えっ、ただのねんざじゃなかった!?見逃すと一生びっこになる中足骨間脱臼について~整形疾患は身近に⁈~

こんにちわ!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です。

皆さんこんなこと起きたらどうしますか?

お家で楽しく愛犬と遊んでいた。その時キャンと鳴いたあとから後ろ足を使わない。

「他の動物病院では捻挫と言われたけどおかしい」

といことで当院の整形専門外来に受診されました。診断したところ、中足骨間脱臼というしんだんになりました。

現在は手術も行い元気に走り回っていて、飼い主様もご満悦されています。

犬が急にびっこを引いたり、足をつかなくなったとき、「どこか痛めたのかな?」と思う飼い主さんは多いでしょう。
中でも意外と知られていないのが「中足骨間脱臼(ちゅうそくこつかんだっきゅう)」という足のケガです。
一見するとねんざのように見えることもありますが、放置すると歩行障害や関節の変形につながることもあります。

今回は、犬の中足骨間脱臼について詳しく解説し、整形外科専門外来での診断と治療の重要性をお伝えします。


中足骨間脱臼とは?

犬の「中足骨(ちゅうそくこつ)」とは、足首(足根骨)と指(趾骨)の間にある細長い骨のことです。
人間でいうと、足の甲の骨にあたります。
犬はこの中足骨が4〜5本あり、それぞれが靱帯でしっかりと連結されています。

「中足骨間脱臼」とは、その中足骨同士をつなぐ靱帯が損傷し、中足骨の配列がずれてしまう状態を指します。
交通事故、落下、滑ってひねるなどの外傷で発生することが多く、特に活発な中型〜大型犬での発生が目立ちます


見逃されやすい理由

中足骨間脱臼は、見た目では骨折ほど腫れや変形が目立たないことが多く、
「軽いねんざだろう」と判断されてしまうケースがあります。

しかし、このケガは靱帯損傷による関節の不安定化を伴うため、放置すると次のような問題が起こります。

  • 歩くたびに中足骨がずれ、痛みが続く
  • 靱帯が修復されず、慢性的な跛行(びっこ)に
  • 関節炎や変形性関節症の進行
  • 足裏の形が変わり、体重のかかり方が異常になる

特にスポーツドッグや活発な犬では、再発を繰り返すこともあります。


症状のサインを見逃さないで!

中足骨間脱臼の主な症状には次のようなものがあります。

  • 急に片足を浮かせて歩く
  • 足先を地面につけたがらない
  • 足の甲や足裏に触れると痛がる
  • 散歩中にすぐ座り込む
  • 指の位置がずれて見える
  • 足の甲が少し腫れている

軽度では一時的に症状が落ち着くこともありますが、
数日後に再び痛みが出るケースが多いのが特徴です。


診断には専門的な知識と技術が必要

中足骨間脱臼の診断は、通常のレントゲン撮影では見逃されることも多い疾患です。
骨自体が折れていない場合、靱帯損傷や微妙な骨配列のズレを見抜くには、
整形外科に特化した知識と撮影技術、そして経験が必要です。

整形専門外来では次のようなアプローチが可能です。

  • 高精度レントゲンによる角度・位置の評価
  • 関節の可動検査による安定性の評価
  • 歩行解析による負担部位の特定

これらを総合的に判断することで、軽度の脱臼でも早期に発見し、適切な治療につなげられます。


治療方法 ― 保存療法と手術療法

  • 手術による整復と固定
  • ピンやスクリューを用いた骨の安定化
  • 手術後のリハビリ・再建トレーニング

特に重度の場合は、放置すると関節が変形して歩行困難になることもあるため、
早期の整形外科的治療が非常に重要です。


整形専門外来を受診するメリット

中足骨間脱臼は、一般診療だけでは見逃されることもある難しい外傷です。
整形外科専門外来では、次のような強みがあります。

専門獣医師による診断精度の高さ

靱帯・関節・骨軟部組織の疾患に特化した知識で、微細な異常を見逃しません。

高度な画像診断機器の活用

通常のレントゲンでは見えにくい角度や、靱帯損傷の有無を多方向から評価します。

最適な治療プランの提案

保存療法・手術療法・リハビリのバランスを考え、愛犬に合った治療を計画します。

術後のケアと再発予防までサポート

手術後のリハビリ指導や再発防止の運動指導も行います。


飼い主さんにお願いしたいこと

愛犬が急にびっこを引いたとき、「しばらく様子を見よう」と思う気持ちはよくわかります。
しかし中足骨間脱臼のようなケガでは、その**“様子見”が後遺症につながるリスク**があります。

  • 数日たっても足をかばう
  • 散歩で歩き方がぎこちない
  • 足を触ると嫌がる

こうしたサインがあれば、できるだけ早く整形外科専門外来を受診してください。
早期に適切な診断と治療を受けることで、完全な回復が期待できます。


まとめ:見えないケガを見抜くのが「整形専門外来」

中足骨間脱臼は、見た目ではわかりにくいものの、放置すると大きな障害を残す可能性のあるケガです。
大切なのは、「軽いケガ」と決めつけず、専門的な診断を受けることです。

当院では、整形外科専門外来を設け、関節・靱帯・骨のトラブルに特化した診断・治療を行っています。
愛犬の足の異常に気づいたら、どうぞお気軽にご相談ください。

飼い主様の些細な様子が治療への第一歩になります。

「少しおかしいな」と思ったら、早めの受診が何よりの治療です。