犬の拾い食いをやめさせるためのしつけと予防

こんにちは!大田区大森のイース動物病院です。

お散歩中、愛犬が突然道に落ちているものを口に入れてしまう——そんな「拾い食い」の行動に悩んでいる飼い主さんは多いのではないでしょうか?

タバコの吸い殻、腐った食べ物、小石やガラス片……。犬にとっては「好奇心」や「空腹」からの行動かもしれませんが、健康被害や命の危険につながることもあります。

今回は犬の拾い食いをやめさせるための具体的なしつけ方法や、日常でできる予防策、注意点を詳しく解説します。


なぜ犬は拾い食いをするの?

まずは、犬がなぜ拾い食いをするのか、その理由を理解することが大切です。

主な原因

  1. 本能的な探求心・嗅覚本能
     犬は嗅覚が非常に優れており、地面のニオイを嗅ぐことで情報収集をしています。好奇心から「これ何だろう?」と口に入れてしまうことも。
  2. 空腹
     食事の量が足りなかったり、散歩中にエネルギー消費が激しいと、落ちているものを「食べ物」と認識してしまうことがあります。
  3. ストレスや退屈
     精神的なストレスや退屈さを紛らわせるために、何かを食べる(かじる)という行動をとる場合があります。
  4. 過去の成功体験
     以前、落ちていたものを拾い食いして「美味しかった」「怒られなかった」などの成功体験があると、繰り返すことがあります。

拾い食いがもたらす危険

拾い食いは決して「ちょっとした癖」で済まされるものではありません。以下のようなリスクがあります。

  • 中毒症状(タバコ、チョコレート、腐敗物など)
  • 窒息や腸閉塞(石、ビニール、骨など)
  • 感染症(寄生虫、細菌など)
  • 誤飲による手術リスク(異物除去が必要な場合)

健康面・経済面の両方で大きな負担になるため、拾い食いは早めにやめさせる必要があります。


拾い食いをやめさせるためのしつけ方法

1. 「オフ」や「ちょうだい」のコマンドを教える

口にくわえているものを自発的に放させるためには、「オフ」や「ちょうだい」といったコマンドを覚えさせることが効果的です。

教え方(例:「ちょうだい」)

  1. おやつやおもちゃを犬にくわえさせる。
  2. 「ちょうだい」と言いながら片手を出し、もう片方の手でおやつを見せる。
  3. 犬がくわえているものを放したら、すぐにおやつを与えて褒める。
  4. 繰り返して「放す=良いこと」と学習させる。

2. 「アイコンタクト」の練習をする

散歩中に飼い主の指示に集中できるようにするため、普段から「名前を呼ばれたら飼い主を見る」練習をしておきましょう。

練習方法

  • 家の中や静かな場所で練習を開始。
  • 犬の名前を呼び、こちらを見たらすぐに褒めてご褒美。
  • 少しずつ環境を変えて練習していき、最終的には散歩中でもアイコンタクトができるようにする。

3. 「待て」「ダメ」を教える

落ちているものを見つけてもすぐに食べないよう、「待て」や「ダメ」のコマンドも有効です。拾い食いの瞬間に強く叱ると逆効果になる場合もあるため、事前に止めるコントロールが重要です。


拾い食いの予防・環境づくり

1. 散歩コースの見直し

人通りの多い道や、飲食店の近くなどはポイ捨てが多く、危険なものが落ちている確率も高いです。清掃の行き届いた道や、公園の安全なルートを選びましょう。

2. 口輪やマズルガードの活用

一時的な対策として、拾い食い防止用のマズル(口輪)を装着する方法もあります。犬に無理なく装着できるタイプを選び、徐々に慣らしていきましょう。

3. 室内でも注意を

散歩中だけでなく、家の中でもティッシュやゴミをあさることがあるため、犬が届く場所に危険なものを置かないようにしましょう。キッチンにはゲートを設けるなど、物理的な対策も有効です。


拾い食いを減らすコツと習慣づけ

食事はしっかりと与える

空腹を感じていると拾い食いのリスクが高まります。愛犬に合った量の食事を、1日2~3回に分けて与えましょう。

おやつは散歩中に活用する

散歩中に注意を引きつける目的で、おやつをポケットに忍ばせておくと◎。「良い行動」をすぐに褒めて報酬を与えることで、ポジティブな学習につながります。

ストレス発散を十分に

拾い食いがストレスの表れであることもあるため、十分な運動・遊び・スキンシップの時間を確保しましょう。


NG行動:こんなしつけは逆効果!

  • 怒鳴る、叩くなどの罰を与える
     恐怖によって行動が悪化することがあります。
  • 無理に口の中に手を突っ込む
     口を守るために噛みつかれる危険があります。
  • 放置して様子を見る
     拾い食いは繰り返すことで「成功体験」になりやすく、癖になります。

まとめ

拾い食いは、命の危険に直結する習慣です。しかし、正しいしつけ環境の工夫、そして飼い主さんの根気ある対応によって、必ず改善できます。

拾い食いを防ぐポイントは、

  • 愛犬の行動をしっかり観察すること
  • 危険を未然に防ぐ環境づくり
  • コマンドトレーニングと褒める習慣

です。

愛犬と飼い主さんの安心・安全な毎日のために、今日からできることから少しずつ始めてみてください。

大田区、蒲田、大森で誤食・誤飲をしてしまった方やごはんに関して何かお困りの方は、お気軽にご相談ください。