人の薬や生活用品(風邪薬、睡眠薬、電池、保冷剤など)を誤食してしまった

目次

風邪薬  緊急度☆3~5

︎中毒量

アセトアミノフェン 犬:100-600mg/kg 、猫:50-100mg/kg

アセトアミノフェンは軽症であれば胃腸障害重症であれば犬で急性肝障害、猫で貧血(メトヘモグロビン血症)が認められます。

イブプロフェン  犬:25-600mg/kg 、猫:12.5-300mg/kg

イブプロフェンは軽症であれば胃腸障害重症であれば大量の消化管出血(吐血や黒色下痢)や急性腎障害、痙攣発作や昏睡などの重篤な神経症状を示し、最悪の場合には致死的な症状を示します。

誤食した場合

アセトアミノフェンの場合、 吸収までに1時間以内と早い薬剤であるので、早急な来院をお勧めします。 解毒・拮抗薬としてNアセチルシステインという薬が存在します。

イブプロフェンの場合には一般的な中毒治療(催吐処置や胃洗浄や点滴など)に加えて、脂肪乳剤(中毒物を吸着させる静脈点滴剤)を用いた治療も行う場合があります。

睡眠導入剤  緊急度☆2~5

薬の種類によりますが、不明な場合もあります。

症状

一般的に人薬で処方される睡眠導入剤として、ベンゾジアゼピン系非ベンゾジアゼピン系があり、犬猫が摂取すると、沈静または興奮などの神経症状が認められます。

誤食した場合

深い鎮静、呼吸抑制などの重篤な症状を示す場合にはフルマニゼルという拮抗薬を用います。 また、肝障害などの副作用を示す場合もあります。

摂取してしまった場合には催吐処置や点滴、毒素吸着剤投与などの治療が必要がありますので、まずはご連絡ください。

乾電池  緊急度☆4

︎電池のような消化できない異物を飲み込むこと自体が危険ですが、中でもアルカリ電池に含まれるアルカリは中毒を引き起こす原因となります。

症状

アルカリ成分が漏出すると、組織や細胞を壊死させ、壊死領域を液化させてしまいます。

例えばアルカリ電池を犬がかじって成分が漏れ出た場合、口の粘膜への刺激が顕著に現れます。口の中は爛れてしまい、口腔内潰瘍や火傷になったりする場合もあります。

丸ごと誤食した場合、胃の中では消化液により、徐々に電池が溶け出し、アルカリ成分が漏出することもあります。その場合は胃潰瘍や胃穿孔(胃に穴が開く)こともあります。

誤食した場合

できるだけ早期の回収が必要です。電池の存在部位を特定するために、レントゲン検査を行います。

誤食した直後に胃内であれば、大きさなどをみて催吐処置や内視鏡検査でできるだけ早く取り除く必要があります。

長時間経過していても胃内にあるようであれば、内視鏡や胃切開などで摘出します。

腸管にある場合は糞便と一緒に出る可能性もありますが、状態次第で腸切開などが必要と判断します。

保冷剤(エチレングリコール) 危険度☆1または☆5

保冷剤に含まれるエチレングリコールという成分が犬猫において危険な中毒物質となります。 エチレングリコールは保冷剤の不凍液(カチカチに凍らせない)として使われています。 しかし、小さい子供が保冷剤の中身を誤食してしまって問題になったケースもあったことから、1990年代頃にはエチレングリコールを使用した保冷剤はほとんど市場から姿を消しています。現在は毒性のない食品添加物としても認められているプロピレングリコールという物質などが不凍液として使われています。 昔から使っている保冷剤にはエチレングリコールが含まれている可能性もあるので、ここではエチレングリコールを誤食してしまった場合を紹介します。

中毒量

・犬での致死量 6.6ml/kg

症状

保冷剤や不凍液などに含まれる可能性のあるエチレングリコールは摂取量や摂取時間に大きく左右されます。摂取から2-3時間で血中に到達し、摂取から4時間で中毒症状が現れ始めます。

数時間以内:嘔吐、多飲多尿、けいれん、意識障害

12-24時間:頻脈・不整脈、頻呼吸、低カルシウム血症

(犬)1日〜3日:急性腎障害

(猫)2〜24時間:急性腎障害

誤食した場合

エチレングリコールの吸収は比較的に速く、誤食直後であれば催吐処置や胃洗浄が有効となります。

誤食から数時間が経過している場合は、直ちにに輸液やエチレングリコールの代謝阻害を目的としたエタノールの投与が必要となります。

まとめ

今回は人の薬や生活用品の誤食について紹介させて頂きました。

大切なワンちゃん、ネコちゃんが何かを誤食してしまったかもしれない場合には当院へご連絡ください。

中毒・誤食について↓↓

・異物の誤食・中毒について はじめにお読みください

人の食べ物やおやつ(チョコレート、ねぎ類、キシリトール、ブドウなど)

・有害物(タバコ、殺鼠剤、殺虫剤など)

・植物(観葉植物、公園などに咲いている花など)

・異物の誤食(固形のおもちゃ、ぬいぐるみ、ひも状、針・竹串、鳥の骨、ティッシュやペットシーツなどの紙、砂など)

イース動物病院

〒143-0015 東京都大田区大森西4-17-20

TEL:03-3768-7606