【動物病院が警告】見た目は元気でも、実は靭帯が切れているかも!?~整形疾患は身近に⁈~
こんにちは!東京都大田区にありますイース動物病院です。
皆さんはワンちゃんネコちゃんが急に足を引きずった時どうしますか?それを放置した結果慢性的な激痛やどうしようもできない。事になってしまうことがあります。
自分の大切な子たちは言葉が話せない分飼い主様自身が選択しその子の幸せにしてあげてもらいたいです。
では本日は前十字靭帯断裂についてお話させて頂きます。
わんちゃん・ねこちゃんが急に足をかばうようになったり、ケンケンするように歩いたりしている姿を見たことはありませんか?
その症状、もしかすると「前十字靭帯断裂(ぜんじゅうじじんたいだんれつ)」かもしれません。
人間のスポーツ選手にもよく見られるこのケガ。実は犬や猫でも比較的多く見られる整形外科的疾患のひとつです。
しかし、人と同じように大きな痛みや不安を伴い、放っておくと関節炎や歩行困難に発展することもあります。
この記事では、前十字靭帯断裂とは何か?症状・原因・治療法・手術の必要性・リハビリについてなど、飼い主さんが知っておくべき情報を詳しく解説していきます。
前十字靭帯ってなに?
前十字靭帯(ACL)は、膝の中にある重要な靭帯のひとつで、脛骨(すねの骨)と大腿骨(太ももの骨)をつなぎ、関節の安定を保つ役割をしています。
これが切れてしまうと、骨同士のバランスが崩れ、歩行が困難になるだけでなく、慢性的な痛みや関節炎のリスクも高まります。
どんな症状が出るの?
前十字靭帯が断裂すると、以下のような症状が現れることが多いです。
- 突然、後ろ足をかばうようになる
- ケンケンしながら歩く(足を地面につけない)
- 立ち上がりにくくなる
- 運動や散歩を嫌がるようになる
- 関節の腫れや熱感がある
初期症状は軽く見えることもありますが、放置すると状態が悪化し、慢性的な関節炎や歩行障害に進行します。
原因は?なぜ起こるの?
犬猫の前十字靭帯断裂にはさまざまな原因があります。
急な動きやジャンプ
活発なわんちゃんがジャンプした瞬間や、急な方向転換で靭帯に強い負荷がかかり断裂することがあります。
加齢による靭帯の劣化
年齢を重ねると靭帯がもろくなり、軽い動作でも断裂することがあります。特に中〜大型犬ではこのパターンが多いです。
肥満
体重が重いと関節に負担がかかり、靭帯の損傷リスクが高まります。
他の疾患による影響
関節炎や股関節形成不全など、もともと関節に問題があると、靭帯にも影響が出やすくなります。
犬種・猫種による傾向
前十字靭帯断裂は特に犬に多い疾患ですが、猫でもまれに見られます。
リスクが高い犬種:
- ラブラドール・レトリバー
- ゴールデン・レトリバー
- トイ・プードル
- シェットランド・シープドッグ
- 柴犬
これらの犬種は運動量が多かったり、体重が重かったり、遺伝的に靭帯が弱い傾向があるため注意が必要です。
診断はどうやってするの?
動物病院では、以下の方法で前十字靭帯断裂を診断します。
- 視診・触診:関節の腫れや足の使い方を観察
- 引き出し試験:靭帯が切れていると、脛骨が前後に動いてしまいます
- X線検査:靭帯自体は写りませんが、関節の炎症や異常な骨の動きを確認できます
- 関節鏡・MRI(必要に応じて):詳細な内部構造を見るために使用
※痛みが強い場合や動きを見たい場合は、鎮静下での検査が行われることもあります。
治療法は?
前十字靭帯断裂には**内科的治療と外科的治療(手術)**があります。
内科的治療(保存療法)
- 安静
- 消炎鎮痛剤の投与
- 体重管理
- サプリメント(グルコサミンやコンドロイチンなど)
軽度の場合や、手術が難しい場合には保存療法が選択されますが、根本的な改善は難しいのが現実です。特に中型〜大型犬では、再発や悪化のリスクが高いです。
外科的治療(手術)
前十字靭帯断裂に対する最も確実な治療法は「手術」です。
代表的な術式には以下のようなものがあります。
TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)
脛骨の角度を変えることで、靭帯がなくても関節が安定するようにする手術です。現在、最も多く行われている術式です。
TTA(脛骨粗面前方移動術)
脛骨の一部を切って前方に移動させ、関節を安定させる方法。
ラテラルスーチャー法(人工靭帯法)
ナイロン糸などで靭帯の代わりをつくる方法。小型犬に向いています。
手術後のリハビリがとても大切
手術を受けたら終わりではありません。
術後数週間〜数ヶ月にわたるリハビリが、回復の鍵を握っています。
- 初期は絶対安静
- 徐々に散歩を再開(リード付き)
- 水中トレッドミルやマッサージ療法などのリハビリメニュー
- 体重管理の継続
病院によっては、リハビリ専門のスタッフがサポートしてくれることもあります。
飼い主さんの協力がとても重要です。
放っておくとどうなる?
前十字靭帯断裂を治療せずに放置すると、以下のようなリスクがあります。
- 関節の変形や慢性炎症
- 反対側の足にも断裂が起こる(二次的損傷)
- 運動機能の低下や歩行困難
- 痛みによるQOL(生活の質)の低下
特に大型犬や活動的なわんちゃんでは、放置は深刻な問題につながります。
早期発見・早期治療がカギ!
前十字靭帯断裂は、早期に治療を開始するほど予後が良くなる疾患です。
「最近、足を痛がっている気がする」
「なんだか歩き方がおかしい…?」
そんな変化に気づいたら、自己判断せず、早めに動物病院へ相談してください。
早期に診断がつけば、手術を避けられるケースや、回復までの時間を短くできる可能性もあります。
まとめ
前十字靭帯断裂は、犬や猫の運動機能に大きな影響を与える重要な疾患です。
しかし、正しい診断と治療、リハビリによって、再び元気に歩けるようになる子もたくさんいます。
大切な家族の一員であるわんちゃん・ねこちゃんが、痛みなく元気に過ごせるよう、日頃からの観察と早めの受診を心がけましょう。
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
急に足を引きずる。びっこ。ケンケン歩き等些細なことからでもご相談ください。
その子に合った治療方針をご提案させて頂きます。