犬の足が震えるのは老化じゃなかった!?飼い主を悩ませる“隠れリウマチ”の真実~整形疾患は身近に?!~

こんにちわ!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です。みなさんは大切な愛犬が急に歩かなくなった。びっこひいている、関節周りが腫れている。などきた際に動物病院に行ってもレントゲンを撮影しても問題ないよ。と言われたことありませんか?実はそれ。。。リウマチかもしれないです。実は診断できる獣医師が少ないことが多いんです。リウマチは薬の量によって症状が良くなることや悪くなります。その薬の量は慣れた獣医師。特に当院ですと整形専門獣医師にしかできないことが多くあります。順番をしっかりと話した上での治療を開始し改善する方が多く見られます。では本日はリウマチについてお話しさせていただきます。

犬は私たちの大切な家族の一員。その犬が「関節の痛み」に苦しんでいる姿を見るのは、飼い主としてとてもつらいものです。近年、犬にも人間と同様に「リウマチ」と呼ばれる関節炎の一種が発症することが知られてきました。この記事では、犬のリウマチに関する原因、症状、診断方法、治療法、日常生活でできるケア方法などを詳しく解説します。


リウマチとは?

リウマチ(関節リウマチ)は、自己免疫疾患の一種です。自己免疫疾患とは、本来であれば外敵から身体を守る免疫システムが、誤って自分自身の組織を攻撃してしまう病気を指します。関節リウマチの場合は、免疫システムが関節を包む滑膜(かつまく)を攻撃し、炎症を引き起こします。

炎症が進行すると、関節の軟骨や骨そのものが破壊されていき、痛みや腫れ、変形、歩行障害といった深刻な症状につながります。犬の場合、このようなリウマチは「免疫介在性多発性関節炎(IMPA)」と呼ばれることもあります。


犬のリウマチの原因

犬のリウマチはまだ完全には解明されていない病気ですが、いくつかの要因が関係していると考えられています。

1. 遺伝的要素

特定の犬種にはリウマチを発症しやすい傾向があります。たとえば、以下の犬種がリスクが高いとされています。

  • グレイハウンド
  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  • シェットランド・シープドッグ
  • ジャーマン・シェパード

2. 免疫異常

自己免疫疾患のため、免疫システムの異常が直接の原因です。これは先天的なものだけでなく、環境因子やウイルス感染などが引き金になることもあります。

3. 二次性関節炎

リウマチは、他の病気(たとえば細菌感染やライム病など)をきっかけに発症することもあります。このような場合は「二次性リウマチ」と呼ばれます。


主な症状

犬のリウマチには以下のような症状が見られます。初期段階では一時的なものに見えるかもしれませんが、進行すると生活の質が大きく低下します。

  • 関節の腫れ
  • 関節の痛み(歩くのを嫌がる)
  • 足を引きずる
  • 立ち上がるのをためらう
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 元気がない
  • 筋肉の萎縮

リウマチの特徴のひとつは「左右対称性」の関節炎です。つまり、左の前脚が痛い場合は、右の前脚にも同様の症状が見られる傾向があります。


診断方法

リウマチの診断は難しく、他の関節炎や免疫疾患との鑑別が必要になります。獣医師は以下のような検査を組み合わせて診断を進めます。

血液検査

  • 炎症マーカー(CRP、白血球数)
  • リウマチ因子の有無
  • 自己抗体(ANAなど)

関節液の採取

関節内の液体(滑液)を採取して、細胞数や感染の有無を調べます。

画像診断

  • レントゲン:関節の腫れや変形を確認
  • 超音波:滑膜の炎症や液体貯留の確認
  • CT/MRI:重度の場合に有用

診断的治療

治療に対する反応を見て、診断を確定する方法もあります。ステロイドなどを投与して改善が見られれば、免疫性の関節炎と判断されることがあります。


治療法

犬のリウマチは根本的な治癒が難しい病気ですが、症状をコントロールすることで快適な生活を送ることは可能です。以下のような治療法が一般的です。

1. 免疫抑制剤

  • ステロイド(プレドニゾロンなど)
  • シクロスポリンなどの免疫抑制剤

2. 消炎鎮痛剤(NSAIDs)

痛みを和らげ、炎症を抑えるために使われます。ただし、長期使用は胃腸障害などの副作用に注意が必要です。

3. サプリメント

グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸などは関節の健康維持に役立ちます。

4. 理学療法

  • 軽い運動(散歩など)
  • マッサージや温熱療法
  • 水中トレッドミル(無重力下での歩行訓練)

日常生活でできるケア

治療と並行して、日常生活でのケアも非常に重要です。

  • 体重管理:肥満は関節に大きな負担をかけるため、適正体重を維持することが大切です。
  • 運動制限:無理な運動は避け、短時間で優しい散歩に切り替える。
  • 滑りにくい床材に変更:関節に負担がかからないように、カーペットやラグを敷く。
  • 関節用ベッド:柔らかく、関節をサポートするマットで快適に眠れる環境を。

予防できるのか?

完全な予防法はありませんが、以下の対策を心がけることで発症リスクや症状の悪化を抑えることができます。

  • 定期的な健康診断を受ける
  • 免疫力を高めるバランスの取れた食事
  • ウイルスや細菌感染から守る(ワクチン接種・衛生管理)
  • ストレスを避け、穏やかな環境を提供する

まとめ

犬のリウマチは、進行性で生活に支障をきたす病気ですが、早期発見と適切な治療・ケアによって、愛犬のQOL(生活の質)を大きく改善することができます。「年だから足が痛いのかな」と見過ごさず、少しでも異変を感じたら早めに動物病院を受診することが大切です。

愛犬の健康は飼い主の気づきから始まります。日々の観察と愛情をもって、愛犬の関節と暮らしを守りましょう。

当院では毎週月曜日に整形専門外来を行っています。

リウマチかもしれない。リウマチと診断されたが症状が改善しない。びっこひいている。関節周りが腫れている。など何か気になることがありましたらご相談ください。

飼い主様とその子に合った治療方針などご提案させていただきます。