犬や猫の歯が折れた…放置すると大変なことに!
こんにちは。東京都大田区大森のイース動物病院です。
「うちの子、おもちゃで遊んでて歯が欠けちゃったけど、今は普通にご飯も食べてるし元気そうだから…」
このようなご相談、実はとても多いのです。
でも、犬や猫の「歯の破折(はせつ)」は、見た目よりずっと深刻な問題を引き起こすことがあります。
今回は、犬猫の「歯が折れること」の危険性について詳しく解説いたします。
こちらの写真は、犬の犬歯の先端が折れています(緑色のマル)。幸い、神経の露出はありませんでした。

犬歯が破折したものの露髄がなかったため、レジン(歯科用の合成樹脂)で補修処置を行いました。
審美性と機能性を保ちつつ、今後の破折や感染予防にもつながります。(写真、オレンジ色のマル部分。)

🦷 歯の破折とは?
歯の破折とは、歯が欠けたり、折れたりすることです。
私たち人間と同じように、犬や猫にも歯があります。中でもよく折れるのが以下のような歯です:
- 犬:第四前臼歯(上顎の大きな奥歯)
- 猫:犬歯(牙)や臼歯
特に硬いもの(ヒヅメ、牛骨、鹿角、硬質のボールなど)を噛んだ際に「バキッ」と折れてしまうことがよくあります。
🧨 折れた歯を放置すると、どうなる?
❗1. 激痛
歯の内部には「歯髄(しずい)」と呼ばれる神経と血管があります。破折によってそこが露出すると、冷たいもの・熱いもの・空気すらも激痛に変わります。
犬や猫は我慢強いため、見た目には元気そうでも、実は「ずっと痛みを抱えている」ことも少なくありません。
❗2. 歯髄炎・根尖膿瘍(こんせんのうよう)
歯の中の神経や血管が細菌感染すると、膿がたまって顎の骨にまで炎症が広がることも。
顔が腫れたり、目の下が膨れたりするのは重度の感染のサインです。
❗3. 口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)
上の歯の根っこは鼻腔ととても近いため、炎症が進むと、口の中と鼻の穴がつながってしまうことがあります。
くしゃみ・鼻水・膿・鼻血・くさい口臭などの原因になります。
🐾 こんな子は歯が折れてるかも?
- 好きだったおもちゃを噛まなくなった
- 硬いものを避けて食べている
- 顔を触られるのを嫌がる
- 鼻の下や目の下が腫れている
- 片方だけでご飯を噛んでいる
- よだれが増えた/口臭がひどい
これらは、破折による痛みや感染のサインかもしれません。
🏥 治療法は?
破折の治療は、歯の状態や感染の有無によって異なります。
① 破折が浅く、歯髄に達していない場合
→ 歯を削ってコーティング(保護)するだけで済むことも。
② 歯髄が露出している場合
→ 抜髄または抜歯が必要になります。
特に感染が起きていたり、痛みが強かったりする場合は、抜歯がもっとも確実な治療法です。
🚫 絶対に与えないで!歯を折る原因になりやすいもの
- 牛骨・鹿角
- 加熱した骨(鶏・豚など)
- ゴルフボールや野球ボール
- ヒヅメ
- 極端に硬いデンタルおもちゃ
これらは犬猫の歯を簡単に破壊する危険物です。
「天然素材だから安心」は大きな誤解。命に関わるリスクもあります。
💡 歯を守るためにできること
- 噛ませるおもちゃは**「歯が沈む柔らかさ」**が目安
- 破折のリスクが高いおもちゃはすぐ処分
- 毎日の口腔チェック
- 年に1回以上の歯科検診
- 違和感があればすぐ受診!
🏥 当院では、歯科処置にも力を入れています!
当院イース動物病院では、歯科レントゲン完備、歯科専用器具による処置が可能です。
「歯が欠けたかも」「最近よだれが多い」「ご飯を食べにくそう」など、気になるサインがあれば、できるだけ早く診察にお越しください。
早期発見・早期治療が、痛みの軽減にも大きくつながります!
📌まとめ
- 歯の破折は「放置NG」!痛みや感染が進行する
- 折れた歯から、全身に悪影響が広がることも
- 硬すぎるおもちゃはトラブルの元
- 「元気そう」でも、歯のトラブルは進行している可能性大
- できるだけ早く動物病院へ!