うちの子が歩けなくなった理由…原因は“前十字靭帯”だった!今すぐできる対策とは?
こんにちは!東京都大田区大森のイース動物病院です。
「うちの子、なんだか最近足をかばっているような…」
「散歩の途中でびっこを引くことが増えた気がする」
そんな様子を見かけたことはありませんか?
当院ではこんなことがありました。
「他の動物病院に受診したらヘルニアかもしれない。と言われた。整形の先生に診察してもらいたい。」
とのことでご来院頂きました。

検査をしてみると、前十字靭帯断裂になっていました。
飼い主様に1から現在起きている状況やリスクなどお話し、治療をしてあげたい。との事で、手術をすることになりました。
今回TPLO法で手術を行い、現在は元気に走り回っている。とのことです。

犬の足のケガの中でも特に多く、そして放置すると深刻な障害を残すこの病気。
今回は、この「前十字靭帯断裂」について詳しく解説しながら、なぜ整形外科専門の診療が不可欠なのかをお伝えします。
■ 前十字靭帯ってどこ?どんな役割?
前十字靭帯(ACL:Anterior Cruciate Ligament)は、膝関節の中にある大事な靭帯で、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)をつなぎ、膝が不安定に動くのを防いでいます。
この靭帯が断裂すると、脛骨が前にずれるようになり、
- 膝のグラグラ感
- 激しい痛み
- 慢性的な跛行(びっこ)
- 関節炎の進行
といった症状を引き起こします。
■ 前十字靭帯断裂はなぜ起きる?
犬の前十字靭帯断裂は、「外傷」よりも「靭帯の変性」によるケースが多いのが特徴です。
特に以下のような犬種・条件でよくみられます。
◎ 好発犬種
- トイプードル
- ラブラドール・レトリーバー
- ゴールデン・レトリーバー
- 柴犬
- フレンチブルドッグ
◎ 好発要因
- 肥満(関節への負荷が増大)
- 加齢(靭帯の劣化)
- 活発な性格(ジャンプ・急停止の多い子)
そして、一度切れると片脚だけでなく反対の脚も1年以内に断裂する可能性が非常に高いです。
つまり、「両足とも手術になる」リスクがある病気だということを覚えておいてください。
■ どんな症状が出る?
前十字靭帯断裂は、完全に切れてしまう「完全断裂」と、まだ少し残っている「部分断裂」に分けられます。
【こんな症状は要注意】
- 突然、後ろ足を上げて歩かなくなった
- 座り方が変(足を横に流して座る)
- 散歩中の動きがぎこちない
- 歩くのを嫌がるようになった
- 動かない時間が増えた
「一時的な痛みだろう」と放置するのは危険です。
前十字靭帯断裂は、時間が経つほど関節の変形が進行し、治療の難易度も上がります。
■ 治療は手術が基本。保存療法は限界あり!
「手術しなくても治るんじゃないの?」
「うちの子はもう歳だし…」
そんな気持ちはよくわかります。ですが、前十字靭帯断裂の根本的な治療は手術しかありません。
保存療法(安静・鎮痛薬・体重管理)もありますが、それは高齢や持病で手術がどうしてもできない子のための選択肢です。
しかも保存療法では、
- 関節炎の進行が止まらない
- 筋力の低下が進む
- 最終的には痛みで寝たきりに近づく
というケースも多く見られます。
■ 手術にも“質の差”がある。だから整形専門が必要!
ここが本記事の最重要ポイントです。
前十字靭帯断裂の手術は、高度な整形外科手術であり、誰がやっても同じではありません。
特に近年主流の手術法である「TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)」は、専門的な知識・技術・設備を要する非常に難易度の高い手術です。
◎ 整形専門医が手術するメリット
- 正確な診断と手術適応の判断
- 最新かつ安全な術式(TPLO、TTAなど)
- 合併症リスクを最小限に抑える技術
- 術後の早期回復とリハビリサポート
逆に、整形外科に不慣れな一般獣医師が手術した場合、再断裂や矯正不良が起こるリスクが上がるのも事実です。
「せっかく手術したのに、またびっこを引いている…」
そんなことにならないよう、必ず整形外科に強い病院を選ぶことをおすすめします。
■ 当院では専門医と連携した整形診療を行っています!
当院イース動物病院では、前十字靭帯断裂の診療にあたって、
整形外科手術の専門医と連携し、高度な手術と術後管理を提供しています。
必要に応じてCT検査や専門医による評価を実施し、その子に最も適した手術方法を選択します。
また、術後のリハビリ指導・生活指導まできめ細かくフォローすることで、
「歩ける喜び」を一日でも早く取り戻せるようサポートしています。
■ まとめ|一番大切なのは“早期の判断”と“正しい選択”
前十字靭帯断裂は、
- 決して珍しい病気ではなく
- 進行性の障害をもたらすものであり
- そして「手術でしか治らない」病気です。
だからこそ、
「どこで診てもらうか」「誰が手術するか」が、愛犬の未来を大きく左右します。
✅ 歩き方が少しでもおかしいと感じたら、すぐ受診を。
✅ そして「整形外科の専門的な診断」が受けられる病院を選びましょう。
■ 最後に
「うちの子はもう歳だから…」とあきらめないでください。
今まで何頭ものわんちゃんが、手術を経て元気に走り回れるようになっています。
愛犬の“これからの人生”を守るために。
「専門の治療を受けさせる」という選択を、どうか後回しにしないでください。
ご不安があれば、いつでもご相談ください。
イース動物病院では、専門医と連携しながら、飼い主様と一緒に最良の治療を考えてまいります。