最近くしゃみや口臭が気になっていませんか?

こんにちは、大田区大森西イース動物病院です!

日頃からワンちゃんやネコちゃんの歯磨きはできていますか?口腔内のケアを怠ると、さまざまな問題が発生する可能性があります。特に、口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)は、放っておくと深刻な状態に進行することがあるため、飼い主の皆様にはぜひ知っていただきたい病気の一つです。

口腔鼻腔瘻とは?

口腔鼻腔瘻は、口腔と鼻腔の間に異常な穴(瘻孔)ができる状態を指します。この穴は、本来分離されているべき口と鼻の空間を繋いでしまい、犬や猫にとって非常に不快で痛みを伴うものです。主な原因としては、歯の疾患が挙げられます。特に歯周病や歯の根の感染が進行すると、上顎の犬歯の根元に炎症が起こり、組織が破壊されて穴が開いてしまうことがあります。

また、事故や強い外傷によっても口腔鼻腔瘻が発生することがあります。噛み合わせの問題や顎の外傷などが原因で、口腔内の組織が傷つき、瘻孔が形成されるケースも少なくありません。さらに、口腔内や鼻腔内の腫瘍が瘻孔の原因となることもあります。腫瘍によって組織が破壊され、口と鼻の間に異常な通路ができてしまうのです。

症状と見分け方

口腔鼻腔瘻が発生すると、犬や猫には以下のような症状が見られることがあります。これらの症状に気づいたら、できるだけ早く動物病院で診察を受けることが大切です。

  1. 頻繁なくしゃみ
    口腔鼻腔瘻があると、口の中に入った食べ物や水が鼻腔に流れ込むことがあり、その刺激によって頻繁なくしゃみが起こります。特に食後や水を飲んだ後にくしゃみが多く見られる場合は、口腔鼻腔瘻を疑うべきです。
  2. 鼻汁の分泌
    鼻から透明な鼻水や、場合によっては膿のような分泌物が出ることがあります。これは、鼻腔内に炎症が起こっているサインです。分泌物が続く場合、瘻孔の可能性が高いです。
  3. 鼻血
    鼻腔の炎症がひどくなると、鼻血が出ることもあります。通常のくしゃみや鼻水とは違い、血が混じった場合は特に注意が必要です。
  4. 食欲不振
    口腔鼻腔瘻は犬や猫に強い痛みを伴うため、食事を嫌がるようになることがあります。食欲が急に減ったり、硬い食べ物を避けるようになった場合は、口腔内に問題がないか確認する必要があります。
  5. 口臭や歯茎の腫れ
    口腔内の感染が進行すると、口臭が強くなり、歯茎が腫れることがあります。これは、歯周病が進行しているサインでもあり、早急に治療が必要です。

診断と治療方法

口腔鼻腔瘻の診断には、視診や触診、さらにはX線検査やCTスキャンなどの画像診断が用いられます。これにより、瘻孔の大きさや位置、原因となっている病変を特定することができます。

治療方法としては、基本的に外科的手術が必要です。瘻孔を放置すると感染や炎症が進行し、さらに深刻な状態になるため、早期の治療が求められます。治療には以下の方法が考えられます。

  1. 瘻孔閉鎖手術
    瘻孔の周囲にある健康な組織を使って、穴を閉じる手術が行われます。瘻孔の大きさや位置によっては、複数回の手術が必要になることもあります。
  2. 原因となる歯の抜歯
    歯の感染が原因である場合、その歯を抜歯することで炎症を抑え、瘻孔の進行を防ぐことができます。抜歯後には、瘻孔閉鎖の手術が行われることが一般的です。
  3. 薬物療法
    手術後には、感染や炎症を防ぐために抗生物質や抗炎症薬が使用されることが多いです。これにより、術後の回復を促し、再発を防ぎます。

術後のケアと予防

手術後は、適切なケアが重要です。術後のケアを怠ると、再び瘻孔が開いたり、感染が悪化する可能性があります。以下のポイントに注意して、ワンちゃんやネコちゃんの健康をサポートしましょう。

  1. 柔らかい食事の提供
    術後しばらくは、口腔内に負担をかけないよう、柔らかい食事を与えることが推奨されます。硬い食べ物は避け、ペースト状やウェットタイプのフードが適しています。
  2. 口腔内の清潔を保つ
    食事後は、口腔内を清潔に保つことが大切です。動物用の口腔ケアグッズを使って、優しく歯や歯茎をケアしましょう。
  3. 定期的な診察
    術後の経過観察のために、定期的に動物病院で診察を受けることが推奨されます。異常がないかどうか、しっかり確認してもらいましょう。

予防が何より大切

口腔鼻腔瘻の発生を防ぐためには、日頃からの口腔ケアが欠かせません。以下のポイントを日常生活で実践することで、予防に努めましょう。

  • 定期的な歯磨き
    毎日の歯磨きは、歯垢や歯石の蓄積を防ぎ、歯周病のリスクを軽減します。犬や猫用の歯ブラシや歯磨き粉を使って、優しく磨いてあげましょう。
  • バランスの取れた食事
    栄養バランスの取れた食事は、全身の健康を保つだけでなく、口腔内の健康にも良い影響を与えます。特に口腔ケア用のフードを選ぶと効果的です。
  • 定期的な健康診断
    年に一度は動物病院での健康診断を受けることで、口腔内の問題を早期に発見し、治療することが可能です