愛犬の足が曲がる…!?知らないと後悔する“尺骨成長板早期閉鎖”の真実~整形疾患は身近に?!~
こんにちは!東京都大田区大森西にあります、イース動物病院です。
皆さん大切な愛犬が急に前の手を痛がったり、寝起きにびっこ引いていることありませんか?
当院ではこんなことがありました。
「寝起きに前足をびっこ引いている。段々と戻ってきたけど、痛そうにしている。大好きな海など入りたがらない。」
との事で整形専門外来に受診されました。検査を進めていくと、

『尺骨成長板早期閉鎖』という診断がつき、ご説明をし手術することになりました。

現在は手術も無事に終了し経過も良好で元気に走り回ったり、大好きな海や川でも遊んでいる。とご満足いただけています。
今回は**「犬の尺骨成長板早期閉鎖」**という、聞き慣れないけれど非常に重大な病気についてお話しします。
「子犬の足が少し曲がってる気がする…」「最近なんだか歩き方がおかしい」そんな小さなサインが、実は大きな病気の始まりかもしれません。
特に小型犬を飼っている方、要注意です。
なぜなら尺骨成長板早期閉鎖はダックス、コーギーなどでしばしば見られるからです。
尺骨成長板早期閉鎖とは?
犬の前足は「橈骨(とうこつ)」と「尺骨(しゃっこつ)」という2本の骨で支えられています。
子犬の骨は成長板(骨端線)と呼ばれる軟骨部分が成長して長さを伸ばしていきます。
しかし、この尺骨の成長板が何らかの原因で早く閉じてしまうと、問題が起こります。
なぜなら「橈骨は伸び続けるのに、尺骨は伸びなくなる」からです。
その結果…
- 橈骨が弓なりに曲がる(前腕の変形)
- 関節にねじれや負担がかかる
- 手首(手根関節)や肘関節に異常が起きる
見た目の変形だけでなく、痛み・関節炎・将来的な歩行障害につながります。
どうして起こるの?原因は?
- 外傷(ケガ):子犬の時期に高いところから落ちたり、強い衝撃を受けて成長板が損傷すると閉鎖することがあります。
- 遺伝的要因:特定の犬種で起こりやすい傾向があります。
- 発育のアンバランス:骨の成長スピードの違いによって発症することもあります。
特に子犬の時期(生後4~8か月)は成長が著しく、骨の異常も進行しやすいため注意が必要です。
こんな症状は要注意!
飼い主さんが気づきやすいサインは以下の通りです。
- 前足が「ハの字」に曲がってきた
- 歩き方がぎこちない、スキップするように歩く
- 足を浮かせることがある
- 手首が外側に曲がって見える
- 成長とともに足の変形が進行している
これらの症状がある場合は、単なる「癖」や「体質」ではなく、骨の成長異常の可能性があります。
放置するとどうなる?
残念ながら、放置して自然に治ることはありません。
むしろ成長期に進行するため、見逃すと取り返しのつかない結果になります。
- 骨の変形がどんどん進行する
- 関節に強いストレスがかかり、早期に関節炎を発症
- 将来的に歩行困難、痛みで生活の質が著しく低下
「まだ小さいし様子を見よう」と先延ばしにすると、手術がより複雑・大規模になってしまいます。
治療方法は?
治療は基本的に外科手術が必要です。
具体的には:
- 尺骨切除術:短くなってしまった尺骨の一部を切り取ることで、橈骨の成長を邪魔しないようにする方法。
- 骨矯正手術:すでに変形してしまった場合は、骨を切って正しい角度に戻す矯正手術が必要になることもあります。
いずれにしても、整形外科の専門知識と経験が不可欠です。
整形専門外来を強くおすすめする理由
一般的な動物病院でも診断は可能ですが、手術となると話は別です。
尺骨成長板閉鎖の治療は高度な骨外科の技術と設備が必要で、プレート固定や特殊な器具を使うケースもあります。
✔ 骨の角度を正確に測定する技術
✔ CTやレントゲンでの詳細な解析
✔ 成長段階を考慮した適切な手術計画
これらは整形外科に精通した獣医師でなければ難しい領域です。
「どの病院でも同じ」ではありません。
むしろ誤った手術や不十分な処置をすると、かえって悪化してしまうリスクもあるのです。
だからこそ、必ず整形専門外来のある病院で診てもらうことを強くおすすめします。
まとめ
- 尺骨成長板早期閉鎖は放置すればどんどん悪化する怖い病気
- 子犬の前足の変形や歩き方の異常に早く気づくことが大切
- 治療は整形外科手術が基本で、専門外来での診断・治療が必須
- 早期発見・早期治療で愛犬の未来を守ることができる
愛犬の足に「おかしいな?」と感じたら、迷わずご相談ください。
👉 「足が曲がってきた気がする…」それは一刻を争うサインかもしれません。
👉 今すぐ整形専門外来へ!
当院では毎週月曜日整形専門外来を行っています。
横浜にある二次診療センターの整形外科・整形内科の医長 伊澤先生に検査、診察、手術など行って頂いています。
少しでも歩き方が変かもしれない。びっこ引く。痛そうにしている。昔整形疾患で治療したがよくならない。セカンドオピニオンにでも構いませんのでご相談ください。