歯が折れた!(破折)
体の中で一番硬い部分をご存知でしょうか?
それは歯(エナメル質)です。
物質の硬さを表すモース硬度という単位があります。
この硬度で表すと歯のエナメル質は水晶と同じ硬さ(モース硬度7)です。モース硬度によると、なんと歯は鉄やガラスよりも硬い性質を持つのです。
しかしその硬い歯が折れてしまうことがあります!
運悪く歯が折れてしまった場合は、そのままにせず動物病院に相談することをおすすめします。折れた歯の歯髄から細菌感染を起こし根尖に膿が溜まったり、顔が腫れて穴があくことがあります。
今回は歯が折れること、歯の破折についてお伝えします。
はじめに
歯の破折(歯が折れる・割れること)は、犬・猫の健康と快適さに深刻な影響を与える問題です。歯の破折は痛みを伴い、放置すると感染症やさらなる健康問題を引き起こす可能性があります。今回は犬猫の歯の破折の原因、症状、治療法、予防策についてお伝えします。
原因
1. 硬いものを噛む:犬はひづめ、硬いおもちゃ、石、ケージなどを好んで噛む習性があります。これらの硬い物質を噛むことで、特に犬歯や上顎第4前臼歯が破損することがあります。
2. 事故やけが:転倒や物との衝突、他の犬との喧嘩などが原因で歯が破折することがあります。猫が落下や事故で破折した場合、犬歯がほどんどです。
3. 不適切な咬み合わせ :咬み合わせが悪いと、特定の歯に過剰な力がかかり、破折のリスクが高まります。
4. 歯の健康状態: 歯周病や齲歯などで歯が弱くなり、破折しやすくなります。
症状
1. 目に見える破損: 歯が欠けていたり、割れていたりするのが目で確認できます。
2. 痛みや不快感:犬が口を触られるのを嫌がる、食べるのを避ける、片側だけで食べるなどの行動が見られます。
3. 流血:歯肉や歯自体から出血することがあります。
4. 食欲不振:食事を避ける、食べるのが遅くなるなどの症状が出ることがあります。
5. 腫れや膿:感染が進行すると、顔や顎に腫れや膿が見られることがあります。
治療
1. 獣医の診察:まずは獣医に診てもらい、破折の程度を確認します。X線検査で根の状態や周囲の組織の損傷を確認することが多いです。
2. 抜歯:破折がひどく、歯の保存が難しい場合は抜歯が行われます。
3. 歯の修復*:破折が軽度で歯が保存可能な場合は、充填やクラウン(被せものによる修復が行われることがあります。)
4. 根管治療*:歯の神経が露出している場合は、根管治療を行って痛みを取り除き、歯を保存します。
5. 抗生物質:感染が疑われる場合や予防のために抗生物質を投与することがあります。
(*3、4の治療は現在イース動物病院では行っておりません。けいこくの森動物病院へご紹介になります。)
予防
1. 適切な噛むおもちゃ:硬すぎない、安全な噛むおもちゃを与えることが重要です。
2. 食事の管理:硬すぎる食べ物を避け、適切な食事を与えることが予防になります。
3. 定期的な歯科検診:獣医による定期的な歯科検診で早期に問題を発見し、対処することが重要です。
4. 歯のケア:日常的に歯を磨いたり、歯の健康を保つためのデンタルケア製品を使用することが効果的です。
まとめ
犬と猫の歯の破折は、早期発見と適切な対応が重要です。ペットの健康と快適な生活を守るために、定期的な歯科検診と適切なケアを怠らないようにしましょう。異常が見られたらすぐに獣医に相談し、適切な治療を受けることがペットの健康を維持するための鍵となります。
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