毛が抜けるのは心のSOSかも?犬猫の皮膚病と健診の大切さ
こんにちは!東京都大田区大森のイース動物病院です。
わんちゃん・ねこちゃんの皮膚トラブルは、動物病院に来院される理由の中でも特に多いお悩みのひとつです。かゆみ、赤み、フケ、そして毛が抜けてしまうなど、見た目の変化もわかりやすく、飼い主様が心配になってご来院されることがよくあります。
今回はその中でも、特に猫ちゃんによく見られる「お腹の毛を舐めすぎて脱毛してしまうケース」を中心に、犬猫の皮膚病の原因や治療、そして健康診断の重要性について詳しく解説します。
皮膚病のサインとは?
犬猫に皮膚病が起きると、次のようなサインが見られることがあります。
- しきりに体をかゆがる、舐める、噛む
- フケが増える、皮膚が赤い
- 毛が抜けて地肌が見える
- 独特のにおいがする
- 湿疹やかさぶたができている
これらの症状は「単なるかゆみ」と思って放置してしまうと、皮膚病が慢性化し、治療が長引いてしまうことも少なくありません。
猫に多い「過剰な毛づくろいによる脱毛」
猫ちゃんは本来、とても清潔好きで毛づくろいをする動物です。しかしストレスや不安、あるいはかゆみなどの皮膚トラブルがきっかけとなり、「過剰な毛づくろい」をしてしまうことがあります。
特に多いのが「お腹の毛を舐めてハゲてしまう」ケースです。
見た目としては、皮膚に赤みやかゆみの痕が見られないこともあります。飼い主さんからすると「ただ毛が抜けてるだけ?でもハゲてるのが気になる…」という印象かもしれません。
しかし、これは立派な皮膚トラブルのひとつです。
ストレスで脱毛するメカニズム
猫がストレスを感じると、気持ちを落ち着けるために毛づくろいをすることがあります。これは人間でいう「爪を噛む」「髪をいじる」といったストレス行動に似ています。
しかし、度を超えて毛づくろいを続けると、毛根がダメージを受けて脱毛してしまいます。これを「心因性脱毛(心理的要因による脱毛)」と呼びます。
猫がストレスを感じる原因はさまざまです。
- 引っ越しや模様替えなど環境の変化
- 新しい家族(赤ちゃんや他のペット)が増えた
- 飼い主さんの生活リズムの変化
- 長時間の留守番
- トイレや寝床など生活スペースの不快感
こうした変化が猫にとって大きな負担となり、過剰な毛づくろいに繋がってしまうのです。
皮膚病とストレス性脱毛の見分け方
「ストレスが原因で毛が抜けたのか?」「皮膚病そのものが原因なのか?」これは飼い主様が判断するのは難しい部分です。
例えば犬猫の脱毛の原因には、以下のようなものがあります。
- ノミやダニなどの寄生虫
- 真菌(カビ)感染症(皮膚糸状菌症)
- アレルギー性皮膚炎(食物・環境)
- ホルモン疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症など)
- 外傷や炎症によるもの
- 心因性(ストレス性)
見た目だけで区別することは困難で、実際には皮膚検査、血液検査、アレルギー検査などを組み合わせて診断していきます。
健康診断で分かること
皮膚の異常が出ていても、実はその背景に 内臓疾患やホルモン異常が隠れている ことがあります。
例えば:
- 甲状腺ホルモンの異常 → 毛が薄くなる、皮膚が乾燥する
- 副腎ホルモンの異常 → 脱毛や皮膚の黒ずみが出る
- 慢性的な腎臓病や肝臓病 → 毛ヅヤが悪くなる、皮膚の治りが遅い
こうした病気は血液検査や尿検査など、健康診断を受けなければ見つけられないことが多いのです。
つまり「皮膚病かな?」と思って来院したら、健康診断で思わぬ病気が早期発見できた、というケースも珍しくありません。
飼い主様ができる観察ポイント
愛犬・愛猫に脱毛が見られたときは、次のような点を観察してください。
- かゆみの有無
- 皮膚の状態(赤み、フケ、かさぶたなど)
- 脱毛の場所や範囲
- 生活環境の変化
- 全身症状(食欲・元気・体重)
これらをメモして健康診断とあわせてご相談いただくと、より正確な診断につながります。
実際の症例
当院にも「お腹の毛がなくなってしまった」と来院された猫ちゃんがいました。

皮膚に赤みはなく、血液検査や皮膚検査を行った結果、ホルモン異常はなく、ストレス性と判断。飼い主様に環境改善をお願いしたところ、数か月で毛が生えそろいました。
逆に、別の症例では「脱毛の原因はストレスだろう」と思われて来院されたわんちゃんが、健康診断で副腎皮質ホルモンの異常が見つかり、治療に繋がったケースもあります。
まとめ
- 犬猫の皮膚病はとても多く、猫にはストレス性脱毛も多い
- ただし、寄生虫・感染症・アレルギー・ホルモン疾患など原因はさまざま
- 自己判断で「ストレスのせい」と決めつけるのは危険
- 健康診断を受けることで、皮膚トラブルの原因を正しく見極められる
- 皮膚の異常は「体からのSOS」なので、早めの受診がおすすめ
👉 「脱毛や皮膚トラブルが気になる」「しょっちゅう舐めている」そんなときは、ぜひ健康診断も兼ねて一度ご相談ください。
大切なわんちゃん・ねこちゃんの皮膚と全身の健康を守るために、私たちイース動物病院がサポートいたします。