放っておくと歩けなくなる!? 春に愛犬がかかる“危険な病気”~整形疾患は身近に⁈~
春に多い犬の整形疾患とは?季節の変わり目に注意したいトラブルと対策
春は気温が上がり、外での活動が活発になる季節です。愛犬とのお散歩やドッグランでの遊びも楽しくなる一方で、実はこの時期に増えるのが「整形疾患」と呼ばれる運動器系のトラブルです。
整形疾患とは、骨や関節、筋肉、靭帯など運動に関わる部位に起こる障害のこと。特に春は気候の変化や運動量の急増により、思わぬケガや不調が発生しやすくなります。
本記事では、春に多い犬の整形疾患について詳しく解説し、その原因や症状、予防方法、治療の選択肢について飼い主さんに役立つ情報をお届けします。
目次
- 春に犬の整形疾患が増える理由
- 春に特に多い犬の整形疾患5選
- 犬の整形疾患の主な症状とは?
- 予防のためにできること
- 異変を感じたらどうすべき?
- まとめ:春は整形疾患に要注意、でも楽しく過ごそう
1. 春に犬の整形疾患が増える理由
春は気温が上がってきて、人も動物も活動的になります。犬にとっても外に出る機会が増え、運動量も一気に上がる時期です。ところが、冬の間に運動不足だった犬がいきなり激しい運動をすると、筋肉や関節に負担がかかり、ケガをしてしまうケースが増えます。
また、春は芝生や公園が整備されておらず、滑りやすい地面や段差も多く見られます。ジャンプやダッシュをした拍子に足をくじいたり、着地に失敗したりといったアクシデントも起こりがちです。
さらに、春は「アレルギー疾患」も増える季節ですが、実はこれも整形疾患に関係することがあります。アレルギーによる皮膚のかゆみで後ろ足で頻繁にかいた結果、膝や腰に負担がかかり、関節のトラブルが起きることもあるのです。
2. 春に特に多い犬の整形疾患5選
① 膝蓋骨脱臼(パテラ)
小型犬に多く見られる膝のトラブルです。膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまい、歩き方がおかしくなったり、スキップのような動きをしたりします。
春に運動量が増えることで症状が悪化することがあり、放置すると関節炎の原因にもなります。
② 前十字靭帯断裂
人間でもスポーツ選手に多い前十字靭帯の損傷。犬でもジャンプや急な方向転換などで膝に強い負担がかかり、靭帯が断裂することがあります。特に中~大型犬に多く、片足を上げたまま歩こうとしない、という症状が見られます。
③ 椎間板ヘルニア
ダックスフンドやコーギーなど胴長短足の犬種に多い脊椎疾患。ジャンプや階段の昇り降りで背骨に圧力がかかると、椎間板が飛び出して神経を圧迫し、痛みや麻痺を引き起こします。
春はお出かけが増えることで、無意識のうちに背中に負担をかける場面が増えるため注意が必要です。
④ 股関節形成不全
大型犬に多く見られる先天的な股関節の異常。成長期に発症することが多いですが、春先に運動量が増えると症状が顕在化しやすくなります。後ろ足を引きずったり、歩くのを嫌がったりする行動が見られます。
⑤ 捻挫・打撲
整形疾患の中でも比較的軽いものですが、春は犬が突然走り出したり、段差から飛び降りたりする機会が増えるため、足首や肩などの捻挫・打撲も増加します。痛みが続くと、歩行のクセから他の部位に負担がかかるため、軽く見ないようにしましょう。
3. 犬の整形疾患の主な症状とは?
犬は言葉で「痛い」と伝えることができません。以下のようなサインを見逃さないようにしましょう。
- 歩き方がおかしい(スキップ、びっこ、フラフラする)
- 足をかばうような仕草をする
- 抱っこや触るのを嫌がる
- 段差を登れない、ジャンプを避ける
- 寝起きや運動後に硬直した動きになる
- 運動を嫌がる、元気がない
これらの症状が見られたら、早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
4. 予防のためにできること
整形疾患は完全に防ぐことが難しい場合もありますが、日常生活での工夫によってリスクを大きく下げることが可能です。
① 急激な運動は避ける
春になって暖かくなっても、冬の運動不足をいきなり解消しようとするのは危険です。徐々にお散歩の時間や運動量を増やして、体を慣らしていきましょう。
② 滑りにくい床環境の整備
室内のフローリングが滑りやすいと、足腰に負担がかかります。カーペットやマットを敷いて滑りにくくする工夫が効果的です。
③ 適切な体重管理
肥満は関節や筋肉に大きな負担をかけるため、日頃から食事量と栄養バランスに注意し、適正体重を維持しましょう。
④ 段差や階段に注意
ジャンプや階段の昇り降りが必要な生活環境には、スロープを設置したり、抱っこして移動するなどして工夫しましょう。
⑤ 定期的な健康チェック
日頃の健康診断や関節チェックも早期発見につながります。獣医師に定期的に相談し、年齢や犬種に応じた対策を取りましょう。
5. 異変を感じたらどうすべき?
まずは無理に歩かせたりせず、静かに休ませて様子を見ます。
症状が軽くても、整形疾患は早期治療が肝心です。数日様子を見て改善しない、あるいは明らかに痛がっている様子がある場合は、速やかに動物病院を受診しましょう。
また、診察の際には「いつから」「どんな動作で痛がるか」「運動後か安静時か」などの情報をメモしておくと、診断の参考になります。
6. まとめ:春は整形疾患に要注意、でも楽しく過ごそう
春は犬にとっても楽しい季節ですが、油断すると思わぬケガや疾患につながることもあります。整形疾患は適切な運動管理や生活環境の見直しで予防が可能です。
大切なのは、「痛みのサインを見逃さないこと」「無理をさせないこと」「早期対応を心がけること」。春の陽気の中、愛犬と安全に楽しく過ごせるよう、少しだけ整形疾患について意識してみてくださいね。」
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
どこか痛そう、歩きたがらない、急に後肢に力が入っていない、など些細なことからでもご相談ください。
1~ご説明させていただき、納得いくまでご説明させていただきます。