健康診断でわかる、「実は肥満気味?」

体型管理が難しい短頭種の体重管理術

こんにちは。大田区にありますイース動物病院です。

「うちの子、元気だしごはんもよく食べるし、健康そのもの!」
そんなふうに思っていても、**健康診断で体重や体脂肪率をチェックしてみたら「実はちょっと肥満気味ですね」**と言われてしまうこと、意外と多いんです。

特に、パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリアなどの短頭種は、見た目で太っているかどうか判断しづらい犬種でもあります。筋肉質でがっちりした体型のため、「ちょっとふっくらしてるくらいが可愛いよね」と思いがちですが、その“ちょっと”が実は健康リスクに直結しているかもしれません。

今回は、短頭種の肥満について、健康診断でわかること、そして日常の体型管理のポイントをご紹介します。


短頭種に肥満が多い理由とは?

短頭種は愛嬌のある顔つきと、がっしりとした体型が魅力の犬種です。ですが、その骨格や筋肉のつき方が特殊なため、「標準体型」がわかりにくいという難点があります。

また、以下のような特徴も、肥満に繋がりやすい理由のひとつです:

  • 運動が苦手・息切れしやすい
     → BOAS(短頭種気道症候群)などの呼吸の問題から、運動を避けがちになります。
  • 食欲旺盛な子が多い
     → かわいさに負けてついついおやつを多めにあげてしまうことも…。
  • 代謝が低めの体質
     → 食事量をコントロールしていても太りやすい傾向があります。

こうした理由から、気がついたときにはすでに肥満状態というケースが多く見られます。


健康診断で何がわかるの?

健康診断では、体重や体脂肪率、筋肉量、内臓の状態など、見た目だけでは判断できない健康状態を「数値」で把握することができます。

特に注目していただきたいのが以下の項目です:

✅ BCS(ボディ・コンディション・スコア)

体型を1〜5段階、または1〜9段階で評価する指標です。
肋骨の触れやすさ、お腹のくびれ、腰回りの脂肪のつき方などをチェックします。

  • BCSが3/5(または5/9)が理想体型
  • 4/5(6〜7/9)で「やや太り気味」
  • 5/5(8〜9/9)になると「肥満」と評価されます

見た目は“普通”でも、BCSでは肥満評価される子も多いので要注意!

✅ 体重と犬種ごとの標準体型

同じ犬種でも、体格差はありますが、性別や年齢を加味してその子に合った理想体重を獣医師が判断します。

「うちの子、7kgあるけど元気だから大丈夫でしょ」
と思っていても、骨格から見て理想は6kgだった、というケースはよくあります。


肥満が招くリスクとは?

体重が増えると、見た目だけでなく、健康にさまざまな悪影響が出てきます。

  • 呼吸が苦しくなる(短頭種は特に深刻)
  • 関節や腰に負担がかかる
  • 皮膚病や外耳炎のリスクが上がる
  • 糖尿病や高脂血症などの代謝疾患
  • 熱中症リスクの上昇

特に短頭種は、もともと気道が狭く、呼吸に負担がかかりやすい体の構造です。
太ることでさらに呼吸が苦しくなり、運動を避ける → 太る…という悪循環に陥ってしまいます。


自宅でできる!体型・体重管理術

① 毎月の体重測定を習慣に

  • 小型犬なら家庭用の人間の体重計に乗せてもOK(抱っこして差分を測る)
  • 月に1回は測定し、記録しておきましょう
  • 増減がある場合はその都度フード量やおやつの見直しを

② おやつのカロリーにも注意!

  • 「ごはんを減らしてるから、おやつくらいはいいかな」と思いがち
  • でも実はおやつのカロリーが1日の摂取量の20〜30%を占めていることも!
  • おやつをあげるなら、フードから引いて調整

③ 食事量は「袋の裏」ではなく「その子基準」で

フードのパッケージに書かれている「給与量」はあくまで目安。
年齢、運動量、避妊去勢の有無、体質によって必要量は異なります。

  • 健康診断の結果を元に、獣医師と一緒に適正量を決めるのがおすすめ
  • 「減量用フード」や「療法食」の活用も有効です

④ 毎日の運動も工夫しよう

  • 息が上がらない範囲で、こまめな散歩や室内遊びを
  • 水分補給と暑さ対策を忘れずに!
  • 動かない日が続いたら、食事量も少し見直して

最後に:体型チェックも「健康診断の大切な目的」

「うちの子、ちょっとぽっちゃりしてるくらいが可愛いよね」
そう思う気持ちはとてもよくわかります。

ですが、愛犬の“今の可愛さ”を守るために、体型管理はとても大切なケアです。

年に1回の健康診断では、単なる「病気の有無」だけでなく、
体重、BCS、筋肉量、代謝バランスなど、健康の土台となる情報をしっかり確認できます。

体重はすぐに戻せるものではありませんが、
少しずつ意識することで、確実に変えていけます。

「うちの子、もしかして太り気味かも?」と気になった方は、
ぜひお気軽にご相談くださいね。


📍イース動物病院では、健康診断プランもご用意しています。
「ちょっと気になる…」というだけでも大丈夫です。
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