子犬が足を使わない!!それ成長板骨折かも?!

こんにちわ!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院でございます。

一緒に暮らし始めたばかりの子犬と沢山走って、いろんな遊びをしているときに『キャンッッ』と叫んだ途端足を使わない!!そんなことが起きてしまったら不安と心配になりますよね。

本日は子犬で起きてしまうかもしれない、『成長板骨折』についてお話させていただきます。

犬の成長板骨折は、特に若齢の犬において重要な問題です。成長板(エピフィーゼ線)は、骨が成長するために必要な軟骨組織で、骨の両端に存在します。成長板が閉じるまでの期間、特に生後12〜18か月の間に、犬は急速に成長しますが、この時期に成長板が骨折すると、骨の正常な発育に影響を及ぼす可能性があります。この記事では、犬の成長板骨折の原因、症状、治療法、そして予防策について詳しく解説します。

成長板の役割と骨折のリスク

成長板は、骨が長くなるための重要な部分であり、成長中の骨の両端に位置しています。骨の中心部分は硬い骨組織ですが、成長板は軟骨で構成されており、柔軟である反面、外部からの力に対して脆弱です。このため、成長期の犬においては、激しい運動や誤って転倒した際に成長板が損傷しやすくなっています。

特に、以下の犬種や状況において成長板骨折のリスクが高まることが知られています。

大型犬や超大型犬

これらの犬種は急速に成長し、骨の発達が早い一方で、成長板が閉じるまでの期間が長いため、骨折のリスクが高くなります。

活動的な犬

特に若齢の犬は、遊びや運動中に激しく動き回るため、成長板に負荷がかかりやすく、骨折の原因となることがあります。

事故や外傷

転倒や高い場所からの落下、交通事故などの外傷は、成長板に強い衝撃を与えるため、骨折を引き起こすことがあります。

 成長板骨折の主な原因

成長板骨折の主な原因は、外的な衝撃やストレスです。犬が活発に走り回っている際や、高所からジャンプした際に、前肢や後肢に強い負荷がかかることがあります。特に、前肢の橈骨(とうこつ)や尺骨(しゃっこつ)、後肢の大腿骨(だいたいこつ)や脛骨(けいこつ)において、成長板が損傷しやすいことが知られています。

また、急激な回転や方向転換を伴うスポーツや遊びを行っている際にも、成長板に不自然な力がかかり、骨折に至ることがあります。さらに、成長板自体がまだ完全に硬化していないため、関節部分に負担がかかりやすく、これも骨折のリスクを高める要因となります。

成長板骨折の症状

成長板骨折が起こった場合、以下のような症状が見られることが一般的です。

歩行異常

骨折した部位に痛みが生じるため、犬は足を引きずったり(びっこ引く)、完全に足を地面につけずに歩こうとすることがあります。前肢や後肢に明らかな異常が見られる場合は、すぐに動物病院での診察が必要があります。

腫れ

骨折した部位が腫れていることが多く、特に触れると痛みを訴えることが多いです。犬がその部分を過度に舐めたり、気にする行動を見せる場合は、骨折の疑いがあります。

痛みの表現

犬は痛みを隠そうとする傾向がありますが、明らかな痛みがある場合には、鳴き声を上げたり、触られることを嫌がる。怒ることがあります。

関節の変形

骨折の程度によっては、骨の位置がずれてしまい、関節部分が不自然な形状になっていることもあります。これにより、骨の成長に長期的な影響を及ぼす可能性があります。

診断方法

成長板骨折の診断には、まず獣医師による詳細な身体検査が行われます。その後、レントゲン検査を使用して、骨折の部位や程度を確認します。成長板は軟骨組織であるため、通常の骨と異なり、レントゲン検査で明確に見えるわけではありませんが、骨折が疑われる場合にはレントゲンが最も有効な診断手段となります。

また、必要に応じて、CTスキャンやMRIなどの高度な画像診断を行うこともあります。これにより、軟部組織の損傷や他の合併症の有無を確認することができます。

治療法

成長板骨折の治療には、いくつかの方法があります。選択肢は、骨折の場所や重症度、犬の年齢や健康状態に応じて異なります。

保存療法

この方法では、骨が自然に治癒するのを待つために、ギプスや包帯で骨を固定します。犬が過度に運動しないように安静を保つことが重要で、通常は数週間から数か月間の回復期間が必要です。

外科的治療

成長板骨折では外科的手術が必要となることがあります。骨折した骨を正しい位置に戻し、ピンやプレートを使用して固定します。成長板が正常に機能するように、手術後の管理も非常に重要です。手術後には、痛み止めや抗生物質の投与、そして適切なリハビリテーションが行われます。

リハビリテーション

骨折が治癒した後も、筋肉や関節の機能を回復させるためにリハビリテーションが必要です。これには、軽い散歩や特定のストレッチング運動、場合によっては水中でのリハビリテーションが含まれます。

合併症と予後

成長板骨折の最大のリスクは、骨の成長に影響を与える可能性があることです。成長板が損傷すると、その部位の骨が正常に成長しなくなることがあり、骨の長さに不均衡が生じたり、関節の変形を引き起こすことがあります。このような合併症を防ぐためには、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。

また、手術後や保存療法後も、定期的な経過観察が必要です。犬が成長を続ける中で、骨の発育が正常であるか、関節に異常が生じていないかを確認するために、定期的なレントゲン検査が推奨されます。

 成長板骨折の予防法

成長板骨折を完全に防ぐことは難しいですが、いくつかの予防策を講じることでリスクを最小限に抑えることができます。

適切な運動量を確保する

成長期の犬に過度な運動をさせることは避け、特に高い場所からのジャンプや急激な回転動作を伴う遊びは控えることが望ましいです。

安全な環境を提供する

家の中や庭での滑りやすい場所や、犬が高所に登りやすい環境を整備することで、転倒や落下のリスクを減らします。

食事の管理

成長期の犬にはバランスの取れた栄養が必要です。特にカルシウムやビタミンDを適切に摂取させることで、骨の発育をサポートします。

まとめ

犬の成長板骨折は、特に成長期の若い犬にとって大きな問題です。成長板は骨の発育にとって非常に重要な部位であり、この部分が骨折すると、その後の骨の成長に深刻な影響を及ぼす可能性があります。外傷や激しい運動など、さまざまな原因で成長板にダメージが加わることがあり、犬が痛みや歩行異常を示す場合には、早急な診断と治療が求められます。

診断には主にレントゲン検査が使用され、治療法としては保存療法や外科手術が選択されます。手術後や治療中のリハビリテーションも、骨の機能回復において非常に重要な役割を果たします。

また、成長板骨折は後遺症や合併症を引き起こすリスクもありますが、早期の対応によって、これらのリスクを大幅に軽減することができます。そのため、犬の飼い主としては、常に注意深く犬の健康状態を観察し、万が一異常が見られた場合は迅速に獣医師の診察を受けることが重要です。

最後に、予防策としては、適切な運動量や安全な環境、バランスの取れた食事が挙げられます。これらの対策を徹底することで、成長板骨折のリスクを減らし、犬が健やかに成長できるようサポートすることができます。

犬の健康管理は飼い主の責任であり、愛犬の成長をしっかりと見守ることが、彼らの健康で幸せな生活につながります。

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