猫の指を踏んでしまったとき実は起きてるかもしれない!!

こんにちは!東京都大田区大森西にありますイース動物病院です!!

猫ちゃんと暮らしていて指を誤って踏んでしまいそこから前の足をずっと挙げている!!そんなことが起きてしまったら不安になると思います。実は猫はしなやかな体と驚異的なバランス感覚を持ち合わせており、一般的に骨折とは無縁のように思われがちです。しかし、現実には高いところからの落下や交通事故などにより骨折することがあります。

本日は猫の中手骨骨折についてお話をさせていただきます。

中手骨骨折とは

猫の中手骨は、前肢の中間部分に位置する細長い骨で、これが折れることを中手骨骨折と呼びます。この中手骨骨折は猫の手根骨と指骨をつなぐ部分で、猫が歩いたり、ジャンプしたり、狩りをする際に非常に重要な役割を果たしています。中手骨骨折は、交通事故、落下、虐待や誤って踏んでしまった、あるいはその他の外傷によって引き起こされることが多いです。歩行やジャンプ、爪を研ぐ動作において非常に重要な部分になるので中手骨が骨折すると、猫の日常生活に多大な影響を与えることになります。

中手骨骨折の原因

猫の中手骨骨折は、様々な要因によって引き起こされます。主な原因としては以下が挙げられます。

交通事故

 屋外で自由に行動する猫は、車に轢かれるリスクがあります。猫が車にひかれることで、骨折を含む様々な外傷が発生することがあります。

高所からの落下

猫は高い場所を好む傾向がありますが、バランスを崩して落下することがあります。特に室内で飼われている猫が窓から誤って落下することがあります。これにより、骨折が生じることがあります。

喧嘩や捕食者からの攻撃

   外で生活する猫や野良猫は、他の動物と喧嘩をすることがあります。また、犬や他の捕食者に攻撃されることもあります。これらの衝突や攻撃の際に、中手骨が骨折することがあります。

飼い主による誤った取り扱い

   子猫や高齢猫、体が弱っている猫を不適切に持ち上てしまったり、過度に遊ばせる。誤ってふんだしまったことで、骨に負担がかかり骨折することがあります。特に骨が脆弱な猫は、ちょっとした外力でも骨折してしまう可能性があります。

中手骨骨折の症状

猫が中手骨を骨折した場合、いくつかの明確な症状が現れることがあります。これらの症状を早期に認識し、適切な対応を取ることが非常に重要です。

歩行異常(跛行)

中手骨が骨折すると、猫は前肢に体重をかけるのを嫌がるようになります。前足を使うことができず、その結果、猫は前肢を引きずるような歩き方をしたり、跛行することがよく見られます。これは、足を地面に付けたくないため、歩き方が不自然になります。

