最近愛犬の腰が痛そう…実は脊椎狭窄症が背景に?!

こんにちは!東京都大田区大森西にありますイース動物病院です✨

高齢になるにつれて人でも犬でも腰が痛くなります。そんな時自分のことよりも愛犬のほうが心配になってしまいますよね。少しでも痛みなどをとってあげたい。そんな風に思いませんか?実は腰が痛い背景にはもしかしたら「脊椎狭窄症」が隠れているかもしれません。

さて本日は脊椎狭窄症についてお話し合いさせていただきます。

犬の脊椎狭窄症について

はじめに

犬も人間と同様に、歳を重ねると体の各所にさまざまな問題が生じます。その中でも特に注意が必要なのが「脊椎狭窄症」です。脊椎狭窄症は、脊椎(背骨)の部分が狭くなり、神経を圧迫することでさまざまな症状を引き起こす病気です。犬の生活の質を大きく左右するため、早期発見と適切な治療が求められます。

このブログでは、犬の脊椎狭窄症について、症状や原因、診断方法、治療法、予防策などを詳しく解説します。

脊椎狭窄症とは

脊椎狭窄症とは、脊椎内にある脊髄が圧迫されることによって生じる疾患です。犬の脊椎は、首から尾までの骨が連なっており、脊髄がその中を通っています。この脊髄は、体のさまざまな部分と脳をつなぐ重要な神経の束です。脊椎の一部が狭くなると、神経に負荷がかかり、痛みや運動機能の低下、さらには麻痺などの深刻な症状を引き起こすことがあります。

脊椎狭窄症の原因

犬の脊椎狭窄症の原因は多岐にわたりますが、主な要因は次の通りです。

加齢による変化

犬も年を取るにつれて、骨や関節に変形や摩耗が生じやすくなります。特に、椎間板の変性や骨の過剰な増殖(骨棘)が脊椎を狭くし、脊髄を圧迫する原因となります。

遺伝的要因

特定の犬種では脊椎狭窄症の発症リスクが高いことが知られています。特に、ダックスフンド、ビーグル、フレンチブルドッグなどの胴長短足の犬種は、脊椎に負担がかかりやすく、椎間板ヘルニアや脊椎狭窄症になりやすいとされています。

外傷

交通事故や転倒などの外傷によって、脊椎が損傷し狭窄症を引き起こすこともあります。骨折や脱臼が神経に影響を与えることがあります。

炎症性疾患や腫瘍

脊椎や脊髄の周辺組織に炎症や腫瘍が発生すると、神経に圧迫が加わり、脊椎狭窄症を引き起こすことがあります。

脊椎狭窄症の症状

脊椎狭窄症の症状は、圧迫される脊髄の部位や程度によって異なります。代表的な症状は以下の通りです。

痛み

犬は、首や背中に痛みを感じることが多いです。痛みのため、触られるのを嫌がったり、動きたがらないことが増えます。

歩行困難

歩行がぎこちなくなる、後ろ足が引きずるなど、運動能力に影響が現れます。場合によっては完全に麻痺することもあります。

失禁

神経の圧迫により、膀胱や腸の機能が低下し、尿や便をコントロールできなくなることがあります。

反応低下

神経の圧迫が進行すると、感覚が鈍くなり、触られても反応が鈍くなることがあります。

筋力低下

筋肉が委縮し、弱くなってしまうこともあり、特に後肢に影響が出ることが多いです。

脊椎狭窄症の診断

犬の脊椎狭窄症を診断するためには、獣医師による詳細な検査が必要です。以下のような方法で診断が行われます。

身体検査

最初に、犬の歩き方や姿勢、背中や首の痛みを確認します。犬の反射や筋力、感覚の状態を調べるための神経学的検査も行われます。

レントゲン検査

骨の状態を確認するために、脊椎のX線検査が行われます。X線では、骨の変形や異常な骨棘の有無を確認することができますが、脊髄自体や神経の状態を正確に把握することは難しい場合があります。

MRIやCTスキャン

より詳細な画像を得るために、MRIやCTスキャンが使用されることがあります。これにより、椎間板や神経の圧迫状況、脊髄の損傷を詳しく調べることができます。

脊髄造影検査

脊髄造影は、脊髄内に造影剤を注入して、脊髄の周囲の状態を確認する方法です。MRIやCTスキャンが利用できない場合に使用されることがあります。

脊椎狭窄症の治療法

脊椎狭窄症の治療法は、症状の重さや進行具合、犬の年齢や健康状態によって異なります。一般的には、保存療法と外科手術の2つのアプローチがあります。

保存療法

症状が軽度の場合や手術が困難な場合には、保存療法が選択されることがあります。保存療法の例は以下の通りです。

薬物療法

痛みを緩和するために、消炎鎮痛剤やステロイドが使用されることがあります。また、筋肉を弛緩させる薬や、神経の炎症を抑える薬も処方されることがあります。

リハビリテーション

物理療法や水中トレッドミル、マッサージなどのリハビリテーションが行われることがあります。筋力の低下を防ぎ、犬の運動能力を維持・改善することが目的です。

生活環境の改善

犬の生活環境を見直すことも大切です。例えば、滑りやすい床を滑りにくいマットに変更したり、犬が高いところに飛び乗ったり飛び降りたりしないように注意することが求められます。

外科手術

症状が進行している場合や、保存療法で効果が見られない場合には、外科手術が推奨されることがあります。外科手術の目的は、脊髄への圧迫を解消し、神経の損傷を防ぐことです。

椎間板摘出術

椎間板が脊髄を圧迫している場合には、変性した椎間板を取り除く手術が行われます。

椎弓切除術

脊椎の一部を切除して、脊髄の周囲に余裕を持たせる手術です。

脊椎固定術

脊椎が不安定な場合には、脊椎を固定する手術が行われることがあります。

手術後は、数週間から数か月にわたるリハビリが必要となることが多く、術後のケアが重要です。

予防策

脊椎狭窄症は完全に予防することが難しい病気ですが、いくつかの対策を取ることでリスクを軽減することが可能です。

体重管理

肥満は脊椎に過度な負担をかけるため、適切な体重を維持することが大切です。バランスの取れた食事と適度な運動が必要です。

運動習慣

激しいジャンプや高所からの飛び降りを避け、背骨に過度な負担をかけない運動を心掛けましょう。水泳や散歩などが効果的です。

定期的な健康チェック

犬の年齢や犬種によっては、定期的に獣医師の診察を受け、早期に問題を発見できるようにしましょう。

終わりに

犬の脊椎狭窄症は、犬の生活に深刻な影響を与える病気です。早期発見と適切な治療が犬のQOL(生活の質)を向上させる鍵となります。飼い主としては、日頃から犬の行動や様子をよく観察し、異変を感じたらすぐに獣医師に相談することが大切です。適切なケアと愛情を持って接することで、犬が健康で幸せな生活を送る手助けができるでしょう。

当院では毎週月曜日に整形専門外来を行なっています。

腰が痛そう。最近歩くのが痛そう。脊椎狭窄症と診断された。など些細なことからでもご相談ください。

愛犬と飼い主様に寄り添ってお話しをさせていただきます。