うちの子、何度もトイレに…原因は膀胱の石でした

こんにちは。大田区大森イース動物病院です。

今回は「血尿・頻尿」という症状で来院した猫ちゃんの症例をご紹介します。
検査の結果、膀胱結石が原因と判明し、手術によって石を摘出しました。


🐾 来院時の主訴:血尿と頻尿

来院したのはオス猫ちゃん
ここ数日、トイレの回数が異常に多く、尿に血が混じっているとのことで来院されました。

診察では膀胱の圧痛があり、尿検査と超音波検査を実施。
その結果、**膀胱内に複数の結石(膀胱結石)**が確認されました。


🧬 膀胱結石とは?

膀胱結石とは、ミネラルや老廃物が尿中で結晶化し、石状になったものです。
猫では以下のような石がよく見られます:

  • ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム)
     → 食事の影響やアルカリ性尿で形成されやすい
  • シュウ酸カルシウム結石
     → 酸性尿、飲水量の少なさ、体質などが影響

【主な原因】

  • 飲水量の不足(室内飼育猫に多い)
  • 食事のミネラルバランスの乱れ
  • 慢性的な尿路感染
  • 尿のpH異常(酸性/アルカリ性への偏り)

🛠 治療:膀胱切開による結石摘出術

結石のサイズと数から判断し、内科管理では困難と判断。
全身麻酔下で膀胱切開術を行い、石を摘出しました。

摘出された結石はこちらです👇


※閲覧注意:膀胱内から取り出された石です。

結石分析の結果シュウ酸カルシウムという結果でした。

術後は点滴・抗生剤・鎮痛剤を投与し、入院。
食欲・排尿状態ともに安定し、無事退院しました。

🧬 シュウ酸カルシウム結石とは?

シュウ酸カルシウム結石(Calcium Oxalate)は、猫の膀胱結石の中でも再発率が高く、食事での溶解が困難なタイプの結石です。

特徴:

  • 尿が酸性傾向で形成されやすい
  • 非常に硬く、自然排出や食事による溶解は困難
  • 再発率が高い(特にオス猫)

主な原因:

  • 水分摂取不足
  • 高カルシウム・高シュウ酸の食事
  • 遺伝的要因
  • 尿の酸性化(過度なpH低下)
  • 肥満や運動不足

注意:

他の石(ストルバイトなど)と異なり、シュウ酸カルシウムは療法食でも溶かすことができません。
よって、予防と早期発見が最も重要になります。

🔁 膀胱結石の再発予防には?

膀胱結石は再発率が非常に高い疾患です。
再発防止のために、以下の対策が重要になります。

食事管理

  • 専用の療法食で尿pHやミネラルをコントロール
  • 市販食からの切り替えを徹底

水分摂取の増加

  • ウェットフード併用や自動給水器の活用
  • 複数の水飲み場を設置

定期的な尿検査・画像検査

  • 半年~1年ごとのチェックで早期発見を

📝 まとめ

膀胱結石は、猫に比較的よく見られる疾患です。
以下のような症状が見られたら、早めの受診をおすすめします。

  • 血尿(赤い・ピンク色の尿)
  • 頻尿(何度もトイレに行く)
  • 排尿時に鳴く、いきむ
  • 尿が少量しか出ない

早期に発見し、適切に治療・管理することで、長く健康を保つことができます。
ご自宅でのケアや、再発防止のための療法食選びもサポートいたしますので、お気軽に大田区大森西イース動物へご相談ください。