犬の無駄吠え対策、何から始める?

こんにちは!大田区大森のイース動物病院です。

前回のしつけのブログでは、「犬が無駄吠えする理由」について詳しく解説しました。では、その無駄吠えをどうやって減らし、愛犬との生活をより穏やかなものにしていけばよいのでしょうか?

今回は、原因に合わせた具体的な無駄吠え対策をご紹介します。焦らず、犬のペースに寄り添いながら取り組むことが成功のカギです。

無駄吠えの原因に関してはこちら。


1. 分離不安による無駄吠え対策

●「慣れさせる」ことが基本

分離不安の犬にとって、飼い主の外出=不安の連続です。少しずつ「離れていても大丈夫」と学ばせることが必要です。

練習

  1. 数秒〜数分、別の部屋に移動して戻る練習を繰り返す
  2. 少しずつ時間を延ばして、外出の練習へ
  3. 外出の際は、静かに出て静かに戻る(大げさなお別れ・再会はNG)

外出時の工夫

  • 出かける直前に遊びや散歩でエネルギーを発散させる
  • 長持ちするおやつや知育トイを与える(KONGなど)
  • テレビやラジオをつけておくことで環境音が安心材料になることも

ご褒美タイミングに注意

吠えている最中に戻ると「吠えたから帰ってきた」と学習してしまいます。
必ず吠え止んでから帰宅したり、褒めたりすることが重要です。


2. 要求吠えへの対策

●「無視」が一番の武器

要求吠えは、反応すればするほどエスカレートします。「吠えたら無視、静かになったら褒める・与える」の原則を徹底しましょう。

望まない行動に反応しない

  • おやつが欲しくて吠える → 完全に無視。目も合わさず動かない。
  • 吠え止んでから静かにおやつを出す

代替行動を教える

「吠える代わりに座ったら要求が通る」ようにトレーニングします。

例:吠えたら無視 → 座ったらおやつ → だんだんと「吠えなくても伝わる」と学習

飼い主が一貫した対応をとる

家族全員で同じ対応を徹底することが重要です。一人でも「吠えたら応えてしまう」と、すぐに逆戻りします。


3. 警戒・縄張り吠えの対策

●「吠える理由をなくす」環境調整と、「反応を変える」トレーニング

外からの刺激を遮断する

  • 窓の目線にすだれやフィルムを貼る
  • 外が見えないようカーテンを閉める
  • インターホンの音量を下げるか、音を変更する

来客慣れトレーニング

  1. ピンポン音に慣らす(録音した音を小さく流し、ご褒美を与える)
  2. 少しずつ音量を上げていく
  3. 来客時は、落ち着ける場所(クレートなど)に誘導し、ご褒美で気をそらす

「吠える=損」だと学ばせる

吠えた瞬間に構ってしまうと「警戒して正解」となってしまうため、落ち着いたら褒めるを意識します。


4. 刺激不足・退屈からの吠え対策

●生活の質(QOL)を高める

退屈な時間を減らし、心と体をしっかり使えるように工夫しましょう。

1日2回以上の散歩をルーティン化

  • ニオイを嗅ぎながらの散歩で頭も使う
  • コースを変えて刺激を与える

室内遊び・知育トイ活用

  • 食べ物を取り出すおもちゃ(KONG、ノーズワークマットなど)
  • トリック(おすわり・お手・伏せ)でご褒美を与える「頭の運動」も効果的

飼い主との時間を大切に

スキンシップや会話、短時間でも構ってもらえると犬は安心します。飼い主の存在そのものが「刺激」になります。


5. 社会化不足からの吠え対策

●「怖い」を「平気」に変える練習

社会化不足による吠えは、犬が「怖い!」と感じている証拠。無理に慣れさせようとせず、段階を追って経験値を積ませていきましょう。

距離とタイミングを調整する

  • 吠えない距離から他人・他犬を見せて、おやつを与える
  • 怖がる対象に慣れてきたら、少しずつ距離を縮める

無理強いしない

怖がっている対象に無理に近づけると、余計に警戒が強まります。
犬がリラックスできる距離・環境で成功体験を積ませるのがコツです。


6. 老犬・認知症による吠えへの対応

●医療的な視点と、安心感の提供を両立

高齢犬の無駄吠えには、認知機能の低下や感覚の衰えが関係している場合が多いです。

獣医師の診断を受ける

  • 認知症の進行度合いをチェック
  • 抗不安薬やサプリメントの処方も視野に

環境を見直す

  • 夜間に安心できるよう照明をうっすらつけておく
  • 音や振動に配慮した静かな寝床の確保
  • 同じ場所を歩きやすくするため家具の配置に注意

声かけやスキンシップを増やす

高齢犬は不安を感じやすくなります。安心できる飼い主の存在を、こまめに感じさせてあげることが大切です。


まとめ

犬の無駄吠えは、決して「問題行動」ではなく、「困っているサイン」であることが多いです。
「どうすれば吠えなくなるか?」だけでなく、「どうして吠えているのか?」に目を向けてみましょう。

原因を知り、愛犬の気持ちに寄り添った対応を続ければ、無駄吠えはきっと改善に向かっていきます。焦らず、優しく、一歩ずつ――それが最も確実な方法です。

大田区、蒲田、大森で子犬のしつけや、高齢で急によく吠えるようになってお困りの方は、お気軽にご相談ください。