実はパテラをほっておくとやばい⁉たかが膝の病気かと思ってた…でも“パテラ”というものは一生モノ
こんにちは!東京都大田区大森西にありますイース動物病院です。
「うちのワンちゃん最近びっこ引いているんです…」
「急にケンケンし始めたとおもったら、すぐ戻るし様子を見ている」
「ほかの動物病院では大丈夫と言われたから、うちの子は平気と思っていた」
こんなお悩みや思い当たる方はいませんか?
当院ではこんなお悩みがありました。
「少し前からがに股になった…でも他の動物病院では個性と言われたがどう見てもおかしい。」
「膝のお皿が外れた。でも今はなにもないから平気。と言われたけどどんどん痛がる。」
とのことで整形専門外来に受診されました。検査をしていき膝蓋骨内方脱臼(パテラ)と診断になりました。

飼い主様に1から現在起きている状態をご説明させていただき、飼い主様が治してあげられるのであればこのこのために治してあげたい。ということで手術を希望されました。

当院では片足ずつ手術を行い現在ではとても元気に走り回りすごしています。
飼い主様からも
「昔と違ってジャンプ力も上がって、散歩も昔より時間が長くなった。がに股もしっかりとまっすぐになって手術をしてよかった。」
というお声もいただいています。
膝蓋骨内方脱臼(パテラ)のご説明をさせていただきます。
パテラは特に小型犬に多い整形外科疾患のひとつで、放っておくと慢性的な痛みや歩行異常、さらには前十字靭帯断裂など深刻な関節疾患へ発展することもある、決して軽く見てはいけない病気です。
今回は、膝蓋骨内方脱臼について詳しくご紹介するとともに、なぜ治療や手術には整形専門医の診断・技術が欠かせないのかを徹底的にお伝えいたします。
膝蓋骨内方脱臼(パテラ)とは?
「膝蓋骨」とは、いわゆる膝のお皿の骨のことです。
正常では膝関節の真ん中に位置しており、膝の屈伸運動を滑らかに行うために欠かせない骨です。
ところが、膝蓋骨が内側(体の中心側)にずれてしまうことで脱臼し、足をかばうような歩き方や、突然のスキップ、片足を浮かせての歩行が見られるようになります。
どんな子に多いの?
膝蓋骨内方脱臼は、以下のような犬種で多く見られます。
- トイ・プードル
- チワワ
- ポメラニアン
- ヨークシャー・テリア
- マルチーズ
- パピヨン
- ミニチュア・ダックスフンド(時に外方脱臼も)
小型犬に非常に多く(3匹に1匹といわれています)、生まれつきの骨格の異常(先天性)で見られることもあれば、滑ったり、膝をひねったりする外傷で後天的に発症するケースもあります。
グレード分類と進行のリスク
| グレード | 脱臼の状態 | 主な症状・特徴 |
| グレード1 | 膝蓋骨が通常は正常位置にあり、指で押すと脱臼するが自然に元に戻る | ・無症状のことが多い・軽度の「足を上げる」動きが一瞬見られることも |
| グレード2 | 自然に脱臼し、自然に戻ることもある | ・スキップするような歩行・時々後ろ足を浮かせる |
| グレード3 | 常に脱臼しているが、手で元に戻せる | ・常に足をかばって歩く・骨格の変形が進行しやすい |
| グレード4 | 常に脱臼し、手でも元に戻らない | ・著しい歩行困難・膝の変形が進行し、痛みが強い |
放置するとどうなる?
「うちの子は元気にしているし、痛がってないから大丈夫」
そう思って放置してしまう方も少なくありませんが、それは大きな落とし穴です。
膝蓋骨の脱臼は、関節の不安定さを引き起こし、以下のような悪循環を招きます:
- 滑車溝(膝蓋骨が収まる溝)がさらに浅くなる
- 大腿骨(モモの骨)や脛骨(すねの骨)の変形が進行
- 軟骨が削れ関節炎が進行
- 最終的には前十字靭帯断裂や重度の変形性関節症に進展
一度壊れてしまった関節は元には戻りません。だからこそ、早期発見・早期治療が最も重要なのです。
なぜ整形専門医の診断・手術が重要なのか?
ここが今回一番お伝えしたいポイントです。
膝蓋骨脱臼は単なる「お皿のズレ」ではありません。
多くの場合、大腿骨や脛骨の角度・筋肉のバランス・滑車溝の深さなど、骨格全体の問題が関わっています。
それを本当に理解し、適切に治療できるのは整形外科の知識と経験を持った整形専門医だけです。
実際、当院にも以下のような相談が多く寄せられます:
- 「他院でパテラの手術をしたが、数か月で再脱臼した」
- 「手術は受けたけど、足をかばったままで治らない」
- 「別の病院で診てもらったが、"とりあえず様子を見ましょう"と言われた」
これらの多くは、手術の設計・方法が不十分だったり、整形に特化していない獣医師が無理に対応したことが原因です。
パテラの手術は以下のような要素を組み合わせて行う必要があります:
- 滑車溝形成(溝を深くする)
- 脛骨粗面転移術(膝蓋骨を正しい位置に引っ張る)
- 軟部組織の縫縮術(内外側の靭帯バランス調整)
これらを個々の骨格・グレードに合わせて正確に設計・実行する技術力が必要です。
つまり、専門的な整形知識がなければ対応できないということです。
手術が必要かどうかの判断も整形専門医に
もちろん、すべての膝蓋骨脱臼に対して手術が必要なわけではありません。
グレード1〜2で、無症状の場合は保存療法(筋力トレーニングや体重管理)で経過観察することもあります。
しかし、本当に「様子を見る」でよいのかどうかを判断するには、整形の専門的な診断が不可欠です。
誤った判断は、数年後の愛犬の足に取り返しのつかないダメージを残します。
まとめ
整形専門の診断で、未来の足を守りましょう
膝蓋骨内方脱臼は、小型犬によく見られる整形疾患で、放っておくと痛み・歩行障害・再発を繰り返す厄介な病気です。
しかし、正確な診断と、専門的な技術による手術で、ワンちゃんの足は本来の機能を取り戻すことができます。
だからこそ、当院では整形外科の専門的な視点から診察・手術対応を行っております。
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
膝蓋骨内方脱臼と診断された、がに股、膝蓋骨内方脱臼を昔に手術したが心配。足をくるくる回す。すぐに座り込む。「もしかしてうちの子も…?」
些細なことからでもご相談ください。
あなたの大切な家族の未来のために、
私たちが全力でサポートいたします。
