犬猫の急性腎不全

みなさん、こんにちは!イース動物病院です。

今回は急性腎不全についてのお話しです。〈急性〉という名前の通り、急に発症していまう病気です。急性腎不全は、犬や猫にとって重篤な状態であり、早期発見と治療が非常に重要です。以下では、急性腎不全の症状、診断、治療、ケア、予防について詳しく説明します。

急性腎不全とは

急性腎不全は、腎臓の組織が壊れたことで機能が急激に低下する状態を指します。その原因はさまざまであり、中毒、感染症、腎臓の血流障害、腎臓結石、尿路閉塞、腎臓の損傷などが考えられます。特に、犬では中毒性の原因が多いですが、猫では尿路閉塞が比較的多いです。

壊れた腎臓の組織が回復することはありません。そのため早期に治療を開始し、腎臓にかかる負担を早く軽減するさせることが必要です。

症状

急性腎不全の症状には、乏尿又は無尿、急激な元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、脱水などがあります。また、猫の場合、口臭や口内炎も見られることがあります。これらの症状が見られたら、早めに獣医師に相談する必要があります。

急性腎不全は4つの段階に分類されます。

① 初期

腎臓が障害を受けてから腎機能障害が現れるまでの時期で、期間は障害の性質や程度によって異なります。

② 乏尿期/維持期

数日〜3週間続き、その間乏尿が持続します。

③ 利尿期

尿量が回復してくる時期のことをいいます。著しい尿量の増加により循環血液量が減少し、腎臓の悪影響を及ぼす可能性があるため、輸液療法が必要です。

④ 回復期

尿量が正常化し、臨床徴候がなくなる期間のことをいいます。腎臓がするまでは数週間〜数ヶ月かかります。症例によっては完全には機能再開せず、慢性腎不全に移行する場合があります。

診断

急性腎不全の診断には、血液検査や尿検査、超音波検査などが行われます。血液検査では、腎機能の指標であるクレアチニンや尿素窒素の値が高いことが確認されます。また、尿検査では、尿の濃度や成分が異常であることが示唆されます。

治療

具体的な治療法には、輸液療法、患部の管理、適切な栄養摂取などがあります。重症の場合は、人工透析や腎臓移植が必要になることもあります。

輸液療法は、脱水症状を改善し、腎臓に適切な血液流量を確保するために行われます。輸液は静脈内に注入され、電解質のバランスを維持し、尿素やクレアチニンなどの廃物を排出するための腎臓の機能を支援します。

ケア

・水分摂取の管理: 脱水を防ぐため、常に清潔な飲み水を用意してください。水を好んで飲まない場合は、少量ずつ頻繁に水を与えるなど工夫が必要です。

・食事管理: 獣医師の指示に従い、適切な栄養療法を行ってください。食欲がない場合は、食事を強制するのではなく、軽い食事や消化の良い食品を与えます。

・尿量の観察:尿量を注意深く観察し、量や頻度が異常でないか確認します。

・薬物療法:獣医師が処方した薬を正確に管理し、適切な投与量とタイミングを守ります

・定期的な検診: 獣医師の指示に従い、定期的な検診を受けてください。腎臓の機能や状態を確認し、治療法の適切性を評価します。

予防

急性腎不全を予防するためには、定期的な健康診断や適切な食事管理が重要です。また、中毒性の原因を避けることや、猫の場合は尿路閉塞を予防することも大切です。

急性腎不全は、早期発見と適切な治療が重要です。症状が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。