アレルギー性皮膚炎と保湿の重要性について
はじめに
アレルギー性皮膚炎は環境アレルゲン(花粉、ダニ、カビなど)や食物アレルゲンに対する過敏反応によって引き起こされる痒みを伴った皮膚の炎症です。
症状は特に内股や脇、四肢の指間や顔回りに出やすく、アトピー性皮膚炎の内30%ほどは食物アレルギーも併発していると言われています。
発生要因
アトピー性皮膚炎の発症には遺伝的背景が隠れていると言われており、
- 皮膚のバリア機能異常
- 免疫異常
- 痒みによる皮膚の掻爬(二次的な皮膚のバリア崩壊)
の3要素が複雑に絡み合う事により発症します。そのため管理するためにはこれら3つの因子それぞれに対応する必要があります。
管理方法
一概にアレルギー性皮膚炎の管理方法として
- “保湿”を意識したシャンプーや薬浴や外用薬
- アレルゲンを含まない特別な食事
- 腸内細菌叢の正常化
- 痒みや炎症を抑える薬物療法
などが挙げられます。
今回はこれらの対策の内、“保湿”について解説していきたいと思います。
皮膚バリアを取り戻すにはとにかく保湿!
アトピー性皮膚炎の子の皮膚は健康な子と比べて経表皮水分蒸散量(TEWL)が高く(皮膚から水分が逃げやすい)、角質水分量(SSH)が低い(角質が壊れやすい)と言われています。
皮膚バリア機能異常の原因は未だ十分に解明されていませんが、現在までに報告されている研究からは、角質の細胞間脂質の異常が注目されています。
角質の細胞間脂質には、コレステロール・セラミド・遊離脂肪酸が含まれており、特にセラミドは水分保持機能が非常に高い脂質です。
アレルギー性皮膚炎の子は角質のセラミド量が優位に低くなっている事がわかっています。
セラミドなどの脂質は皮膚への浸透が可能なので、外から取り入れる事ができます。よって、皮膚バリア機能を直接的に取り戻す方法に“保湿”は必須となります。
病院により様々な流派が存在しますが、おおよそ週に1回ほどの薬浴(保湿入浴剤)、保湿シャンプーの実施や、日ごろから保湿スプレーやローション・クリーム剤の塗布などが推奨されています。
さいごに
アレルギー性皮膚炎は長期間にわたって付き合っていかなければなりません。
現在では様々な治療法がありますので、当院では飼い主様のライフスタイルや皮膚の状態に合わせた治療法をご提案いたします。
愛犬の皮膚の状態で悩み事のある方はイース動物病院までご連絡ください。