もしかして関節炎?猫の“動き”から分かるサインとは~整形疾患は身近に?!~
こんにちは!大田区大森のイース動物病院です。今回は猫ちゃんに多く見られる「骨関節炎」について詳しく解説します。犬では比較的知られている病気ですが、実は猫でも非常に多くみられ、特に高齢になると半数以上の猫が骨関節炎を抱えているといわれています。にもかかわらず、猫は痛みを隠す動物のため、飼い主さんが気づかずに進行してしまうケースが少なくありません。
当院ではこんなことがありました。
「最近あまり動きたがらなくてあっるいたと思ったらこける」ということで当院の」整形専門外来に受診されました。
当院では2次診療センターの整形外科・整形内科 医長の伊澤先生によって検査から診察までおこなっています。


この子は重度の骨関節炎と診断となりました。
その子にあった治療方針を当院では行っており、この子は月に1度注射を打つことになりました。
飼い主様も現在は「昔みたいに元気になり、朝方から活動的になった。」
ととても満足しています。
では本日は骨関節炎についてお話させていただきます。
骨関節炎とは?
骨関節炎(こつかんせつえん、Osteoarthritis:OA)とは、関節に炎症が起こり、軟骨がすり減ることで関節の変形や痛み、可動域の制限を引き起こす慢性的な病気です。加齢による変化のほか、過去の外傷や関節形成不全などの整形外科的疾患が原因となることもあります。
特に猫は、犬に比べて症状が分かりづらいのが特徴です。「高齢だから動かなくなったのだろう」と思っていたら、実は骨関節炎で強い痛みに苦しんでいた、ということも珍しくありません。
猫の骨関節炎の症状
猫の骨関節炎は、犬のように明らかな「足のびっこ」として出ないことが多いため、以下のような行動の変化に注意が必要です。
- 高いところへ登らなくなった
- 階段を避けるようになった
- 毛づくろいの回数が減り、毛並みが悪くなった
- トイレに失敗することが増えた(段差を越えるのが辛いため)
- 性格が変わり、触られるのを嫌がるようになった
これらは「加齢のせい」ではなく、骨関節炎による痛みのサインである可能性が非常に高いのです。
骨関節炎の原因
- 加齢による関節軟骨の摩耗
- 過去の外傷(骨折や脱臼など)
- 股関節形成不全や膝蓋骨脱臼などの整形外科的疾患
- 肥満による関節への過剰な負担
とくに整形外科的な基礎疾患がある場合は、年齢に関係なく早期から骨関節炎が進行してしまうこともあります。
診断方法
猫の骨関節炎を診断するには、一般的な診察だけでは不十分です。レントゲン検査が不可欠であり、さらに精密に診断するにはCTやMRIなどの高度な画像検査が必要になることもあります。特に猫の場合、症状が分かりにくいため「整形外科専門医による評価」が非常に重要です。一般的な診察だけでは見逃されてしまうケースが多く、実際に当院でもセカンドオピニオンでいらした方が「もっと早く整形外科を受診していれば…」と後悔されることがあります。
治療方法
猫の骨関節炎の治療は、進行具合や原因疾患によって異なります。
- 内科的治療
- 消炎鎮痛薬の投与
- 関節保護サプリメント(グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸など)
- 体重管理
- 外科的治療
- 股関節形成不全や膝蓋骨脱臼に伴う骨関節炎では、根本治療のために外科手術が必要な場合があります。
- 特に若齢から発症している場合、手術を行わなければ早期に関節が破壊されてしまう危険性があります。
ここで強調したいのは、整形外科に強い病院での診断・治療が不可欠であるということです。骨関節炎の管理はただ薬を出すだけではなく、その子の骨格や既往歴をふまえて総合的に判断しなければならないからです。
整形外科専門の診断を強くおすすめする理由
一般診療では「年齢のせい」と片付けられてしまうことが多い骨関節炎ですが、整形外科専門医が診ると「実は膝蓋骨脱臼が原因」「過去の骨折による関節変形が原因」など、根本的な原因が明らかになるケースが少なくありません。
根本原因を突き止めて適切に治療すれば、猫の生活の質(QOL)は劇的に改善します。高いところへ再び登れるようになった、触られても嫌がらなくなった、毛づくろいを再開した──こうした変化を見せてくれる猫ちゃんはたくさんいます。
飼い主さんへのメッセージ
もし愛猫に以下のような変化が見られたら、それは「老化」ではなく「骨関節炎」かもしれません。
- 動きが鈍くなった
- 段差を避ける
- 性格が変わった
これらのサインを見逃さず、ぜひ一度、整形外科に強い動物病院での診断を受けてください。痛みを取り除くだけで、猫の生活は大きく変わります。早期に適切な治療を始めることで、猫ちゃんは再び元気に、快適な毎日を送ることができます。
まとめ
猫の骨関節炎は決して珍しい病気ではなく、多くの猫が悩まされています。ですが、症状が分かりにくいため「気づいたときにはかなり進行していた」ということも多いのです。だからこそ、少しでも気になる変化があれば、迷わず整形外科を受診してください。
猫は言葉で痛みを訴えることができません。飼い主さんが変化に気づき、早期に整形外科の専門診断を受けさせてあげることが、猫ちゃんの幸せな一生につながります。
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
関節炎と診断された。関節炎の治療をしているがよくならない。どこか痛そう。活動性が減った。などありましたらご相談ください!
当院ではその子その子にあったオーダーメイドの治療方針をご提案させていただきます。