「おすわり」の練習をしてみよう!

こんにちは!大田区大森のイース動物病院です。

みなさんの愛犬は、おすわりが得意ですか?

どんなしつけやコミュニケーションにおいても、まずはアイコンタクトをマスターしましょう!名前を呼んだら目を合わせることができるようになりましょう。

おすわりだけでなく、待て、おいでなどのしつけでもアイコンタクトは重要になっていきます。人でも認識していない後ろから急に「◯◯取って」と言われても上手く反応できないですよね。アイコンタクトで犬に自分を注目させることで指示が伝わりやすくなります。

アイコンタクトの詳細については、前々回のしつけのブログをご覧ください。

「おすわり」を教える必要ってあるの?

おすわりは、コミュニケーションや芸だけが目的ではありません。おすわりには突発的な行動を抑制する役割と、問題行動を予防する役割があります。

みなさんは、愛犬が興奮して飼い主の制御を振り切り、勢いよく走り出してしまう経験などはありませんか?そんな時におすわりのしつけができていれば、後ろ足が折りたたまれているのでブレーキとなり、突発的な行動が取りにくくなるのです。

問題行動と言っても、様々なものがあります。家のチャイムが鳴るとしきりに吠えたり、遊びの勢いが増して興奮して飼い主の手を噛んでしまったりすることも含まれます。

こういった興奮任せに行動する場面でも、おすわりのしつけができていれば「おすわり」という指示と行動に集中させて、今までの興奮任せの行動を自然と中断させることができます。

おすわりの実践をしてみよう

・念頭に置いておくこと

・一つの行動に快と不快を混在させない

・ご褒美(快)とお仕置き(不快)のタイミングを間違えない

・しつけの方法、指示言葉、方針は家族の中でも統一させる

・学習しやすい環境と、ご褒美の準備

学習しやすい環境づくり

犬の気が散らないような環境を用意しましょう。

犬の興味を惹かない部屋にすると、犬の意識が飼い主に向きやすくなります。

・テレビなど音が鳴るものを消す

・窓を閉めて外の音を遮断する

・部屋に落ちているおもちゃや物を全て片付ける

ご褒美

特定の行動に対して積極的になるためには、その特定の行動が上手くいった瞬間にご褒美(快)を与える必要があります。それを繰り返すことで、特定の行動と嬉しい気持ち(快)が結びつき、積極的に行動するようになります。

・おやつ

犬が美味しいと感じるものにしましょう。特に好物のものにすると効果的です。

カロリーの低いもの、又は細かく分けられるものにしましょう。トレーニング中はこまめにご褒美をあげることになる為、おやつのあげ過ぎに注意が必要です。おやつは5ミリ角くらいにできるものを選び、小さくしてこまめにあげるようにしましょう。

・おもちゃ

あらかじめ犬に何種類かのおもちゃを与えてみて、1番のお気に入りを確かめておきましょう

・撫でる

撫でるときは「いい子」「えらいね」「グッド」など褒め言葉を決めておき、決めた褒め言葉と同時に軽く撫でてあげましょう。この時激しく撫で回してしまうと、犬が興奮して集中力が無くなってしまうので望ましくありません。

・指示の言葉を統一する

犬が腰を落としておすわりの状態にさせるには、指示の言葉が必要になります。お母さんは「座れ」、お父さんは「シット」、子供は「おすわり」など指示の言葉が違うと犬は混乱してしまうので、練習の前に指示の言葉は統一しましょう。

練習中の指示も同様です。「ポチおすわり!おすわりは?座って?シット!」など言葉を連呼したり言い換えないようにしましょう。

・座る動作とご褒美を関連付けする

まずは、座ったらご褒美がもらえることを関連付けします。おすわりの練習にはリードを用いる必要はありません。

1.犬が簡単に盗み食いできないように、ご褒美を指先でしっかり持つ

2.犬の正面に立ち、ゆっくりと指先を上に持ち上げて腰が落ちるように誘導する

3.おやつを食べようと自発的に腰を下ろして、おすわりの姿勢になったタイミングで「いいこ」など声をかけておやつをあげる

4.終わったら少し場所を移動することで、おすわりの姿勢をリセットする

5.再度犬の正面に立ち、鼻先が上に向くように指先をゆっくり上げて腰を落とすように促す。腰を下ろしたタイミングでおやつをあげ、「いいこ」と声もかけて褒める。褒めるのは腰を下ろした状態のままで行う