痛み

猫が痛みを感じるため、通常はその部位に触れることを嫌がり、触れられると鳴く、または攻撃的になることがあります。

腫れ

骨折部位が腫れることがあります。これは内部の出血や組織の損傷が原因で、腫れがある場合には骨折の可能性が高いです。

変形

骨折がひどい場合、骨の変形が見られることがあります。通常、自然な形ではない足の形状をしていることが見られます。

活動の減少

猫は通常、骨折の後に動くことを避けようとします。普段は活発に動き回る猫が、突然活動を急に大人しくなる、食欲が減退する、寝ている時間が増えるなどのことがあります。

局所的な出血や皮膚損傷

   骨が皮膚を突き破って外部に露出することは稀ですが、外傷を伴う場合には出血や皮膚の損傷が見られることがあります。

中手骨骨折の診断

中手骨骨折が疑われる場合、獣医師による診断が必要です。診断は通常、以下の手順で行われます。

身体検査

獣医師はまず、猫の全体的な健康状態を確認し、特に骨折の可能性がある部位を重点的に調べます。

触診

骨折部位を触診することで、腫れや痛み、骨の異常な動きを確認します。ただし、触診は猫にとって非常に痛みを伴う可能性があるため、獣医師は慎重に行います。

レントゲン検査

骨折の正確な位置と程度を確認するために、レントゲン検査が行われます。これにより、単純骨折なのか、複雑骨折なのかを判断することができます。

追加の検査

   複雑な骨折や、骨に異常が見られる場合には、追加の検査が必要となることもあります。例えば、CTスキャンやMRI検査が行われることがあります。

中手骨骨折の治療

中手骨骨折の治療は、骨折の種類や猫の全体的な健康状態によって異なります。以下は一般的な治療法です。

外科手術

複雑な骨折や、多数の骨が折れている場合には、外科手術が必要です。手術では、ピンなどを使用して骨を安定させます。

薬物療法

骨折に伴う痛みを管理するために、痛み止めや抗炎症薬が処方されることがあります。また、感染症を予防するために抗生物質が使用されることもあります。

リハビリテーション

骨が治った後も、筋肉や関節の機能を回復させるために、リハビリテーションが必要になることがあります。これには、物理療法や適切な運動が含まれます。

中手骨骨折の予後と回復

猫の中手骨骨折からの回復は、骨折の種類や治療方法、猫自身の健康状態によって異なります。通常、軽度の骨折であれば、数週間から数ヶ月で回復が見込まれます。しかし、複雑な骨折や手術が必要な場合には、完全な回復までにより長い時間がかかることがあります。

回復期間

骨が再生し、十分に強くなるには時間がかかります。一般的には、完全な回復には6週間から12週間程度が必要です。

再発リスク

適切な管理が行われない場合、再度骨折するリスクがあります。そのため、治療後もしばらくの間は、猫の活動を制限し、過度な運動を避けることが重要です。

長期的なケア

骨折の後遺症として関節炎が発生することがあり、長期的なケアが必要になる場合もあります。特に高齢の猫や、体重が過剰な猫では、関節への負担が大きくなるため、体重管理や定期的な健康チェックが重要です。

中手骨骨折の予防

骨折を防ぐためには、猫の生活環境を整えることが重要です。以下は骨折リスクを減らすためのいくつかの方法です。

屋内飼育

屋外で自由に過ごす猫は、交通事故や他の動物との争いによる骨折のリスクが高いため、屋内での飼育を推奨します。屋内でも、十分な運動と刺激を提供することで、猫のストレスを減らすことができます。

高所への制限

窓やベランダからの落下を防ぐために、猫が高所にアクセスできないようにするか、窓にはネットやバリアを設置することが効果的です。

適切な運動

過度な運動や危険な遊びを避け、適切な運動を提供することが重要です。また、肥満は骨折リスクを高めるため、適切な食事管理と運動が必要です。

安全な遊び環境の整備

   猫は好奇心が旺盛で、家の中でも高いところに登ることがあります。そのため、キャットタワーや棚の配置には注意が必要です。安定性を確保し、落下しても安全な高さにすることで、骨折リスクを軽減できます。

定期的な健康チェック

   定期的に獣医師の診察を受けることで、骨の健康状態を把握することが重要です。特に高齢猫や骨が弱い猫は、骨折のリスクが高いため、早期に対策を講じることが大

切です。

適切な運動と食事

   骨の健康を保つためには、バランスの取れた食事と適度な運動が不可欠です。カルシウムやビタミンDを豊富に含む食事を与え、適度な運動をさせることで、骨の強度を保つことができます。

おわりに

猫の中手骨骨折は、猫の生活に大きな影響を与える重大な怪我です。しかし、適切な予防策を講じることで、骨折のリスクを大幅に減らすことができます。もし、猫が骨折してしまった場合でも、早期発見と適切な治療により、良好な予後が期待できます。飼い主として、猫の行動や健康状態に注意を払い、骨折の兆候が見られた場合は、速やかに獣医師に相談することが大切です。また、骨折を予防するために、猫の生活環境を整え、安全な環境で飼育することが求められます。愛猫の健康と幸せな生活を守るために、日々のケアと注意が欠かせません。

当院では毎週月曜日に整形専門外来をおこなっております。

骨折と診断された。足を使わない。最近動きが悪い。鈍い。などありましたら整形専門外来にご相談ください!!