その“首の痛み”、ただの寝違えじゃない!犬の頚部椎間板ヘルニアに要警戒~整形疾患は身近に⁈~

こんにちは!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です。

みなさんは大切な愛犬が突然「キャン!」と鳴いて動かなくなった、首を触ると怒る、歩き方がぎこちない…。そんなとき…どうしますか?それもしかすると「頚部椎間板ヘルニア(けいぶついかんばんヘルニア)」を発症している可能性があります。

実はこの疾患は馴染みがなくても身近に存在している疾患になります。この疾患は整形専門の獣医師にしっかりと診察してもらわないと、愛犬はかなり痛がります。この頚部ヘルニア

犬の頚部ヘルニアは命に関わることもある重大な疾患で、特に正しい診断と治療が重要です。しかもこの病気、「どの病院でも診てもらえる」と思っていると、判断ミスや手遅れになる可能性も。

この記事では頚部ヘルニアの症状・原因・治療法に加えて、「整形外科専門医に必ず受診すべき理由」についても詳しくお伝えします。


1. 椎間板ヘルニアとは?

椎間板は、背骨を構成する椎骨(ついこつ)の間にあるクッション状の組織です。この椎間板が変性して中の髄核(ずいかく)が飛び出し、脊髄や神経を圧迫して痛みや麻痺を引き起こす状態を「椎間板ヘルニア」と言います。

頚部(首)に起きる場合は「頚部椎間板ヘルニア」と呼ばれ、四肢麻痺にまで発展する危険な病態です。


2. 主な症状

初期段階:

  • 首を動かすのを嫌がる
  • 頭を下げてじっとしている
  • 抱っこを嫌がる
  • 食欲が落ちる

進行すると:

  • 歩き方がおかしい(よたよた歩き)
  • 足がふらつく(特に前足)
  • 全身が動かなくなる(四肢麻痺)
  • 排尿・排便障害

頚部の神経は前足・後足両方に関わるため、軽度でも早期の対応が不可欠です。


3. 原因と好発犬種

主な原因:

  • 加齢による椎間板の劣化
  • 遺伝的な構造異常
  • 激しいジャンプや運動
  • 肥満による体重負荷

好発犬種:

  • ダックスフンド
  • チワワ
  • トイプードル
  • シーズー
  • ペキニーズ
  • フレンチブルドッグ

特に「軟骨異栄養性犬種」と呼ばれる犬たちは椎間板の変性が若いうちから起きやすく、注意が必要です。


4. 診断方法と重要なポイント

一般的な検査:

  • 身体検査・神経学的検査
  • レントゲン検査(骨の異常を確認)
  • MRI/CT検査(椎間板の変性や脊髄の圧迫を確認)

ここで大事なことがあります。


5. 必ず「整形外科専門医」のいる病院を選ぶべき理由

頚部ヘルニアは高度な専門性が必要な疾患です。間違った診断や適切でない治療により、逆に状態が悪化することすらあります

よくあるトラブル:

  • 一般の病院で「様子を見ましょう」と言われたが、実は緊急手術が必要だった
  • 鎮痛薬で一時的に症状が和られても、実際には神経圧迫が進行していた
  • 正確なMRI診断が行われず、誤診された

整形外科専門外来では:

  • 神経学的検査の精度が高い
  • MRIやCTの画像読影に慣れている
  • 手術の選択と実施に実績がある
  • 術後のリハビリや管理も適切

頚部ヘルニアの診断・治療は、獣医整形外科の専門医でなければ正しく判断・対処できない場合が多いのです。


6. 治療法について

内科的治療(軽度〜中等度):

  • ケージレスト(絶対安静)
  • 消炎鎮痛薬・ステロイド投与
  • 神経保護サプリメント

外科的治療(中等度〜重度):

  • ヘルニア物質除去手術(例:椎体腹側減圧術)
  • 脊髄の圧迫を解除する減圧術
  • 専門設備・熟練技術が必須

※手術が必要なケースで内科治療を続けると、取り返しのつかない後遺症が残る可能性があります。


7. 回復と予後

手術を受けた犬の多くは回復可能ですが、早期治療がカギとなります。

回復の目安:

  • 軽度:2〜4週間で日常生活に復帰
  • 中等度:1〜2ヶ月で歩行回復
  • 重度:リハビリ含めて数ヶ月

術後は物理療法(温熱・マッサージ)や水中トレーニングを行うケースもあります。


8. 自宅でできる予防・生活管理

  • ソファやベッドからの飛び降り防止(ステップや柵の設置)
  • 体重管理(肥満は椎間板の負担を増やす)
  • 首輪よりハーネスの使用
  • 激しい遊びを避ける
  • 高リスク犬種は定期的な健康診断

ヘルニアは一度発症すると再発しやすいため、生活全体の見直しが不可欠です。


9. 飼い主さんに伝えたい大切なこと

犬の頚部ヘルニアは、**「治療のタイミングと場所を間違えると一生歩けなくなる」**可能性のある怖い病気です。

だからこそ、

✅「様子を見る」は禁物
✅ 必ず整形外科の専門医に診てもらう
✅ 軽症のうちに対応する

この3点をしっかり押さえておいてください。


おわりに

犬の頚部椎間板ヘルニアは、飼い主の早期発見・正しい病院選びがすべてを左右すると言っても過言ではありません。特に整形外科の専門知識と経験が治療成否に直結します。

大切な愛犬の命と歩く喜びを守るために、違和感があれば「とりあえず整形専門外来へ」が合言葉です。

当院では毎週月曜日に整形専門外らを行っています。

突然四肢麻痺がおきた。痛がる。ヘルニアと診断された。急にキャンと鳴いた後動かなくなった。首回りをさわると痛がる。など些細なことからでもご相談ください。

当院では経験豊富な二次診療の整形外科・整形内科の医長が診察をさせて頂きしっかりと1からご説明させていただきます。

大切な愛犬との一生の思い出をサポートさせていただきます。