6.連続で5回ほどできるようになるまで、4と5を繰り返す

注意点

・中々座らないからといって、押さえつけて強制的に座らせない

「おすわりが押さえつけられる嫌なこと」と覚えてしまうおそれがある。

・おすわりの姿勢をとらない時は、ご褒美をあげない

何とかおやつを食べようと飼い主の手を舐めたり、立ち上がる、前足をかけることがあります。しかし、頑張っているからといってできなかった時におやつを与えてはいけません。腰を下ろすタイミング以外でおやつを与えると、立ち上がったり腕に前足をかけることでご褒美がもらえると間違った学習をしてしまいます。

犬はそのうち疲れて、楽な姿勢を自発的に探しだします。座ることが楽だと気づいて腰を下ろしたタイミングでおやつをあげましょう。腰を下ろすまでは盗み食いもされないように指先をしっかりとホールドしておきましょう。

・後ろに下がってしまう時は、犬の背後に壁がある環境でやる

指先を上げていくと、少しずつ後ろに下がってしまって中々座れない子がいます。そんな時は犬の背後に壁があるところで行い、後ろに下がれない状況にします。

・座る動作と指示言葉を関連付けする

前のステップでは、「座ればおやつがもらえる!」と学習しました。今度は座る動作と指示言葉を関連付けさせます。ここでは「オスワリ」を指示言葉とします。

指示言葉は「犬がおすわりの姿勢を取ろうとした瞬間」に出します。

1.前のステップと同じように、おやつを持った指先を犬の鼻先近くで上げていき腰を下ろそうとしたタイミングで「オスワリ」と声をかける

2.腰を下ろしたタイミングでおやつをあげ、「いいこ」と声もかけて褒める。褒めるのは腰を下ろした状態のままで行う

3.終わったら姿勢をリセットし、1と2を10回ほど繰り返す

4.今度は今まで通り犬の鼻先に指先を近づけるが、指先を上げていく前に「オスワリ」と指示言葉を言う。できたら褒める

5.4に慣れたら、最終的にはおやつを手に持たない状態で「オスワリ」と指示する。できたら成功。もしキョトンとした様子の場合は、行動と指示言葉がまだ関連付けできていない証拠。再度、腰を下ろすタイミングで指示を出す練習を繰り返す

・色んな状況でやってみる

・犬の正面以外で指示をする

今までの練習では犬と向かい合って行っていましたが、どんな時でもできるように飼い主の姿勢を変えてやってみましょう。はじめは犬の正面から少し外れたくらいの斜めから行なってみましょう。いきなり真横に変更してしまうと、違いについていけなくなります。連続でできたら斜め45度から、またできたら真横から、と少しずつ誘導してあげましょう。

誘導していく途中でキョトンとしている場合は、反応できていた角度まで戻って繰り返し練習しましょう。

・ご褒美を少しずつ減らす

毎回おすわりをする度におやつをあげれば、おやつの過剰摂取で健康状態に問題が起こってしまいます。

ご褒美を「おやつ」から「褒める」ことに緩やかに替える必要があります。おすわりを確実に覚えてからは、おやつを与える回数を2回に1回→3回に1回→4回に1回と減らしていきましょう。最終的に褒め言葉だけになるようにしましょう。

最終的には褒め言葉によるご褒美に移行させますが、ランダムでご褒美におやつをあげると、褒め言葉のご褒美としての効果が持続します。

・環境を変える

学習しやすくしていた環境ですが、誘惑や興味を引く環境にしてみましょう。テレビなどをつける、窓を開ける、おもちゃを床に置くなど。

今度は部屋を変えたり、公園でおこなってみましょう。

まとめ

おすわりには突発的な行動を抑制する役割と、問題行動を予防する役割があります。ぜひ、おうちで練習してみてください!