仔犬に多い歯科トラブルと早めにできる予防方法
~将来の健康のために、今から始めるデンタルケア~
はじめに
仔犬を迎えると、食事やトイレトレーニング、しつけに注目しがちですが、実は見落とされやすいのが「歯と口の健康」です。
人間と同じように、犬も歯のトラブルが健康に大きく影響します。特に仔犬の時期にケアを始めておくと、一生を通じて歯や歯ぐきの病気のリスクを減らすことができるんです。
この記事では、
✅ 仔犬によくある歯のトラブル
✅ それらのトラブルを防ぐために、飼い主さんができること
✅ 獣医さんやプロに頼るタイミング
などを、わかりやすく解説します。
仔犬に多い歯科トラブルとは?
1. 乳歯遺残(にゅうしいざん)
乳歯が抜けずに残ってしまう状態で、特に小型犬によく見られます。
▶ 通常、乳歯は生後4〜6か月で自然に抜け落ち、永久歯が生えてきます。
▶ ところが、乳歯が抜けずに残ったままだと、永久歯と並んで二重歯列になり、歯並びが悪化。
▶ 歯垢や歯石がたまりやすくなり、将来の歯周病や噛み合わせの不調の原因にも。
🦴 こんなサインに注意!
- 歯が重なって生えている
- 歯がグラグラしていないのに永久歯が見えてきた
- おもちゃを噛むのを嫌がる
→ こうした場合は、動物病院で抜歯が必要なこともあるので、早めの受診を。
2. 歯石・歯垢の蓄積
「まだ仔犬だから大丈夫」と思っていませんか?
実は、歯垢は24時間以内に歯石に変わると言われています。早い子だと、生後6か月ごろから歯石がつき始めます。
歯石がたまると、
✅ 歯ぐきの腫れ・出血
✅ 口臭
✅ 歯周病(放っておくと歯が抜けることも!)
に繋がるので、早い段階で予防をスタートするのが大切です。
3. 歯並び・噛み合わせの異常
犬種によっては、もともとの骨格の影響で歯がうまく並ばなかったり、噛み合わせが悪かったりします。
▶ 特に注意したい犬種:
- パグ、シーズー、フレンチブルドッグなどの短頭種
- ヨークシャーテリア、チワワ、トイプードルなどの超小型犬
症状がひどいと、
✅ 食べ物をうまく噛めない
✅ 歯やあごに負担がかかりすぎて折れたり、歯ぐきを傷つけたりする
といった問題が起こることも。
仔犬のうちからできる!デンタルケアのポイント
「成犬になってから」ではなく、仔犬のうちからの習慣化がとにかく重要です。
1. 歯みがきの習慣化
デンタルケアの基本は、毎日の歯みがき。ただし、いきなり歯ブラシを口に入れるのはNG!
🪥 ステップ別・歯みがきトレーニング
- 口のまわりを触られることに慣れさせる(毎日少しずつ)
- 指にガーゼや歯みがきシートを巻いて優しく前歯を拭く
- 歯みがきペースト(犬用・飲み込んでもOK)を使う
- 少しずつ歯ブラシに移行していく
☑ 初めは1日1本の歯でもOK!続けることが大切です。
2. デンタルケアグッズの活用
歯ブラシ以外にも、遊びながらケアできる便利グッズがたくさんあります。
🦴 デンタルトイ(噛むことで汚れを落とす)
🦷 デンタルガム(噛む習慣をつけながら口臭予防)
🧴 デンタルスプレー・飲み水に混ぜる液体タイプ(歯みがきが難しい子に)
👉 ただし、あまりにも硬いガムや骨は、歯の破折のリスクがあるため注意が必要です。
3. 獣医師による定期チェック
特に、生後6〜12か月は乳歯から永久歯への生え変わりの重要な時期。
この時期に動物病院でお口の状態をチェックしてもらうことで、
- 乳歯遺残の早期発見
- 歯並びの異常
- 歯石の初期症状
などを確認できます。
🩺 健康診断の際に「歯も見てください」と伝えると◎
成犬になってからでは遅い?
「成犬になってから歯みがきを始めたけど、嫌がってできない」
という悩みはよく聞かれます。そうなる前に、仔犬のうちに慣らしておくことが一番の予防策です。
また、デンタルケアをサボると将来的に
・歯石除去の全身麻酔手術(高額)
・歯の抜歯(永久歯は一生もの)
・内臓疾患への悪影響(口腔内の細菌が血流に乗って心臓や腎臓へ)
といったリスクも増します。
まとめ
犬の健康は、「お口のケア」から始まります。
特に、仔犬の時期は予防のゴールデンタイム。しっかりケアを習慣化することで、将来的に多くのトラブルを避けることができます。
最後にもう一度チェック!
✅ 乳歯の抜け方、おかしくない?
✅ 歯ぐきの色や臭い、大丈夫?
✅ 歯みがき、毎日できてる?
どれか一つでも不安があれば、早めに動物病院でチェックしてもらいましょう。