ある日、目が開かない…!犬猫の“角膜穿孔”は一刻を争う危険なサイン
こんにちは。東京都大田区大森のイース動物病院です。
今回は、犬猫の目の中でも特に**緊急性が高い「角膜穿孔(かくまくせんこう)」**という病気について詳しくお話しします。
🩺角膜穿孔とは?
「角膜」とは、眼球のいちばん外側にある透明な膜のことです。
いわば、目の“窓ガラス”のような存在で、外からの光を通し、視覚を保つうえで欠かせない部分です。
この角膜に深い傷や感染が起き、穴が開いてしまった状態が「角膜穿孔」です。
穿孔が起きると、眼球の内部(房水)が外に漏れ出し、最悪の場合、失明や眼球摘出に至ることもあります。
🐶🐱角膜穿孔が起こる原因とは
角膜穿孔は突然起こることが多く、原因はさまざまです。代表的なものを挙げてみましょう。
① 外傷(ひっかき・異物・ケンカ)
猫の爪や枝、トリミング中の器具などで角膜に傷がつくことがあります。
特に猫同士のケンカでは、鋭い爪で角膜を突いてしまう事故がよく見られます。
② 角膜潰瘍の悪化
軽い角膜潰瘍(表面の浅い傷)は点眼治療で治ることもありますが、
放置すると感染や自己消化酵素により傷が深くなり、角膜が溶けて破れることがあります。
③ ドライアイ(乾性角結膜炎)
涙の量が少ない犬(特にシーズー、チワワ、キャバリアなど)は角膜が乾燥しやすく、
傷ができても治りにくいため、穿孔を起こすことがあります。
④ 異物やシャンプー液の刺激
草の種や砂などの異物、あるいはシャンプー液が目に入ったことが原因となることもあります。
👀こんな症状があったら要注意!
角膜穿孔の初期症状は見逃しやすいですが、次のようなサインがあるときはすぐに受診してください。
- 片目をしょぼしょぼさせて開けない
- 涙が止まらない、目ヤニが増えた
- 角膜(黒目)が白く濁って見える
- 目を前足でこすろうとする
- 眼の表面に小さな突起物(デスメ膜ヘルニア)が見える
穿孔が進むと、眼球がへこんだり、黒目に「ぽつん」とした穴が開いているように見えることもあります。
放っておくと、数時間単位で視力が失われることもあります。
実際の症例紹介
ワンちゃんシーズー4歳避妊雌、ある日突然、片目をしきりに気にして目が開かなくなったとのことで来院しました。
診察すると、角膜中央部に穿孔が見つかり、房水が漏れ出ている状態でした。
救急で結膜フラップ手術を実施し、眼球を保護。術後は視力も回復し、今では元気に過ごしています。
💉治療方法
角膜穿孔の治療は、状態の重さによって大きく変わります。
● 軽度(穿孔前や微小な穴)
→ 点眼薬や内服での抗生物質治療、角膜保護のためのコンタクトレンズ装着などで回復を目指します。
● 中等度〜重度(明らかな穿孔)
→ 外科手術が必要です。主に以下の方法が取られます。
- 結膜フラップ術:自分の結膜を角膜上に縫いつけ、穿孔部分を保護する方法。
- 角膜移植:重症例では、角膜の一部を移植して視力を守る場合もあります。
- 瞬膜フラップ:瞬膜(第三眼瞼)を縫い付け、保護膜として使う一時的な方法。
手術後も、点眼管理やエリザベスカラー着用、数週間の通院が必要です。
🧬穿孔を防ぐためにできること
角膜穿孔は突然起こるように見えて、多くは「前兆」があります。
そのサインを見逃さないためには、日頃からの観察と定期的な健診が重要です。
✅ 1. 定期的な眼科健診を受ける
年1~2回の健康診断時に、眼圧測定やフルオレセイン染色検査を行うことで、
角膜潰瘍やドライアイの早期発見が可能です。
✅ 2. 顔周りのトリミングやシャンプーに注意
目に毛がかからないようにする、シャンプーは必ず目を避けるなど、日常ケアも大切です。
✅ 3. 目をこすらせない
かゆがる仕草がある場合は、すぐにカラーを着けて受診を。
こすることで軽度の傷が一気に穿孔へ悪化することもあります。
✅ 4. 異変を感じたら、すぐ病院へ
「1日様子を見よう」は禁物です。
角膜穿孔は数時間の遅れが命取りになることもあります。
🧡当院の眼科診療について
イース動物病院では、角膜疾患をはじめとする犬猫の眼科診療も行っております。
眼圧測定・染色検査・スリットランプによる角膜観察などを行い、必要に応じて専門医への紹介も対応しています。
特に、**涙の量が少ない子や高齢の子、顔が短い犬種(シーズー・ペキニーズ・フレンチブルドッグなど)**は、角膜トラブルを起こしやすいため、定期的な健診を強くおすすめします。
💬まとめ:角膜穿孔は「時間との戦い」
角膜穿孔は放置すれば視力を失う可能性もある、非常に危険な病気です。
一見「目を細めてるだけ」「ゴミが入ったのかな?」と思うような軽い症状でも、
実際には角膜に深刻なダメージが起きていることがあります。
愛犬・愛猫の目が少しでもおかしいと感じたら、その日のうちに動物病院へ。
早期発見・早期治療が、視力と眼球を守る何よりの鍵です。
📍東京都大田区大森のイース動物病院
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

