少します。また、嘔吐や下痢の頻度が増えたり、情緒が不安定になり、昼夜逆転の生活を送るようになることもあります。
「元気になった」と感じるかもしれませんが、実際にはこの病気によって弱り、治療しなければ生存期間が短くなります。
甲状腺の役割とは?
甲状腺は首に位置するホルモン分泌器官で、主にT4(チロキシン)やT3(トリヨードチロニン)といったホルモンを分泌します。これらのホルモンは「元気の源」として知られ、代謝の活性化や心機能の亢進、成長や発達の促進などに関与しています。特に、エネルギーを大量に消費するため、筋肉や脂肪が減少し、心臓の拍動が速くなることがあります。だから食欲があるのに痩せていくわけですね。
甲状腺機能亢進症の診断と治療
甲状腺機能亢進症の診断は、以下の検査を通じて行われます。
- 症状の確認: 体重減少、多食、情緒不安定、活動亢進、多飲多尿、過剰なグルーミング、被毛の変化、嘔吐・下痢など。
- 血液検査: 特にT4値を測定し、高値であればほぼ甲状腺機能亢進症と診断されます。
- エコーやレントゲンによる他の病気の除外。
治療法としては、食事療法、手術、薬物療法があり、日本では薬物療法が一般的です。治療には毎日の投薬が必要で、定期的な再検査が欠かせません。特に注意すべき点は、投薬治療の場合必ず欠かさず飲ますことです。甲状腺を壊す薬を飲むのですが、甲状腺はしぶといので一日でも飲み忘れてしますとまた病気が戻ってしまいます。
まとめ
甲状腺機能亢進症は、「元気のホルモン」が過剰に出すぎる病気です。高齢猫で異常な症状が見られた場合、年のせいと決めつけず、しっかりと検査を行うことが重要です。治療は頑張って続ける必要がありますが、猫の健康を維持するために大切なステップです。