本当にただの年を取っただけ?変形性膝関節症じゃ?~整形疾患は身近に⁈~
こんにちは!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です✨
皆さん愛犬が年を取るにつれて身体が痛そう。ふらつく。歩き方がおかしい。そんなことが起きてしまったら、不安で少しでも何とかしてあげたい。と思いませんか?
実はそれ『変形性膝関節症』かもしれません。実をかなり身近にあるのが整形疾患なんです。
よく飼い主さんに聞くのが他の獣医師さんには、「ただの腰痛だよ。」とか「転んでぶつけたのかも?」や「少しの間ケージレストにしておいてね」等いわれませんか?
それは一時しのぎでしかありません。ちゃんとした整形専門獣医師に診察してもらって、ちゃんとした治療法を知らないと愛犬はうまく痛みを隠して過ごしています。そして、気が付いた時にはかなりの痛みが…。そんな状態でよく当院の整形専門外来に受診する飼い主さんがとても多くみられます。
はじめに
犬も人間と同様に、加齢や運動、外傷などの影響で関節に様々な問題を抱えることがあります。その中でも、変形性膝関節症は多くの犬に見られる疾患の一つです。このブログでは、変形性膝関節症の症状、原因、診断方法、治療法、予防策について詳しく解説していきます。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症(OA)は、膝関節の軟骨が徐々に劣化し、関節の痛みや機能障害を引き起こす病気です。犬の中高齢者や肥満犬に多く見られ、痛みや不快感から日常生活に支障をきたすことが少なくありません。特に、運動を好む犬種では、運動を避けるようになり、さらなる健康問題を引き起こすことがあります。
症状
変形性膝関節症の主な症状には以下のようなものがあります。
1. 運動の減少
犬が普段より運動を嫌がるようになることがあります。散歩や遊びの時間が短くなったり、遊ぶこと自体を避けることが見られます。
2. 足を引きずる
痛みを和らげるために、特定の足をかばうような歩き方をすることがあります。このため、足を引きずったり、歩行が不安定になったりします。
3. 膝の腫れ
膝関節が腫れたり、熱を持ったりすることがあります。触れると痛がる様子が見られることもあります。
4. 階段や高いところへの登り降りが困難
特に高い場所からのジャンプや階段の昇降に苦労することが多く、これが日常生活に影響を及ぼすことがあります。
5. 夜間の不安
痛みや不快感から、夜間に寝られないことがあります。特に、飼い主が寝ている間にそわそわすることが増えるかもしれません。
原因
変形性膝関節症の原因は多岐にわたりますが、主なものは以下の通りです。
1. 加齢
犬が年を取るにつれて、関節の軟骨は徐々に劣化し、変形性膝関節症が発症するリスクが高まります。
2. 肥満
体重が増えると、膝関節にかかる負担が大きくなります。これにより、関節の摩耗が進むことがあります。
3. 遺伝
特定の犬種では、遺伝的に変形性膝関節症にかかりやすい傾向があります。特に、大型犬や中型犬に多く見られます。
4. 外傷
過去の怪我や手術の影響で、関節に負担がかかることがあります。これが長期的に影響を及ぼすことがあります。
5. 不適切な運動
急激な運動や不適切なトレーニングが関節に負担をかけることがあります。特に成長期の犬では、注意が必要です。
診断方法
変形性膝関節症の診断は、以下の手順で行われます。
1. 獣医師による身体検査
犬の歩き方や動き、関節の可動域を確認し、痛みや異常がないかをチェックします。
2. 画像診断
X線検査を行い、膝関節の状態を詳しく確認します。これにより、軟骨の状態や骨の変形、関節液の状態などが分かります。
3. 血液検査
他の健康問題が関与していないかを確認するために、血液検査を行うことがあります。
治療法
変形性膝関節症の治療は、症状の緩和と生活の質の向上を目的としています。治療法には以下のようなものがあります。
1. 薬物療法
痛みを和らげるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や、関節の健康をサポートするサプリメント(グルコサミンやコンドロイチンなど)が使用されます。
2. 体重管理
肥満が原因の場合、食事管理や運動によって体重を減らすことが重要です。獣医師と相談しながら適切なダイエットプランを立てましょう。
3. 理学療法
専門の獣医師による理学療法が効果的です。水中運動やストレッチなどを通じて、関節の可動域を改善し、筋力を強化します。
5. 補助具の使用
犬用のサポートハーネスや装具を使うことで、膝関節への負担を軽減することができます。
予防策
変形性膝関節症は完全に予防することは難しいですが、以下のポイントに注意することでリスクを減らすことができます。
1. 適切な体重管理
肥満は関節に大きな負担をかけるため、適正体重を維持することが重要です。健康的な食事と適度な運動を心がけましょう。
2. 定期的な運動
関節を強化するために、定期的な運動が必要です。ただし、過度な運動は避け、年齢や体調に応じた適切な運動を行いましょう。
3. 健康診断
定期的に獣医師の診察を受けることで、早期に問題を発見し、対処することができます。特に高齢犬は注意が必要です。
4. 飼い主の教育
犬種特有の健康リスクを理解し、適切なケアを行うことが重要です。飼い主自身が犬の健康に対する意識を持つことが大切です。
まとめ
犬の変形性膝関節症は、多くの犬が抱える問題ですが、早期の発見と適切な治療によって生活の質を改善することができます。愛犬が快適に過ごせるように、日頃から健康管理に努め、何か気になる症状があれば早めに獣医師に相談することが大切です。
特に、関節に関する問題が疑われる場合は、必ず整形外科専門医への受診を強くお勧めします。整形外科専門医は、関節に特化した高度な知識と技術を持っており、正確な診断や適切な治療法を提供することができます。専門医の診察を受けることで、より効果的なケアが可能になり、愛犬の健康を守るための大きな助けとなるでしょう。
犬との幸せな生活を続けるために、変形性膝関節症についての理解を深め、専門医との連携を重視した適切な対策を講じていきましょう。
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
他の病院では加齢といわれたが、歩き方が変。よたよたしている。などありましたらご相談ください。
些細なことからでもしっかりとご相談に乗らせていただき、その子にあった治療法をご提案させていただきます。
一生の大切な愛犬との思い出を一緒に楽しい生活を送れるように支えさせていただきます。
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