【猫の腎臓に石⁉】見逃すと命に関わる腎臓結石と健康診断の重要性

こんにちは!東京都大田区大森のイース動物病院です。
今日は、猫ちゃんでとても増えている「腎臓結石(じんぞうけっせき)」について、詳しくお話ししていきます。
そして、そんな病気を早期発見・早期治療するために欠かせない「健康診断の重要性」についてもご紹介します。


■ 猫に多い「腎臓結石」とは?

「腎臓結石」とは、腎臓の中に石(結石)ができる病気です。
この石は、ミネラルなどが尿の中で結晶化し、次第に大きくなって固まったもの。
結石は尿管や膀胱にできることもありますが、腎臓にできると無症状のまま進行することも多く、気づいたときには手遅れというケースも…。


■ 腎臓結石の主な原因

腎臓結石ができる原因は、以下のような複数の要因が関係します。

  • 水分摂取量が少ない(ドライフード中心など)
  • 遺伝的な体質
  • 尿のpHバランスの乱れ
  • ミネラルの過剰摂取
  • 慢性的な腎臓病

特に猫はもともと「水をあまり飲まない動物」なので、尿が濃くなりやすく、結晶ができやすい体質を持っています。


■ 腎臓結石の症状とは?

猫の腎臓結石は、初期ではまったく無症状のことも珍しくありません。
しかし進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 食欲が落ちた
  • 嘔吐が増えた
  • 元気がない
  • 体重が減ってきた
  • おしっこの量や回数に異常がある
  • 血尿や排尿時の痛み

さらに、腎臓結石が尿管につまると「尿管閉塞(にょうかんへいそく)」を引き起こし、急性腎不全に進行する危険性があります。これは命に関わる重大な状態です。


■ 検査で何がわかる?

腎臓結石は、画像検査(レントゲンや超音波検査)で見つけることができます。
また、血液検査では腎臓の機能(BUN・クレアチニン・SDMAなど)の状態がわかり、尿検査では尿の濃さ、潜血、結晶の有無などが確認できます。

つまり、健康診断で見つけられる病気なのです。


■ 治療はどうするの?

治療は、石の大きさ、位置、症状の有無によって異なります。

  • 小さくて症状がない → 定期的なモニタリングと食事療法
  • 尿管閉塞がある → 緊急の外科手術(尿管ステントやSUBシステムなど)
  • 腎臓機能の悪化 → 点滴や内科的なサポート治療

特に尿管閉塞は放置すると数日で命を落とすこともあるため、迅速な対応が必要です。


■ 猫の腎臓病は本当に多い!

実は猫の死亡原因でとても多いのが「慢性腎臓病」です。
加齢とともに発症リスクが高まり、10歳を超えた猫の約3割が腎臓病を抱えているとも言われています。
腎臓結石が原因で腎臓の機能が損なわれることもあり、「結石」も「腎不全」も早期発見が何より大切なのです。


■ 健康診断を受けるタイミングは?

健康診断の目安は以下の通りです。

  • 若齢期(~6歳):年1回
  • 高齢期(7歳~):年2回

特に腎臓病は血液検査でも初期では出てこないこともあります。
SDMAなどの早期マーカーを含んだ検査や、腹部エコーを組み合わせることで、より正確な状態把握が可能になります。


■ 健康診断で実際に見つかったケース

【症例】
8歳の猫ちゃん。元気食欲はあるが、健康診断で エコーやレントゲンで腎臓結石を確認。

下の画像は、レントゲン画像。青いラインが腎臓。オレンジで囲ってる白い部分が腎臓結石です。


下の画像が、エコー画像です。青いラインが腎臓。オレンジで囲ってる白い部分が腎臓結石です。

本人は元気でも、すでに腎機能にダメージが! → 食事療法と定期検査で進行を遅らせることができています。

■ 犬も油断禁物!

もちろん犬にも腎臓結石は起こります。
ただし、猫のほうが無症状で進行しやすく、発見が遅れやすいのが特徴です。
犬も定期的な健康診断で、腎機能や尿の異常をチェックすることが重要です。


■ まとめ:定期健診は、あなたのペットの命を守る「備え」

腎臓結石は、「ある日突然、命の危険が訪れる」病気です。
けれど、健康診断で早期に見つければ、大きな治療をせずに済むこともあります。

飼い主さんが「まだ元気だから…」と思っていても、
実は静かに進行している病気があるかもしれません。

ぜひ、1年に1回、そして7歳を超えたら半年に1回は、健康診断を受けるようにしてくださいね。

ご不明な点がございましたら、イース動物病院に問い合わせ下さい。