「歩くのを嫌がる犬」=肩関節不安定症の可能性アリ?整形外来が勧められる理由とは~整形疾患は身近に⁈~
こんにちは!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です!
みなさんはこんな時に起きたらどうしますか?
「ほかの病院でなかなか良くならない。リウマチと言われたがよくならない。」
とのことで当院の整形専門外来を受診されました。
当院では横浜の二次診療の医長 整形内科・整形外科の伊澤先生が検査からお話までさせてもらっています。

その子も伊澤先生に診察してもらい、『肩関節不安定症』と診断されました。飼い主様に1からご説明し、内科療法で現在月に1度注射して安定しています。
犬の肩関節は、日常的な動きに大きく関わる重要な関節です。
「歩き方がおかしい」「最近あまり走らなくなった」「散歩中に脚をかばっているように見える」といった症状は、**肩関節不安定症(肩関節不安定性)**のサインかもしれません。
肩関節不安定症は見逃されやすく、進行すると関節炎や慢性的な痛みに発展することもあります。特に、小型犬から大型犬まで幅広く発症が見られ、適切な診断と治療が必要不可欠です。
本記事では、肩関節不安定症の症状、原因、診断方法、治療法を詳しく解説し、なぜ整形専門の動物病院の受診が重要なのかをお伝えします。
肩関節不安定症とは?
肩関節不安定症とは、肩関節の周囲の靱帯や筋肉が緩み、関節の安定性が損なわれる状態を指します。正常な関節は安定してスムーズに動きますが、不安定になると「ズレ」や「遊び」が生じ、痛みや可動域制限が発生します。
関節が不安定な状態のままでいると、軟骨が摩耗し、将来的に関節炎や筋肉の萎縮を引き起こす危険性があります。
よくある症状
肩関節不安定症の主な症状は以下の通りです:
- 歩行時に前肢をかばう、浮かせる
- 階段やソファの昇り降りを嫌がる
- 肩周りを触ると嫌がる、痛がる
- 安静時は普通に見えても、運動後に跛行が出る
- 活動量が減った、元気がない
- 前肢の筋肉が左右で細くなっている(筋萎縮)
これらの症状は一見「年齢のせい」や「一時的な痛み」と誤解されやすく、実際に整形専門医の診察を受けるまでに時間がかかるケースも少なくありません。
原因と発症のメカニズム
肩関節不安定症の原因には以下のようなものがあります:
1. 外傷(ケガ)
転倒やジャンプ時の着地失敗などにより、肩関節の靱帯が伸びたり損傷することで発症します。
2. 過度な運動
アジリティやボール遊びなど、肩関節を酷使する活動によって発症するケースもあります。
3. 筋力低下や加齢
高齢犬や運動量の少ない犬では、筋肉のサポートが弱まり、関節が不安定になることがあります。
4. 先天性の要因
一部の犬種(特にラブラドール・レトリバーやボーダー・コリー)では、関節の構造上、不安定になりやすい傾向が見られます。
診断方法:一般診療では見逃されやすい?
肩関節不安定症は画像診断や整形外科的検査が必要な疾患です。
一般的な身体検査では見逃されることが多く、痛み止めだけの対症療法で終わってしまうケースも少なくありません。
以下のような精密な検査が重要です:
- 整形外科的触診(関節のゆるみの確認)
- X線(レントゲン)撮影
- 関節鏡検査(関節内をカメラで観察)
- 超音波検査やCT/MRI(症例に応じて)
これらは、整形外科の専門医が常駐する病院でなければ実施が難しい場合があります。
治療法
肩関節不安定症の治療は、症状の重さによって以下のように分かれます。
保存療法(軽度〜中等度)
- 運動制限
- 消炎鎮痛薬の投与
- サプリメント(関節保護成分)
- リハビリ・理学療法(筋力強化)
外科的治療(中等度〜重度)
- 肩関節の再建手術(靱帯の再構築)
- 関節鏡下手術(負担の少ない最小侵襲手術)
- 筋腱の再付着術 など
犬のQOL(生活の質)を考えたとき、早期の外科治療が回復への近道になるケースも多々あります。
なぜ整形専門外来の受診が重要なのか?
肩関節不安定症は、**「何となく元気がない」「歩き方が少し変」**といった曖昧な症状から始まります。そのため、一般の動物病院では見落とされることもあります。
しかし、整形外科に特化した病院では:
- 整形外科専門の獣医師が在籍している
- 高度な画像診断機器が整っている
- 関節鏡などの高度な手術が可能
- リハビリ専門スタッフが在籍している
といったメリットがあります。
また、一般診療で「加齢だから様子見ましょう」と言われた症例が、整形外来で正確に診断され、劇的に改善したという事例も多く見られます。
あなたの大切なパートナーが苦しむ前に、早めの専門的な診断と治療を受けることが何より大切です。
整形外来を受診するタイミングは?
以下のような症状がある場合、早めに整形専門外来を受診してください:
- 前肢の違和感が1週間以上続く
- 散歩や運動を嫌がるようになった
- 安静にしても痛みが引かない
- 筋肉の左右差が目立つ
- 触診で痛みが強く出る
- 他院で原因がわからなかった
飼い主様へのメッセージ
私たち動物病院には、毎年多くの犬たちが「歩き方がおかしい」「痛みが取れない」といった理由で来院されます。
その中には、肩関節不安定症と診断されるケースも決して少なくありません。見逃されがちな疾患だからこそ、正しい知識と早期対応がカギになります。
犬は痛みを我慢する動物です。症状が出ている時点で、かなり我慢している可能性があります。
一緒に暮らす家族として、私たちがそのサインにいち早く気付き、適切な専門医療に繋げることが大切です。
おわりに|まずはご相談ください
肩関節不安定症は、放置すれば将来的に深刻な問題へと発展する可能性のある疾患です。
「まだ大丈夫」と思わず、気になる症状がある時点で、ぜひ一度、整形外科専門の外来をご利用ください。
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
どこか痛そう。肩関節不安定症と診断されたが、よくならない。等ありましたらご相談ください。
当院では、専門医による丁寧な診察と、最先端の診断・治療体制を整えています。
少しでも不安があれば、お気軽にご相談ください。