迎えたワンちゃんが前足に違和感…。もしかしたら、成長板早期閉鎖??~整形疾患は身近に⁈~

こんにちは!東京都大田区大森西イース動物病院です✨

家に来たばかりのワンちゃんと仲良く遊んでいたら急に変な歩き方を!!そんなことが起きてしまったらすぐに病院に行きますよね。そこで、「なんともない。」「ただの仮病」とか診断されて帰って何日も一緒にいてもどうしてもワンちゃんは痛そうにしている。そんなことが起きていたら心配でどうするか悩みますよね。

本日は若いわんちゃんで起きるかもしれない、成長板早期閉鎖についてお話させていただきます。

犬の成長過程において重要な役割を果たす「成長板」ですが、この成長板が早期に閉鎖してしまうと、犬の健康や骨格に重大な影響を及ぼす可能性があります。本日は、成長板早期閉鎖の概要、原因、症状、そして予防と治療法について詳しく解説します。愛犬の健やかな成長をサポートするために、ぜひご一読ください。

成長板とは?

成長板(骨端軟骨板)は、骨の両端にある軟骨組織で、骨が成長するための「成長ゾーン」とも呼べる部分です。この部分で細胞が増殖し、新たな骨組織が形成されることで、骨は長さを増していきます。特に若齢の犬において、成長板は骨格の正常な発達に欠かせない役割を担っています。

成長板は通常、生後12〜18か月ごろまで活発に機能しますが、特定の要因によって通常よりも早く閉鎖してしまうことがあります。これが「成長板早期閉鎖」と呼ばれる状態です。

成長板早期閉鎖の原因

成長板早期閉鎖の主な原因は以下のとおりです。

1. 外傷

骨折や打撲など、成長板への直接的な外傷が最も一般的な原因です。特に、高い場所から飛び降りたり、激しい遊び中に転倒することで、成長板が損傷を受けることがあります。

2. 遺伝的要因

特定の犬種では、遺伝的に成長板早期閉鎖のリスクが高いことが知られています。例として、ジャーマン・シェパードやゴールデン・レトリーバーが挙げられます。

3. 栄養不良

カルシウムやリン、ビタミンDなど、骨の発育に必要な栄養素が不足すると、成長板の正常な機能が妨げられることがあります。また、過剰な栄養摂取も骨の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

4. ホルモンの異常

甲状腺ホルモンや成長ホルモンの異常が成長板の機能に影響を与えることがあります。

犬種別のリスク:特定の犬種がなりやすい理由

成長板早期閉鎖はすべての犬種で発生する可能性がありますが、特定の犬種ではそのリスクが高いことが知られています。

大型犬のリスク

大型犬種(例:ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパード)は急速に成長するため、成長板にかかる負荷が高くなりやすいです。このため、外傷や運動過多が原因で成長板が損傷しやすくなります。

小型犬のリスク

小型犬種(例:チワワ、ダックスフンド)では、骨が細く脆弱であるため、小さな衝撃でも成長板が損傷を受けやすい傾向があります。

短足犬種特有の問題

ダックスフンドやコーギーのような短足犬種では、成長板の閉鎖が遅れたり、非対称に閉鎖するケースが報告されています。これらの犬種は、骨格の特性上、特殊なリスクを持つことがあるため注意が必要です。

成長板早期閉鎖の症状

成長板早期閉鎖が起こると、以下のような症状が見られることがあります。

脚の長さの不均等

片方の脚だけが短くなることで、歩行に支障をきたすことがあります。

関節の変形

骨の成長が不完全なため、関節が異常な形に変化する場合があります。

歩行異常

ぎこちない歩き方や足を引きずるような動作が見られることがあります。

痛みや炎症

成長板が損傷している場合、患部に痛みや腫れが生じることがあります。

診断方法

成長板早期閉鎖の診断は、以下の手順で行われます。

1. 視診と触診

獣医師が歩行や脚の形状を観察し、触診によって異常を確認します。

2. X線検査

成長板の状態を詳細に確認するため、X線撮影が行われます。これにより、成長板が正常に機能しているか、または早期閉鎖が起こっているかを判断します。

3. 追加検査

必要に応じて、血液検査やホルモン検査が行われることもあります。

治療法

成長板早期閉鎖の治療法は、症状の重さや進行度に応じて異なります。

1. 手術

成長板の損傷が重大で、骨の変形や脚の長さの不均等が顕著な場合、外科手術が必要になることがあります。骨の矯正やプレートの装着などが行われます。

2. 理学療法

軽度の場合は、理学療法によって筋力を維持し、関節の負担を軽減することが可能です。

3. 薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛剤が使用されることがあります。

4. 生活習慣の見直し

適切な体重管理や運動制限が治療の一環として推奨されます。

予防策

成長板早期閉鎖を防ぐためには、以下のポイントを意識しましょう。

1. 適切な栄養管理

バランスの取れた食事を与えることで、骨の健康を維持できます。特に子犬の時期には、成長に必要な栄養素を十分に摂取させることが重要です。

2. 運動の注意

激しいジャンプや高い場所からの飛び降りを避け、骨に過度な負担をかけないようにしましょう。

3. 定期健康診断

成長期の犬において、獣医師による定期的な健康診断は非常に重要です。早期に問題を発見し、対応することで、症状の進行を防ぐことができます。

4. 事故防止

家庭内外での事故を防ぐため、適切な管理を行いましょう。

まとめ

成長板早期閉鎖は、犬の健康と生活の質に大きな影響を与える可能性があります。しかし、適切な予防策と早期の対応によって、症状を最小限に抑えることができます。愛犬の成長に不安を感じた際は、早めに動物病院を訪れて獣医師の診察を受けることが大切です。

当院では、毎週月曜日に整形専門外来を行っています。

前肢がおかしい。びっこ引いている。うまく足を使わない。手を触ると嫌がる。など些細な症状からでもご相談ください。

当院ではその子と家族にあった治療方法や過ごし方をご提案させて頂きます。少しでも違和感がありましたらご連絡いただけましたら診察させていただき、一緒に原因を探していきます。