【要注意】犬猫の肛門腺破裂ってどんな病気?
こんにちは。東京都大田区大森のイース動物病院です。
みなさんは、犬や猫に「肛門腺」という小さな器官があることをご存じでしょうか?
肛門腺は肛門の左右に一対ある袋状の分泌腺で、特有の強いニオイを持つ液体をため込む場所です。本来は排便時に自然に分泌されるものですが、うまく出せないと溜まりすぎてしまい、「肛門腺炎」や「肛門腺破裂」といった病気に進行することがあります。
今回は、実際に当院で診察した猫ちゃんの肛門腺破裂の症例写真も交えて、肛門腺トラブルについて詳しくご紹介します。苦手な方は、閲覧注意。
犬猫の肛門腺とは?
肛門の「4時と8時」の位置にある小さな袋で、犬や猫にとってはマーキングの役割も果たす大切な器官です。
通常は便をするときの圧力で少しずつ排泄されますが、
- 小型犬
- 肥満体型
- 老齢の犬猫
などでは自然に出にくく、分泌液がどんどん溜まってしまうことがあります。
肛門腺破裂が起こるまでの流れ
- 分泌液が排出されず、袋の中にどんどん溜まる
- 内部で炎症や感染が起き、「肛門腺炎」となる
- 炎症が強くなると膿がたまり、「肛門腺膿瘍」に発展
- 最終的に袋の壁が破れ、皮膚側へ穴が開いて膿や血が流れ出る
これが「肛門腺破裂」です。
飼い主さんが気づきやすい症状
肛門腺の病気は、初期の段階で気づくことが大切です。次のようなサインが出ていないかチェックしてみてください。
- おしりを床にこすりつける「おしりスリスリ」行動
- 肛門を気にしてしきりに舐める
- 急に尻尾の付け根を触られるのを嫌がる
- 肛門の周囲が赤く腫れている
- 悪臭が強い
破裂まで進んでしまうと、肛門の脇に穴が開いて膿や血が出るため、見た目にもショッキングな状態になります。
実際の症例(猫の肛門腺破裂)
ここで、当院に来院した猫ちゃんの肛門腺破裂の写真をご紹介します。

この子は、急にお尻を舐めて痛がるようになり、飼い主さんが気づいて来院されました。すでに肛門の横に穴が開き、膿が排出されている状態でした。処置と抗生剤治療により回復しましたが、かなり痛みを伴うケースでした。
治療方法
肛門腺破裂の治療は、その進行度によって異なります。
- 肛門腺炎の段階:肛門腺をしぼって排出し、抗炎症薬・抗生剤を使用
- 膿瘍の段階:膿を排出するため切開・洗浄、抗生剤治療
- 破裂している場合:膿の排出・洗浄・抗生剤、痛み止めを使用し、傷が塞がるまで通院治療が必要
重度や再発を繰り返す場合には、外科的に肛門腺を摘出する手術が検討されることもあります。
予防と健康診断の大切さ
肛門腺破裂を防ぐには、定期的な肛門腺しぼりが何より大切です。
特に小型犬や分泌がたまりやすい体質の子は、月1回のケアが推奨されます。
また、飼い主さんが自宅でしぼるのは難しい場合も多いため、動物病院での定期的なチェックやしぼりをおすすめします。
さらに健康診断を受けることで、肛門腺だけでなく体全体の病気の早期発見にもつながります。今回のような破裂になる前に異常を見つけることができれば、ワンちゃん・ネコちゃんの苦痛を大幅に減らすことが可能です。
まとめ
肛門腺破裂は、犬猫にとって非常に痛みを伴うつらい病気です。
しかし、定期的なケアと健康診断で、未然に防ぐことができます。
- お尻を気にしている
- 床にお尻をこすりつけている
- 悪臭がする
こうしたサインを見かけたら、大田区大森のイース動物病院にご相談ください。
大切な家族である犬猫の健康を守るために、ぜひ定期的なケアを取り入れていきましょう。