【要注意】健康そうに見える猫が実は…!?定期検診で見つかる“歯の病気”とは
こんにちは!東京都大田区大森のイース動物病院です。
犬や猫は、言葉で痛みや不調を訴えることができません。そのため、飼い主さんが気づいたときにはすでに進行している病気も少なくありません。
今回は、「健康診断の重要性」と、特に猫ちゃんに多く見られる“吸収病巣(きゅうしゅうびょうそう)”という歯の病気についてご紹介します。見た目は元気でも、実は“歯が溶けている”という怖いケースもあります。定期健診の重要性を改めて知っていただけたらと思います。
実際にあった症例
今回の症例は、実際に猫ちゃん誕生日健診で発見されました。歯の根本が赤く歯茎が盛り上がって見えます(オレンジ色のマル)。

下の画像は同じ所をレントゲン撮影したものです。緑色のマルで記した歯を見ると歯が透けて見えます。根っこは、溶けて無いです。これが吸収病巣です。
→ 麻酔下で口腔内レントゲン撮影、抜歯処置を行いました。
ちなみに、この猫ちゃんは無症状だったようです。

なぜ健康診断が必要なの?
犬や猫は人間よりも早いスピードで歳を取ります。1年で約4〜5年分、シニアになると7年分以上の老化が進むともいわれています。つまり、1年に1回の健康診断でも、実際には数年に1回の人間ドックと同じくらいの意味があるのです。
健康診断では、以下のような病気の早期発見が可能になります:
- 腎臓病(慢性腎臓病)
- 肝臓病
- 心臓病
- 内分泌疾患(糖尿病や甲状腺機能異常など)
- 腫瘍性疾患
- 口腔内疾患(歯周病・吸収病巣など)
- 関節疾患や整形疾患(初期の関節炎や変形)
特に高齢になるほど、血液検査や画像診断(レントゲン・超音波)によって**「まだ症状は出ていないけど異常がある」状態を見つけられる**ことが増えます。
飼い主さんが見落としがちな「口の中の病気」
口の中は、普段なかなかチェックできない場所です。多くの飼い主さんが「口を触らせてくれないから…」と諦めてしまいがちですが、実は歯や歯茎の病気は非常に多く、しかも見過ごされやすいのです。
特に猫ちゃんに多いのが、「吸収病巣(FORL:Feline Odontoclastic Resorptive Lesion)」という病気です。
猫に多い「吸収病巣(FORL)」とは?
■どんな病気?
吸収病巣とは、歯が根元から溶けていく病気です。原因はまだ完全には解明されていませんが、猫に特に多く、4〜5歳以上の猫の約7割が何らかの吸収病巣を持っているという報告もあります。
人間の虫歯のように見えるため「猫の虫歯」と呼ばれることもありますが、原因やメカニズムは異なります。歯の表面を覆っているエナメル質の下から、歯がじわじわと吸収され、最終的にはポロっと折れてしまったり、歯根だけが歯茎に残ることもあります。
■症状は?
吸収病巣は非常に痛みを伴う病気ですが、猫は痛みを隠す生き物。以下のようなサインが見られることがあります:
- ドライフードを食べなくなった(ウェットだけ食べる)
- 口を気にして前足でこする
- 食べるときに顔をしかめる
- 食欲はあるが、食べるのに時間がかかる
- よだれが多い、口臭が強い
- 顎下を触られるのを嫌がる
しかし、まったく無症状で見つかることも多いため、定期的な診察やレントゲン検査がとても重要です。
健康診断でどうやって見つかるの?
吸収病巣は、口腔内の視診だけでは見つからないことも多く、歯のレントゲン検査が有効です。
当院では、以下のようなステップで口腔内疾患のスクリーニングを行っています:
- 視診(目に見える部分に異常がないか)
- 歯周ポケットのチェック(歯茎の状態)
- 必要に応じてレントゲン検査
- 麻酔下での精密な歯科検診・治療(必要に応じて)
吸収病巣が見つかった場合は、抜歯による処置が基本となります。溶けてしまった歯は、保存することができないためです。
健康診断は、未来への“安心”です
飼い主さんにとって、「うちの子が今、どんな状態なのか」を正しく知ることはとても大切です。
症状が出てからでは手遅れになることもありますが、健康診断で早期に発見できれば、治療の選択肢も広がり、予後も良好です。
吸収病巣のように、「痛いのに我慢している病気」があるかもしれません。**“今、元気に見える子ほど、定期検診が必要”**というのは、まさにその通りなのです。
まとめ
- 健康診断は年に1回が目安。シニアは半年ごとが理想
- 猫に多い吸収病巣は、歯が根元から溶けてしまう痛い病気
- 早期発見のためにはレントゲンを含めた検診が必要
- 「元気に見える=健康」とは限らない
大田区大森のイース動物病院では、歯科専門外来も行っておりますので気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
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🏥 イース動物病院(東京都大田区大森西)
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