愛犬・愛猫の健康を守る整形外来とは?よくある病気と治療方法まとめ~整形疾患は身近に⁈~

こんにちは!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です。

さて皆さんは自分家の大切な家族のワンちゃん、ネコちゃんを連れて一度は動物病院に行ったことはあると思います。

そこで獣医師から『この子お膝が緩いよ』『背中が痛そうだよ』『首が痛そうだよ』など言われたことはありませんか?

また逆でいきなり、『キャンと鳴いた後から歩き方がおかしい』『なんかずっと足を(手を)使わない(びっこ引いている)』『どこか痛そう』など起きてしまって急いで動物病院に行ったりしませんか?
そこでレントゲンを撮ったり、触診したりして整形疾患かもしれない。と言われたことや言われることがあります。そんな時に整形の専門の先生に診察してもらわずにそこの獣医師で治療をお願いしてしまいませんか?
本当にそれでいいのでしょうか?整形の専門の獣医師は毎日整形疾患に触れ、筋肉や骨。その後の治療方針までしっかりと計画し治療をしていきます。でも専門ではない獣医師ではそこまで可能でしょうか?

もちろんこんな意見もあります。『ずっとそこの先生に診察してもらって一番我が子のことを理解してくれている。』その選択も大切になります。でも本当にその子にとっての幸せってなんでしょうか?本当に痛みが取れたんでしょうか?

整形専門の先生には手術を勧められたが、本当に手術必要なのか?で他の病院では手術必要ないよ。と言われたが、本当に今後のリスクなどを考えた上でどうでしょうか?

当院ではよく他の病院さんからご紹介や飼い主様ご自身で探されセカンドオピニオンで整形専門外来にご来院されることが多いです。

その際に治療された方針は間違っていた。実は手術が必要だった。そんなことが多く見られます。
『そんなはずではなかった。』『もっと早くこの子のためにかかればよかった』という声を耳にすることが増えました。

そんな方達を見ているともっとたくさんのワンちゃんネコちゃんの痛みや整形疾患の見逃しなど減ってくれたら・・・と思います。

ではなぜワンちゃんネコちゃんには整形疾患があった際には整形専門の先生にしっかりと見てもらいたいのかお話しさせていただきます。

犬猫に整形専門外来が必要な理由とは?

~動物の「歩く」「走る」「跳ねる」を守るために~

私たち人間にとって、整形外科というと「骨折」「関節痛」「ヘルニア」「変形性関節症」などといった体の運動器に関わる症状の診療科です。では、犬や猫といった動物に「整形専門外来」が必要なのはなぜでしょうか?

動物病院には内科や外科、皮膚科、眼科、歯科などの専門外来がある中で、整形外来のニーズは近年ますます高まっています。今回は、「なぜ犬猫に整形専門外来が必要なのか」について、動物たちの視点、飼い主の視点、そして獣医療の進歩という観点から掘り下げていきます。


1. 動物たちも「運動器のトラブル」を抱えている

犬や猫は、私たちと同じく「骨」「関節」「筋肉」「腱」などの運動器を使って日々の生活を送っています。走る、跳ねる、じゃれる、登る、降りる…。これらの動作はすべて、健康な運動器があってこそ可能です。

しかし、実際には多くの犬猫が運動器に関するトラブルを抱えています。たとえば:

  • 膝蓋骨脱臼(パテラ):特に小型犬に多く見られ、膝のお皿がずれてしまう病気です。
  • 前十字靭帯断裂:中型〜大型犬に多く、膝の靭帯が切れてしまい歩行困難になります。
  • 股関節形成不全:股関節の形がうまく発達しないことで、痛みや跛行(びっこ)が出ます。
  • 椎間板ヘルニア:特にダックスフントなど胴長短足の犬種でよく見られ、脊髄の圧迫により麻痺を引き起こします。
  • 骨折や脱臼:高所からの落下、交通事故などによる外傷が原因で発生します。

これらの疾患には、専門的な知識と診断、手術技術が必要です。一見「歩き方がおかしいな」と思っても、実は重大な整形疾患であることが少なくありません。


2. 整形疾患は「早期発見・早期治療」がカギ

整形疾患の多くは、進行性です。つまり、時間が経つほど悪化しやすく、慢性化する傾向があります。特に股関節形成不全や膝蓋骨脱臼などは、放置することで関節炎が進行し、生活の質(QOL)を著しく下げてしまいます。

動物は痛みを我慢する習性があります。そのため、症状が出たときにはすでに進行しているケースも少なくありません。専門外来では、整形外科に精通した獣医師がレントゲン、CT、MRIなどを駆使して正確な診断を行い、必要に応じて手術やリハビリを提案します。

また、最近では**関節鏡(関節の中をカメラで見る手術)**や、**TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)**などの高度な整形外科技術も導入されており、より動物に負担の少ない治療が可能になってきています。


3. 高齢化・小型犬の増加と共に、整形疾患が増加

近年、犬や猫の平均寿命は延びています。15歳を超える高齢の犬猫も珍しくありません。人間と同様、高齢化に伴って「変形性関節症」や「筋力の衰え」など、運動器に関するトラブルが増えています。

また、日本ではトイプードルやチワワ、ポメラニアンなどの小型犬の人気が高いですが、これらの犬種は先天的に関節が弱かったり、骨が細かったりするため、膝蓋骨脱臼や骨折のリスクが高いのです。小型犬の増加も、整形専門外来のニーズを押し上げる大きな要因となっています。


4. 飼い主の「気づき」と「安心感」のためにも

整形専門外来では、診察・検査・治療だけでなく、「この歩き方は正常なのか?」「手術を受けさせたほうがいいのか?」「リハビリは必要か?」といった、飼い主の疑問や不安に専門的に応えてくれる場所でもあります。

動物の症状は言葉で説明できないため、飼い主の「なんとなく様子がおかしい」という直感が診断の手がかりになることも多いです。専門外来であれば、そのような微妙な変化にもしっかり対応し、最適な治療方針を一緒に考えることができます。


5. 予防・リハビリ・ケアまでをトータルでサポート

整形専門外来では、外科的な治療だけでなく、予防やリハビリ、運動指導なども行います。たとえば以下のようなサポートが可能です:

  • 適切な体重管理や運動量の指導
  • サプリメントや食事療法の提案
  • 高齢犬猫のためのリハビリメニュー
  • 術後ケアや理学療法(フィジカルセラピー)

こうしたトータルケアを受けられるのも、専門外来の大きなメリットです。


おわりに:動物たちの「動く喜び」を守るために

整形専門外来は、「命を救う」外科ではないかもしれません。しかし、犬猫たちの**「快適に動く」「痛みなく暮らす」**という生活の質を守るために、非常に重要な役割を果たしています。

犬がまた元気に走れるようになること、猫がキャットタワーに軽やかに登れるようになること、それは単なる回復ではなく、彼らにとっての「喜びの再獲得」なのです。

だからこそ、犬猫にも整形専門外来が必要なのです。

当院では毎週月曜日に整形専門外来を行なっています。

二次診療の整形専門外来の医長が診察をしっかりとさせていただき1からお話しをさせていただきます。

その子にあった治療法などしっかりお話しさせていただき、最後までしっかりとその子やご家族のサポートまでさせていただきます。