「犬猫の抜歯って必要? 知らないと怖いお口の病気と健診で守れる健康」


こんにちは!東京都大田区大森のイース動物病院です。
今回は、ワンちゃんやネコちゃんに意外と多い「抜歯」についてのお話です。

「ごはんも食べているし元気だから大丈夫!」と思っていませんか?
実は、犬猫の抜歯は珍しい治療ではなく、多くが 歯周病などの予防できる病気 によって行われています。

今日は、なぜ抜歯が必要になるのか、そして定期健診でどう防げるのかを、実際の症例写真とあわせてご紹介します。


◆なぜ犬猫に抜歯が必要になるの?

犬猫が抜歯を必要とする一番の理由は 歯周病 です。
歯周病は歯垢や歯石に潜む細菌が原因で、歯ぐきや歯を支える骨を破壊していく病気。進行すると歯がぐらつき、やむを得ず抜歯に至ります。

さらに、歯周病菌が血液を通じて 心臓・腎臓・肝臓 などに悪影響を及ぼすこともあり、命に関わる病気へ発展する可能性すらあるのです。

他にも、

  • 歯の破折(神経が露出してしまう)
  • 乳歯遺残(本来抜けるはずの乳歯が残ってしまう)
  • 腫瘍や膿瘍による歯根の破壊

なども抜歯の原因となります。


◆「食べられるから大丈夫」は危険!

飼い主さんからよく聞かれるのが「まだ普通にご飯を食べているから大丈夫」という言葉です。
しかし、犬猫は痛みを隠す習性があるため、かなり悪化していても食べ続けることがあります。

つまり、食欲がある=健康 とは限りません。
実際にはぐらぐらの歯や膿が溜まった歯で痛みに耐えているケースも多いのです。


◆実際の症例

ここからは、当院で実際に抜歯を行ったワンちゃんの症例をご紹介します。

📷 抜歯前のレントゲン写真

:赤矢印の歯の周りの骨がとけてしまっています。


📷 抜歯前の口腔内写真

:その赤矢印の歯ですが一見、健康な歯見えますが、実際には重度の歯周病が進行していました。歯がかなりぐらついていました。


📷 抜歯した歯の写真

:取り出した歯。歯根に歯石がついていて健康な状態を維持できなくなっていました。


この子は食欲があり元気そうに見えましたが、検査で重度の歯周病が判明し、抜歯を行いました。
処置後は口臭も消え、痛みもなくなり、ごはんを気持ちよく食べられるようになりました。


◆定期健診で抜歯を防げる

こうした事態を避けるために大切なのが 定期的な健康診断 です。

健診では、歯石や歯肉炎の有無を診察。定期的な歯科処置で歯科レントゲンを。隠れた歯根の異常も発見できます。
「見た目はキレイでも、根の部分が溶けている」というケースは珍しくありません。早期に発見できれば、スケーリング(歯石除去)や投薬などで治療し、抜歯を避けられる可能性が高まります。


◆ご家庭でできる予防

定期健診に加えて、日常のケアも欠かせません。

  • 毎日の歯みがき(理想は1日1回)
  • 歯磨きが難しい子にはデンタルガムや専用フード
  • 口臭・歯ぐきの腫れ・出血などを見つけたらすぐ受診

特に、子犬・子猫の頃から習慣づけておくと、大人になってもスムーズに続けられます。


◆まとめ

犬猫の抜歯は決して珍しい処置ではなく、多くは 予防可能な病気 によって必要になります。

  • 歯周病は全身の病気にまでつながる
  • 痛みを隠すため、気づいたときには重症化していることも多い
  • 定期健診と歯科レントゲンで早期発見・早期治療が可能
  • 日常のデンタルケアも抜歯予防に効果的

「まだ食べられているから大丈夫」ではなく、「食べられている今こそ健診を」。
愛犬・愛猫の健康寿命を守るために、ぜひ定期健診を受けさせてあげてください。

また、大田区大森のイース動物病院では、歯科専門外来も行っておりますので気軽にお問い合わせください。