🐾短頭種に多い皮膚病とは?犬種の特徴から読み解くトラブルの原因
こんにちは。〇〇動物病院です。
今回は、「短頭種」と呼ばれるワンちゃんに特に多く見られる皮膚の病気について詳しくお話しします。皮膚トラブルは見た目の変化やかゆみなど、ワンちゃんにも飼い主さんにもストレスが大きい病気のひとつ。特に短頭種は皮膚疾患が起こりやすい体の構造を持っているため、注意が必要です。
🐶短頭種ってどんな犬種?
まず「短頭種」とは、鼻が短く、顔が平たく見える犬種のことを指します。
代表的な短頭種のワンちゃんには次のような犬種がいます。
- フレンチ・ブルドッグ
- パグ
- シーズー
- ペキニーズ
- ブルドッグ
- ボストン・テリア
これらの犬種は、ユニークな顔立ちと愛らしい性格から高い人気を誇りますが、皮膚・呼吸・眼などに関するトラブルが起きやすい構造的な弱点も持っています。
🧬短頭種の皮膚トラブルが多い理由
短頭種の皮膚疾患の多さには、いくつかの明確な理由があります。
① 顔や体に「シワ」が多い
短頭種に特徴的な「顔のシワ」はとても可愛らしいポイントですが、シワの間に汚れや皮脂がたまりやすく、通気性が悪いため細菌やカビ(真菌)が繁殖しやすくなります。
特に、蒸し暑い季節や水に濡れたあとにそのままにしておくと、**「シワ皮膚炎」**と呼ばれるトラブルが発生します。
② 皮膚がデリケートで炎症を起こしやすい
短頭種は、皮膚のバリア機能が弱く、アレルギー反応や乾燥による炎症を起こしやすい傾向があります。
アトピー体質の子も多く、花粉・ダニ・食物など、さまざまなアレルゲンに反応してかゆみや赤みが出ることがあります。
③ 密な被毛と体の構造により「蒸れ」やすい
短頭種は体ががっしりしていて、首や体の皮膚がたるんでいることが多いため、通気性が悪く皮膚が常に湿った状態になりがちです。さらに、巻き尾や垂れ耳なども、皮膚トラブルの温床になります。
④ 自分で舐めて悪化させてしまう
皮膚に違和感があると、ワンちゃんは舐めたり掻いたりしてしまいます。
短頭種は体が柔らかく、自分の体を舐めやすい構造の子が多いため、かゆみや赤みを舐め壊してさらに悪化させてしまうケースがよく見られます。
🩺短頭種によく見られる皮膚病の種類
ここでは、実際に短頭種の子に多い皮膚疾患をいくつかご紹介します。
■ シワ皮膚炎(皮膚間湿疹)
シワの間に湿気や汚れがたまり、細菌や真菌が繁殖して炎症を起こす病気。特に目の下や鼻の周囲、首回りなどに発生しやすく、放置するとただれや悪臭が出ることも。
■ マラセチア皮膚炎
カビの一種である「マラセチア」という常在菌が増殖して起こる皮膚炎。
ベタつき・かゆみ・独特のにおいが特徴で、シワの間や耳、指の間などに多く見られます。
■ 膿皮症
皮膚に細菌が感染して、赤いブツブツ・膿・かさぶたなどができる皮膚病。一度治っても再発を繰り返すことがあり、根気よく治療する必要があります。
■ アレルギー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎
環境や食べ物に反応して皮膚に炎症が起こる病気。かゆみ・脱毛・皮膚の黒ずみなどが見られ、体質的に持っている子も多くいます。
■ 外耳炎
垂れ耳や耳道の構造が原因で蒸れやすく、細菌や真菌が繁殖しやすい状態に。
耳をかゆがったり、においが気になる場合は早めの受診が必要です。
🏠飼い主さんにできる皮膚トラブル予防ケア
短頭種の皮膚を健康に保つには、日常的なお手入れがとても大切です。以下のポイントを意識してみてください。
✅ シワの間を毎日やさしく拭く(乾いたガーゼ or ペット用ウェットティッシュ)
✅ 低刺激のシャンプーで定期的に洗う(病院で相談を)
✅ 湿った部分はよく乾かす(特に耳・顔まわり・足の裏)
✅ 食事は皮膚に配慮したものを選ぶ(療法食・皮膚ケアフード)
✅ 定期的な健康診断・皮膚チェックを行う
✅ 過剰な舐め・かゆがりはすぐに相談
🐾まとめ
短頭種のワンちゃんたちは、その独特な見た目と愛嬌のある性格でとても魅力的です。
しかし、その体のつくりから皮膚病に悩まされる子が多いのも事実です。
「なんとなくかゆがってる気がする」「においが強くなった」など、ちょっとした変化でも皮膚トラブルのサインかもしれません。
皮膚病は早期発見・早期治療がカギ。気になることがあれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。