犬猫の健康診断と腹部エコー検査で診断できる病気
はじめに
こんにちは!東京都大田区のイース動物病院です。犬や猫は言葉を話せないため、体の不調を隠すことが多く、飼い主が気づいたときには病気が進行していることも少なくありません。そのため、定期的な健康診断がとても重要です。特に腹部エコー検査は、内臓の状態を詳しく確認できるため、多くの病気の早期発見に役立ちます。本記事では、犬猫の健康診断の重要性と、腹部エコー検査で診断できる病気について詳しく解説します。
1. 犬猫の健康診断の重要性
健康診断の目的
健康診断は、病気の早期発見や予防を目的として行われます。動物は本能的に体調不良を隠すため、目に見える症状が出る頃には病気が進行していることが多いです。定期的な検査を受けることで、無症状の段階で異常を見つけ、早期治療を行うことができます。
健康診断の頻度
年齢別の推奨頻度
- 1歳未満(子犬・子猫):成長が早いため、3~6ヶ月ごとの検診を推奨。
- 1歳~7歳(成犬・成猫):年に1回の健康診断が理想。
- 7歳以上(シニア犬・シニア猫):年に2回の健康診断を推奨。加齢による病気のリスクが高まるため、より詳細な検査が必要。
健康診断の主な内容
一般的な健康診断では、以下のような検査が行われます。
- 視診・触診・聴診
- 皮膚や毛並み、体格のチェック
- しこりの有無、リンパ節の腫れの確認
- 心音・肺音の異常チェック
- 血液検査
- 貧血や炎症、感染症の有無を調べる(CBC検査)
- 肝臓・腎臓・膵臓の機能チェック(生化学検査)
- 血糖値やコレステロール値の測定
- 尿検査・便検査
- 糖尿病や腎臓病、膀胱炎の診断
- 寄生虫の有無や消化不良のチェック
- 画像診断(レントゲン・エコー)
- レントゲン検査:骨折、腫瘍、心臓・肺の異常を確認
- 腹部エコー検査(超音波検査):内臓の状態をリアルタイムで観察
2. 腹部エコー検査とは?
腹部エコー検査の特徴
腹部エコー検査(超音波検査)は、超音波を使って内臓の状態を調べる検査です。放射線を使用しないため、安全で体に負担が少なく、繰り返し検査が可能です。特に、レントゲンでは見えにくい軟部組織(肝臓、腎臓、膵臓、脾臓など)の状態を詳細に観察できます。
エコー検査の流れ
- 検査準備
- 検査部位の毛を剃る(超音波が通りやすくするため)
- ジェルを塗布し、プローブ(超音波を発する機器)を当てる
- 検査
- 獣医師がリアルタイムで内臓を観察し、異常がないかを確認
- 必要に応じて画像を記録し、詳しい解析を行う
- 検査後
- すぐに結果を説明(追加の検査が必要な場合もあり)
3. 腹部エコー検査で診断できる病気
1. 肝臓の病気
- 肝炎・肝硬変:肝臓の炎症や線維化の進行を確認
- 胆泥症・胆嚢炎:胆嚢の中に泥状の胆汁が溜まり、炎症を引き起こす病気
- 肝腫瘍:良性・悪性の腫瘍の有無を確認
2. 腎臓の病気
- 慢性腎臓病(CKD):腎臓の形や大きさの変化を確認
- 腎結石:腎臓に石ができる病気で、エコーで石の存在を確認
- 腎嚢胞:腎臓に液体の溜まった袋ができる病気
3. 膀胱・尿路の病気
- 膀胱炎・膀胱結石:膀胱内の結石や炎症の有無を確認
- 膀胱腫瘍:膀胱内に腫瘍ができる病気
4. 脾臓の病気
- 脾腫(脾臓の肥大):炎症や腫瘍による肥大を確認
- 脾臓腫瘍:血管肉腫などの悪性腫瘍の早期発見に役立つ
5. 膵臓の病気
- 膵炎:膵臓の炎症の有無を確認(膵炎は重篤化しやすい病気)
- 膵臓腫瘍:膵臓に発生する腫瘍の有無を確認
6. 消化器系の病気
- 胃腸の腫瘍・異物誤飲:異常な腫瘤や異物の有無を確認
- 腸閉塞:腸の動きが正常かどうかを確認
4. まとめ
犬猫の健康診断は、病気の早期発見・予防に欠かせない重要な検査です。特に腹部エコー検査は、レントゲンでは確認できない内臓の異常を詳細に調べることができ、腫瘍や炎症、結石など多くの病気を発見できます。
愛犬・愛猫の健康を守るために、定期的な健康診断を受け、異常がないかチェックしましょう!