【要注意】あなたの猫、実は股関節が壊れているかもしれません…~整形疾患は身近に⁈~

こんにちは!東京都大田区大森西、イース動物病院です。

皆さんは愛猫の健康診断等行っていますか?実は健康診断で当院では骨格評価も行っています。

実は骨は一生もの。しっかりと異常がないか確認しないと急に脱臼など起こしてしまうリスクがあります。

猫の股関節の整形疾患について:原因・症状・治療法まで徹底解説

はじめに

猫は非常に柔軟な体を持ち、俊敏に動き回る生き物です。しかし、そんな猫たちも股関節に関する整形疾患に悩まされることがあります。特に高齢猫や大型の猫種では、股関節に関する問題が発生しやすく、日常生活にも大きな影響を及ぼすことがあります。

本記事では、猫の股関節に関連する主な整形疾患について、原因、症状、診断方法、治療法、予防策などを詳しく解説していきます。猫の健康を守るために、ぜひ最後までご覧ください。


1. 猫の股関節の構造

まず初めに、猫の股関節がどのような構造をしているのかを理解することが重要です。

1-1. 股関節とは?

股関節とは、骨盤と大腿骨(太ももの骨)が接続する関節部分を指します。ボールのような形をした「大腿骨頭」が骨盤のくぼみである「寛骨臼(かんこつきゅう)」にはまり込む形で関節を形成しています。

この関節は、筋肉や靭帯、関節包(関節を覆う膜)によって支えられており、自由に前後・左右・回旋などの動きが可能です。しかし、何らかの異常が生じると、股関節の動きが制限されたり、痛みが発生する場合があります。


2. 猫の股関節に関する主な整形疾患

猫に見られる股関節の整形疾患は複数あります。ここでは代表的なものを紹介します。

2-1. 股関節形成不全(Hip Dysplasia)

■ 病態

股関節形成不全とは、股関節の形成が正常に行われず、関節の緩みや異常な摩耗が起こる疾患です。主に大型猫種(メインクーン、ラグドールなど)で見られますが、一般の猫でも発生する可能性があります。

■ 原因

  • 遺伝的要因:親猫から遺伝する場合があります。
  • 成長過程の異常:子猫期に関節がうまく形成されなかった場合。
  • 肥満:体重が過度に重くなることで関節に負担がかかります。

■ 症状

  • 歩き方がおかしい(跛行)
  • 動きたがらない、寝ていることが増える
  • 高い場所にジャンプできなくなる
  • 足を引きずる

■ 診断

動物病院では以下の方法で診断を行います:

  • 身体検査:歩き方、関節の可動域、痛みの有無を確認。
  • X線検査:関節の形成状態を画像で確認。
  • 関節可動域テスト:関節の動きを確認し、異常がないかを調べます。

■ 治療法

  1. 内科療法
    • 消炎鎮痛剤:痛みを和らげるために投与。
    • 体重管理:体重を適正に保つことで関節への負担を軽減。
    • 関節サプリメント:グルコサミン、コンドロイチンなどの成分が有効。
  2. 外科療法
    • 大腿骨頭切除術:股関節の大腿骨頭を切除し、関節の摩擦をなくす手術。
    • 股関節置換術:人工股関節を埋め込む手術(非常に高度な手術)。

2-2. 大腿骨頭壊死症(Legg-Calvé-Perthes病)

■ 病態

大腿骨頭壊死症とは、大腿骨頭(太ももの骨の先端部分)への血流が滞り、骨が壊死してしまう疾患です。主に若い猫(6か月~2歳)に発生しやすいです。

■ 原因

  • 血流障害
  • 遺伝的要因
  • 骨の成長異常

■ 症状

  • 突然の足を引きずる動き
  • 激しい痛み
  • 関節の可動域制限

■ 診断

X線検査で大腿骨頭の変形や壊死が確認されます。

■ 治療

  • 外科手術:壊死した大腿骨頭を切除し、痛みを取り除く手術が主流です。
  • 保存療法:軽度の場合は消炎鎮痛剤と安静で様子を見ますが、進行性の場合は手術が適応されます。

2-3. 股関節脱臼

■ 病態

外傷(落下、交通事故など)によって股関節が脱臼することがあります。

■ 原因

  • 高い場所からの落下
  • 交通事故
  • 外傷

■ 症状

  • 足を着かない
  • 急激な痛み
  • 関節部の変形

■ 診断

X線検査で股関節の脱臼を確認します。

■ 治療

  • 徒手整復:麻酔下で脱臼した関節を元に戻す処置。
  • 外科手術:関節包が損傷している場合は手術で修復。

3. 猫の股関節疾患の予防方法

3-1. 適切な体重管理

肥満は関節への負担を増加させ、股関節疾患のリスクを高めます。適切な食事と運動で体重管理をしましょう。

3-2. 安全な環境作り

高い場所から飛び降りる機会を減らすために、キャットタワーの高さを工夫するなど、安全な環境を整えましょう。

3-3. 定期的な健康診断

特に高齢猫や大型猫種は、定期的な健康診断を受けることで早期発見・早期治療が可能です。


4. まとめ

猫の股関節疾患は、早期に発見し適切な治療を行うことで、猫のQOL(生活の質)を大きく向上させることができます。特に、股関節形成不全や大腿骨頭壊死症などは早期治療が重要です。

また、普段から適切な体重管理や生活環境を整えることで、予防することも可能です。愛猫が健康に長生きできるよう、日頃のケアを心がけましょう。

もし愛猫に違和感を感じたら、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。

当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。

どこか痛そう。触ると嫌がる。健康診断等で股関節を指摘された。などありましたらご連絡ください。

1~しっかりとご説明させて頂き、しっかりと治療の御説明までさせて頂きます。