この骨の病気、気づいた時には手遅れかも。子犬・子猫の関節が危ない!~整形疾患は身近に?!~

こんにちは!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です!

本日は若い子のワンちゃんネコちゃんでも起きてしまうかもしれない整形疾患についてお話しさせていただきます!

実は当院毎週月曜日に整形専門外来を行なっています。二次診療の整形外科・内科を行なっています医長が当院に診察から現在の状況、今後の治療方針などしっかりとお話しさせていただいています。

また当院ではたくさんのご紹介や飼い主様ご自身で探されセカンドオピニオンでご来院される方が多くみられます。

ご来院された方は皆さんかなり悩まれ、ワンちゃんネコちゃんもかなり痛がっている様子でご来院されています。

その子やご家族、お家での環境など合わせた治療方針をご提案し痛みのない生活に戻ってもらいたいと思っています。

では本日は若い子でも起きてしまうかもしれない整形疾患についてお話しさせていただきます。

ペットとして迎え入れた子犬や子猫は、まるで家族のような存在。しかし、彼らの体はまだ未発達で、特に「骨」や「関節」などの運動器官は非常に繊細です。この時期に発症しやすいのが「整形外科疾患」です。発見が遅れれば痛みや変形を伴い、生涯にわたるハンディキャップを背負うこともあります。

本記事では、子犬・子猫に多い整形外科疾患を解説し、発症しやすい犬種・猫種、症状、治療法、そして飼い主としてできる予防対策を詳しくご紹介します。


【1】子犬に多い整形外科疾患と品種別リスク

■ 1-1 股関節形成不全

股関節の発育が不完全で、関節が緩くなり、将来的に変形性関節症へと進行する恐れのある遺伝性疾患です。特に大型犬に多く、歩行障害や慢性的な痛みの原因となります。

主な症状:

  • 後肢のふらつき
  • 歩行時のスキップや左右非対称な動き
  • 階段やジャンプを嫌がる

発症しやすい犬種:

  • ラブラドール・レトリーバー
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ジャーマン・シェパード
  • グレート・デーン
  • バーニーズ・マウンテン・ドッグ
  • ロットワイラー
  • スタンダード・プードル など

■ 1-2 肘関節形成不全

肘関節の発達異常で、関節の摩擦や変形が進むことで痛みや跛行が出ます。複数のタイプが存在し、外科治療が必要なケースも多いです。

主な症状:

  • 前肢の跛行
  • 運動後の痛み
  • 前脚を突っ張るような歩き方

好発犬種:

  • ラブラドール・レトリーバー
  • ジャーマン・シェパード
  • バーニーズ・マウンテン・ドッグ
  • ロットワイラー
  • チェサピーク・ベイ・レトリーバー

■ 1-3 骨端板損傷(成長板骨折)

成長中の骨の「成長板」が損傷すると、骨の長さや形に異常が出る可能性があります。高い所からの落下やジャンプなどで発生しやすく、早期の整復が不可欠です。

主な症状:

  • 脚をつけない、腫れている
  • 明らかな変形
  • 動こうとしない

リスクが高い犬種:

  • トイプードル
  • チワワ
  • ポメラニアン
  • 柴犬(活発な行動傾向)
  • ヨークシャーテリア
  • パピヨン

■ 1-4 膝蓋骨脱臼

膝の皿が正常な位置から内外にズレる疾患で、小型犬に多く、両足に症状が出るケースもあります。

主な症状:

  • 時々足を浮かせて歩く
  • 跳ねるような歩行
  • 常に後肢の動きがぎこちない

発症しやすい犬種:

  • トイプードル
  • チワワ
  • ヨークシャーテリア
  • ポメラニアン
  • パピヨン
  • ミニチュア・ピンシャー
  • フレンチ・ブルドッグ
  • 柴犬
  • シーズー
  • ペキニーズ

【2】子猫に多い整形外科疾患とリスク品種

■ 2-1 膝蓋骨脱臼(猫にもあります)

小型犬と同様、猫でも膝蓋骨脱臼が見られます。症状が軽度であることが多く、発見が遅れやすいのが特徴です。

好発猫種:

  • マンチカン
  • スコティッシュフォールド
  • アメリカン・カール
  • ミヌエット

■ 2-2 橈尺骨の骨折

好奇心旺盛な子猫は高いところから飛び降りたり、転落することで前足を骨折しやすく、とくに「橈骨・尺骨」の骨折が頻発します。

注意すべき猫:

  • ベンガルやアビシニアン(活発)
  • メインクーン、ノルウェージャン(高所好み)
  • シャム、オリエンタル(骨が細い)

■ 2-3 遺伝性の骨疾患(軟骨異形成など)

特定の猫種では、見た目の特徴が遺伝的な骨疾患によるものである場合があります。

リスクが高い猫種:

  • スコティッシュフォールド(軟骨異形成)
  • マンチカン(四肢の変形)
  • ペルシャ、ブリティッシュショートヘア(骨変形の報告あり)

【3】整形外科疾患の予防と飼い主ができること

  • 滑りにくい床材にする(フローリングにはカーペットやマットを敷く)
  • 段差や高所を減らす
  • 適正な栄養管理(特に大型犬は急成長を防ぐ)
  • 体重管理(関節への負担軽減)
  • 運動のバランス(過度なジャンプは避ける)
  • 定期健診の受診とレントゲンによる早期検出

【まとめ】

整形外科疾患は、一見「些細な違和感」から始まり、見逃すと重大な障害へと進行する可能性があります。特に遺伝的素因のある犬種・猫種では、幼少期からの注意深い観察と環境の整備が不可欠です。

可愛い家族である子犬・子猫が健やかに成長するために、今からできることを一つずつ実践していきましょう。

当院では毎週月曜日に整形専門外来を行なっています。

実は若いワンちゃんやネコちゃんでも整形疾患はいつ起きてもおかしくないものです。どこか身体が痛そうやびっこ引いている。などありましたらお気軽にご連絡ください。