【獣医師監修】犬の尿失禁(おもらし)は病気?原因と対策、受診の目安を詳しく解説
1. はじめに:おもらしは「しつけの失敗」ではありません
「最近、寝床が濡れている」「歩きながらポタポタおしっこが出る」 そんな愛犬の様子を見て、戸惑っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、成犬の急なおもらし(尿失禁)の多くは、しつけの問題ではなく「体からのSOS」です。
尿失禁は、本人の意思とは関係なくおしっこが漏れてしまう状態を指します。 叱ってしまうとワンちゃんは傷つき、隠れておしっこをするようになるなど逆効果です。
まずは原因を正しく知り、適切なケアを始めてあげましょう。
2. なぜおしっこが漏れるの?考えられる主な原因
尿失禁が起こる理由は、年齢や性別によってさまざまです。代表的な3つの原因を解説します。
① ホルモン反応性尿失禁(特に避妊去勢後のメスに多い)
避妊手術を受けた後のメス犬に多く見られる症状です。
- 理由: 女性ホルモンの減少により、尿道の締まりを維持する力が弱くなるためです。
- 特徴: 寝ているときやリラックスしているときに、じわっと漏れることが多いです。
② 加齢による筋力の低下
シニア期に入ると、おしっこを我慢するための筋肉(骨盤底筋など)が衰えます。
- 理由: 尿道を締める力が弱まり、少しの刺激で漏れやすくなります。
- 特徴: 立ち上がる瞬間や、咳をした拍子に漏れることがあります。
③ 病気によるもの(膀胱炎や結石など)
膀胱や尿道にトラブルが起きているケースです。
- 理由: 炎症や結石による刺激で、膀胱がおしっこを溜めておけなくなります。
- 解説: 膀胱炎(ぼうこうえん)とは、細菌などが入り込み、膀胱の粘膜が腫れてしまう病気です。
3. 「様子見」は禁物!すぐに受診すべきサイン
単なる加齢だと思って放置すると、重症化する恐れもあります。以下のチェックリストに当てはまる場合は、早めにご相談ください。
- おしっこの回数が異常に多い(頻尿)
- おしっこに血が混じっている(血尿)
- おしっこの色が薄く、水を飲む量が急激に増えた
- おしっこをするときに痛そうに鳴く、背中を丸める
- 陰部を気にして何度も舐めている
【院長先生からのアドバイス】 受診の際は、「いつから」「どんな状況で(寝ている時、歩いている時など)」漏れるのかをメモしてきていただけると診察がスムーズです。可能であれば、新鮮な尿を清潔な容器に入れてお持ちください。
4. 病院で行う治療と、お家でできるケア
尿失禁は、適切な治療で改善・維持できることが多い症状です。
病院での治療(例)
- お薬の処方: ホルモン剤や、尿道の筋肉を強めるお薬を使います。
- 抗生剤: 膀胱炎などの感染症がある場合に使用します。
- 食事療法: 結石が原因の場合は、専用の療法食へ切り替えます。
お家での環境づくり
- マナーウェア(おむつ)の活用: お部屋を汚さないことで、飼い主さんの精神的な負担を減らせます。
- こまめな清拭: おしっこが皮膚についたままだと、皮膚炎(尿やけ)の原因になります。濡れタオルやペット用シートで優しく拭いてあげましょう。
- トイレの場所を増やす: 移動が間に合わないこともあるため、寝床の近くにトイレを設置してあげてください。
5. まとめ:健やかなシニアライフのために
最後に、大切なポイントを振り返ります。
- 尿失禁は「叱らない」ことが大前提。
- ホルモンバランス、加齢、病気など原因はさまざま。
- 早めに受診することで、愛犬も飼い主さんも楽になれる。
おもらしは、ワンちゃん自身も「あれ?」と不安に感じていることが多いものです。 かまた本町動物病院では、飼い主さんとワンちゃんが笑顔で過ごせるよう、一人ひとりに合った治療法をご提案します。
「これっておもらしかな?」と迷ったら、いつでもお気軽にご相談くださいね。
