この行動をしたら即病院!前足をかばう小型犬に隠された危険サイン~整形疾患は身近に⁈~
こんにちは!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です!
皆さんは大事なワンちゃんが急に前の手に力が入らなくなったらどうしますか?
当院ではこんなことがありました。
「他の動物病院で前の足を骨折したが、保存療法でいける。と言われた。でも未だに上手く歩かないし変。整形専門の先生に診察してもらいたい。」

とのことで当院の整形専門外来に受診しました。
診察を行い、『橈尺骨骨折』と診断となり、飼い主様に1から現在起きている状況、今後のリスク、治療方針をお話し、手術することになりました。


現在はとても元気に走り回るくらい回復し、運動制限も徐々に解除していっています。
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
横浜にある2次診療の整形外科・整形内科の医長 伊澤先生が検査から診察、治療まで行っています。
今回は、小型犬に多く見られる橈尺骨(とうしゃっこつ)骨折について、詳しく解説していきます。
骨折は命に関わらないからと軽く考える方もいらっしゃいますが、治療方法の選択やその後の生活の質(QOL)に大きく関わる非常に重要なケガです。
とくに整形外科の専門的な知識や技術が必要となるケースが多いため、私たちは整形専門外来の受診を強くおすすめしています。
■ 橈尺骨とは?どんな骨?
まず、「橈尺骨(とうしゃっこつ)」とは、犬の前肢(前足)の前腕部にある2本の骨を指します。
- 橈骨(とうこつ):体の前側を通る太い骨
- 尺骨(しゃっこつ):体の後側にある細めの骨
この2本の骨は連結しており、前足の体重支持や**関節の動き(特に手首の屈伸)**を担っています。
特に小型犬ではこの橈尺骨が細く、折れやすい構造になっているため、骨折のリスクが非常に高いのです。
■ 橈尺骨骨折が起こりやすい犬種
橈尺骨骨折は小型犬〜超小型犬に圧倒的に多いと言われています。以下のような犬種が特に注意が必要です。
- トイ・プードル
- チワワ
- ポメラニアン
- ヨークシャー・テリア
- パピヨン
- マルチーズ
これらの犬種は骨が細くて脆いため、わずかな衝撃でも骨折してしまうことがあります。
■ 骨折の原因は?
犬の橈尺骨骨折の原因として、以下のようなケースがよくあります。
・抱っこからの落下
とても多い原因です。小型犬を抱いていて床に落としてしまった、あるいは犬自ら飛び降りてしまったというケースで骨折が発生します。
・ソファやベッドからのジャンプ
一見大した高さではなくても、着地の角度や床の硬さによっては簡単に骨が折れてしまいます。
・交通事故
屋外での交通事故や自転車との接触も、骨折の重大な原因の一つです。
・多頭飼育による接触・転倒
他の犬とのじゃれ合いや衝突によってバランスを崩し、骨折することもあります。
■ 骨折の症状
橈尺骨骨折の主な症状には以下のようなものがあります。
- 前足を地面に着けない(非負重)
- 強い痛みのため、触るとキャンと鳴く
- 腫れや変形
- ぶらんぶらんと不自然に動く
- 元気・食欲の低下
骨折は放置すればするほど治療が難しくなり、癒合不全や変形癒合を引き起こすこともあります。
すぐに動物病院を受診しましょう。
■ 橈尺骨骨折の治療法
骨折の治療法は、骨の折れ方(完全骨折・不全骨折など)や折れた部位・角度・年齢・体重によって異なりますが、以下のような選択肢があります。
1. 保存療法(ギプスや副木)
軽度の骨折や、手術ができない状況で行うこともありますが、小型犬の橈尺骨骨折には不向きです。
理由としては:
- 骨の安定性が低く、癒合が不完全になる
- 関節が固まってしまうリスクがある
- 再骨折の可能性が高い
2. 外科手術(整形外科的治療)
現在、小型犬の橈尺骨骨折において最も推奨される治療法が、整形外科的な手術による固定です。
具体的には:
- プレート固定法(ロッキングプレート)
- 髄内ピン(IMピン)
- 創外固定(エクスターナルフィクス)
といった方法があります。
なかでもプレート固定は安定性が高く、癒合も早いため、多くの整形専門医が選択しています。
■ なぜ整形専門外来の受診が必要なのか?
橈尺骨骨折は非常に繊細な治療が必要な部位であり、手術の技術レベルによってその後の予後が大きく変わるため、整形外科の専門知識と経験を持つ獣医師による診察が不可欠です。
整形専門外来のメリット:
- 高度な画像診断(レントゲン・CTなど)
- 骨の角度や癒合予測に基づく正確な手術計画
- 専用のインプラントやプレートを使用した手術
- 術後のリハビリ・再発防止への対応
また、整形外科専門医は万が一の合併症にも迅速に対応できる体制を整えています。
■ 術後の注意点とリハビリ
橈尺骨骨折の手術後は、適切な安静・経過観察・リハビリがとても重要です。
- ケージレスト(2〜4週間)
- 定期的なレントゲン検査で骨の癒合確認
- 徐々に歩行訓練を開始
- 階段・ジャンプの禁止
リハビリについても整形外来では専門的な指導が可能なため、ぜひ併せてご相談ください。
■ まとめ:橈尺骨骨折は早期発見・専門治療がカギ!
犬の橈尺骨骨折は、放置すれば癒合不全・歩行障害・慢性的な痛みにつながる可能性もある深刻なケガです。
特に小型犬では、
- 予想外の場面で骨折が起こる
- 保存療法が適さないケースが多い
- 外科手術でも高度な技術が求められる
ため、整形外科専門の外来を早期に受診することが非常に重要です。
当院では、整形外科の専門的な診察・手術・リハビリまで一貫して対応可能な体制を整えています。
「足をつけない」「泣いて歩かない」「腕が変な方向に曲がっている」などの症状に気づいたら、すぐにご相談ください。
■ 最後に:飼い主様へのお願い
骨折は予防が難しい面もありますが、以下のような工夫でリスクを減らすことができます。
- 抱っこから降ろすときは必ず地面まで手を添える
- ソファやベッドの高さに注意し、ステップを設置
- 滑りやすいフローリングにはマットを敷く
- 他の犬との遊びは目を離さない
小さな愛犬の健康を守るためにも、正しい知識と早期の対応が何より大切です。
【ご相談・ご予約はこちら】
イース動物病院 整形外科専門外来
📞電話:03-3768-7606
📍所在地:東京都大田大森西4-17-20
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
高いところから落ちた。(落下した)足が急に力が入っていない。前手が力が入っていない。ぶらぶらしている。扉などに挟んだ。以前橈尺骨骨折して内科療法していたが、よくならない。などありましたらご相談ください。
お気軽にご相談ください。