犬のしこりに注意!軟部組織肉腫の早期発見と手術で元気に回復した実例
はじめに
こんにちは!大田区大森西のイース動物病院です。
愛犬の体に“しこり”を見つけた時、飼い主として不安でいっぱいになるものです。
「これって大丈夫?」「悪いものだったらどうしよう…」そんな思いが頭をよぎりますよね。
今回は、実際に左後ろ足にしこりが見つかり、軟部組織肉腫と診断された愛犬の症例をご紹介しながら、この病気について詳しくお伝えします。
軟部組織肉腫とは?
軟部組織肉腫(なんぶそしきにくしゅ)は、皮膚の下の筋肉・脂肪・血管・神経などの軟部組織から発生する悪性腫瘍です。
“肉腫”という名前の通り、がんの一種ですが、進行が比較的ゆっくりで、転移しにくいタイプが多いのが特徴です。
ただし、周囲の正常組織にじわじわと広がる「浸潤性」が強く、完全に取り除けなければ再発しやすいという性質を持っています。
【症例紹介】左後ろ足にしこりが…診断から手術まで
■ しこりの発見
ある日、散歩後に足を拭いていると、左後ろ足の内側に2~3cm程度の硬いしこりを発見。
触っても痛がる様子はなく、本人も気にしていない様子でしたが、念のため動物病院へ。
■ 初期診断
動物病院では以下の検査が行われました

これがこの時の写真です。
- 触診:しこりは皮膚の下にあり、少し硬め
- 細胞診(FNA):針で細胞を採取し、顕微鏡で確認
- 画像診断(エコー):深さや周囲組織との関係をチェック
その結果、「軟部組織肉腫の疑いが高い」との診断を受け、早期の外科手術を提案されました。
外科手術と病理検査の結果
■ マージンを確保した切除手術
腫瘍の再発を防ぐためには、腫瘍の周囲に“安全な範囲(マージン)”を持って切除することが重要です。
今回のケースでも、しこりの周囲を**広めに切除(約2~3cmのマージン)**する手術が行われました。
術後は1週間ほどで抜糸。幸い、痛みも少なく、歩行も徐々に回復。

■ 病理検査の結果
術後に切除した腫瘍を専門機関に送り、病理検査を行った結果:
- 診断名: 軟部組織肉腫 グレード2
- マージン:十分に確保されており、切除断端に腫瘍細胞なし
つまり、「完全切除成功、再発のリスクは低い」という良い結果でした。
現在の経過と今後の方針
手術から数ヶ月が経過し、再発や転移の兆候は一切なし。
傷口もきれいに治り、元気にお散歩を楽しむ日々が戻ってきました。
とはいえ、軟部組織肉腫は数ヶ月〜1年以内に再発する可能性もある腫瘍です。
今後も以下のようなフォローアップを継続していく予定です。
- 3ヶ月ごとの定期健診
- レントゲンや超音波検査
- 日々の体チェック(再発しこりの早期発見)
飼い主として知っておきたいこと
この経験を通じて、飼い主として以下のことを強く感じました。
■ しこりを見つけたら、すぐ病院へ
「ただの脂肪のかたまりかも」「痛がってないし様子見でいいかな」と思いがちですが、悪性腫瘍は見た目や触感だけでは判断できません。
少しでも気になる“しこり”を見つけたら、まずは獣医さんに相談を。
■ 完全切除ができれば、予後は良好
軟部組織肉腫は怖い病気ですが、早期発見と適切な外科手術によって、良い経過をたどることも多いです。
「マージンを確保した切除」ができれば、5年以上再発なく過ごす子も多数います。
まとめ:日々の観察が、愛犬の命を守る
今回の症例では、飼い主さんが早期に異変に気づき、迅速に診断・治療へと進んだことが、良い結果に繋がりました。
軟部組織肉腫は、再発の可能性がある腫瘍ではありますが、決して悲観的な病気ではありません。
早期発見と適切な対応ができれば、愛犬と再び元気な毎日を取り戻すことができます。
最後に
この記事が、愛犬のしこりに不安を抱える飼い主さんの参考になれば幸いです。
「気になるしこりがあるけど、病院に行くか迷っている」そんな方は、どうか今日中に一度、診てもらうことをおすすめします。
何か気になる事がございましたら大田区大森西のイース動物病院までご相談ください。