えっ、うちの子の手おかしい…!?実は“前腕変形”という病気かもしれません~整形疾患は身近に?!~

こんにちは!東京都大田区大森のイース動物病院です。

「うちのワンちゃん、なんだか前足が曲がってきた気がする…」
「前足の骨が変な方向に伸びてる?」
そんな風に感じたことはありませんか?

当院ではこんなことがありました。
「最近前の手がすごく開いてきた気がする。でも他の病院でこれも個性だから仕方ないよ。と言われた」

とのことで整形専門外来に受診されました。

当院では二次診療の整形外科・整形内科医長の伊澤先生によって、検査から診察まで行わせていただいています。検査結果は前腕変形と診断されました。

今回飼い主様は手術は様子見たいが伊澤先生に診察を定期的にしてもらいたい。との事で現在も内科療法を取りながらコントロールをしています。
特に小型犬や短足犬種で見られることが多く、放置してしまうと歩行障害や関節炎、さらには将来的な慢性痛につながる重大な整形疾患です。

本記事では、この「前腕変形」の原因・症状・治療について詳しく解説し、なぜ整形専門外来を早期に受診すべきなのか、その重要性を徹底的にお伝えします。


◆「前腕変形」とは?

犬の前足には、**橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)**という2本の骨があります。
この2本の骨が連動して成長することで、まっすぐな前足が形成されます。

しかし、何らかの原因で片方の骨の成長が止まってしまうと、もう一方の骨とのバランスが崩れ、骨がねじれたり、湾曲したり、手首(手根関節)が外側や内側に曲がってしまうことがあります。これが「前腕変形」です。


◆なぜ起きる?前腕変形の原因

前腕変形は、以下のような原因によって発症することが多いです。

① 外傷(骨折など)の後遺症

子犬の頃に骨折し、その際に成長板(骨の端にある軟骨組織)を損傷した場合、骨の成長が部分的に止まってしまうことがあります。これがもっともよくある原因の一つです。

② 遺伝的な素因

特に以下の犬種で多く見られます。

  • ダックスフンド
  • コーギー
  • シーズー
  • チワワ
  • ポメラニアン

これらの犬種はもともと骨が短く、やや変形しやすい傾向があります。

③ 栄養のアンバランスやホルモン異常

カルシウムやリン、ビタミンDの不均衡も骨の成長異常に影響を与える場合があります。


◆飼い主さんが気づくサインとは?

見た目の異常が一番わかりやすいですが、次のような症状にも注意が必要です。

  • 前足が明らかに曲がっている
  • 歩くときに片足をかばう
  • 前足を引きずる
  • 手首が内側や外側に傾いている
  • じっとしているときに左右で立ち方が違う
  • 散歩を嫌がる
  • 足先をなめる、噛む

これらの症状が見られた場合、すぐに整形の専門的な診察を受けることをお勧めします。


◆レントゲンでの診断がカギ!

前腕変形の診断には、整形外科的な視点でのレントゲン検査が必須です。

一般的なレントゲン撮影では見逃されるようなわずかな変形や角度の異常も、整形専門の医師であれば正確に評価できます。また、左右の足を同時に撮影・比較することで、骨の長さや成長状態の差も明確になります。

整形に慣れていない動物病院では、「ちょっと足が曲がってるだけ」と判断されてしまうケースもあります。


◆治療法は?成長段階によって異なる

治療方法は、年齢や変形の度合いによって大きく異なります。

●成犬の場合(成長板が閉じている)

→ **骨切り術(Osteotomy)**と呼ばれる外科手術が必要です。変形した骨を一度切り、正しい角度で固定し直します。

この手術は高い専門性が求められるため、整形専門の設備と技術がある病院でしか対応できません。


◆手術が必要ないケースもあるが要注意!

ごく軽度の変形で、痛みや歩行障害が出ていない場合、経過観察をすることもあります。

ただし、痛みがなくても関節に無理な力がかかり続けると、将来的に関節炎や靭帯損傷を起こすことがあります。そのため「軽度だから大丈夫」と自己判断せず、必ず専門的な診断を受けてください。


◆整形専門外来を受診すべき理由

ここまでお読みいただいた方にはもうお分かりかもしれません。

犬の前腕変形は、
「見た目がちょっと曲がっているだけ」では済まされない重大な疾患です。
そして、
治療も診断も、整形外科の高度な知識と経験が必要です。

誤診や放置によって、将来、痛み・歩行障害・生活の質の低下に直結する可能性が高いのです。

当院では、整形外科の専門外来を設け、レントゲン診断・高度な外科手術まで対応可能です。経験豊富な整形獣医師がしっかりと状態を評価し、最善の治療プランをご提案します。


◆まとめ

  • 犬の前腕変形は、成長板の障害や遺伝によって起こる
  • 放置すると痛み・関節炎・歩行障害の原因になる
  • 手術が必要な場合、高度な整形外科技術が必要
  • 早期発見・早期治療がカギ!
  • 少しでも気になったら、整形専門外来を受診するのが最善の選択!

「うちの子、ちょっと足が曲がってる気がする…」
そんなときは、迷わず当院の整形外来にご相談ください。

私たちは、大切な家族であるワンちゃんの健康と快適な毎日を守るため、最善の治療を提供する準備があります。

ご相談はお気軽に。
イース動物病院までどうぞ!