~犬と猫と腸活と①~
こんにちは。イース動物病院です。
最近よく聞く”腸活”って言葉。
実は犬や猫においても腸内環境を整える事が疾病の改善や予防につながると言われています。
今日はそんな腸内環境のお話をさせて頂きます。
腸内環境とは?
腸内環境とは、主に大腸に見られる「腸内細菌叢(腸内フローラ)」のことを言います。
大腸は水分やミネラルを吸収して便を作る働きをしていますが、それだけではなく、実は大腸に棲みついている細菌の働きによって、体の調子がよくなったり悪くなったりします。
腸内環境は、腸内に棲む善玉菌や悪玉菌などの菌の勢力図の変化によって、健康で過ごせるのかどうかが決まるのです。
腸内環境を整えることは健康維持をはかる上で重要となります。
腸内環境に関わっているのは細菌の割合
腸内環境がよくなるのも悪くなるのも、腸内に棲む細菌によって決まります。
犬や猫も人と同様に腸内において100〜500兆個の腸内細菌がいるとされています。
腸内細菌は100兆個もあるのですから、様々な性質をもった細菌が集まっています。
腸内細菌のうち、体にとって良い働きをする菌を便宜的に善玉菌、体にとって悪い働きをする菌を悪玉菌と呼んでいます。
どんな性質の菌が腸内に多いのかによって腸内環境が大きく変わり、宿主である我々の体調も大きく変わるのです。
「善玉菌」は腸の働きを整え、酪酸や乳酸や酢酸など身体に有用な物質を作り出す「発酵」を行う菌なのに対し、「悪玉菌」は体に有害な硫化水素やアンモニアをつくる「腐敗」をおこす菌を指しています。
腸内には、「善玉菌」「悪玉菌」のほかに「日和見菌」が存在しており、「日和見菌」は腸内で「善玉菌」と「悪玉菌」のどちらか優勢な方に加勢をする菌とされています。
腸内細菌が、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7となるのが、腸内環境が整う理想的な割合と言われています。
腸内環境が悪くなる原因は“悪玉菌”
腸内環境が悪くなる原因は、「悪玉菌」が腸内で優勢になるからと言われています。 これは善玉菌が減少したり、悪玉菌が異常増殖することによって引き起こされます。
このような腸内フローラが乱れた状態をディスバイオシスと言います。
ディスバイオシスが進行すると、腸管を保護する粘液が薄まってバリア機能が低下し、免疫反応が高まり炎症が起こります。
この炎症によって、腸の粘膜に穴が開いて菌や菌体成分が血中に漏れ出し、その血液が全身を巡ることで慢性的な炎症が生じ、さまざまな不調や病気を引き起こします。
ディスバイオシスは、犬や猫において「炎症性腸疾患(IBD)」や「慢性腎不全」や「アレルギー性皮膚炎」などの疾患との関連性を示唆する報告があります。
ディスバイオシスになる要因
高脂肪食、高糖質食、高たんぱく質食といった偏った食事や、食物繊維の少ない食事により、腸内細菌叢のバランスが変化することがわかっています。
具体的には・・・
- 高脂肪食や高糖質食により大腸菌(悪玉菌)の割合が増加
- 食物繊維不足や高脂肪食で腸内フローラの多様性が低下
- 高たんぱく質食で毒性化合物の産生量が増加
そのほかには、精神的なストレスや加齢や運動不足や生活リズムの乱れなども、ディスバイオシスの原因になりうるとも言われています。
犬や猫にも腸活を!
このようにディスバイオシスでは様々な疾患のリスクが生じます。
これを改善する上で大切なことは
- 善玉菌を増やす
- 善玉菌を育てる
- 腸内酸素を減らす
の3つ挙げられます。
これらの具体的な方法については次の機会にご紹介させて頂けたらと思います。
それではまた!