犬猫の皮膚病「カビ(真菌感染症)」について
こんにちは。東京都大田区大森にあるイース動物病院です。犬や猫の皮膚病の中でも、「カビ」と呼ばれる真菌感染症は特に注意が必要な疾患の一つです。人にもうつる可能性があるため、愛犬・愛猫だけでなくご家族全体の健康にも影響を及ぼすことがあります。今回は、真菌感染症の一種である「皮膚糸状菌症(リングワーム)」を中心に、原因や症状、治療、予防方法まで詳しくご紹介します。
カビとは?
「カビ」とは、真菌という微生物の一種で、湿った場所を好んで繁殖します。犬猫においては、「皮膚糸状菌症(Ringworm)」と呼ばれる感染症が一般的です。見た目が環状に広がるため「リングワーム」とも呼ばれますが、実際にはミミズとは無関係の皮膚病です。
感染の仕組み
この真菌は、動物の皮膚表面や毛根などに入り込んで増殖します。高温多湿の環境や、体力・免疫力が落ちているときに感染しやすくなります。また、感染動物との接触や、汚染された寝具、ブラシ、カーペットなどを介して他の動物や人にも広がる可能性があります。
主な症状
犬猫がカビに感染すると、以下のような症状が現れます:
- 円形の脱毛:毛が抜け、丸い形状の脱毛が見られることが多いです。
- ふけ・かさぶた:皮膚が乾燥し、フケのようなものやかさぶたが形成されます。
- かゆみ:患部を頻繁に掻く、舐める、擦りつけるなどの行動が見られます。
- 皮膚の赤み・炎症:感染部分が赤く腫れ、皮膚に炎症が起こることがあります。
症状が進行すると、範囲が広がり重症化する場合もあるため、早めの対処が必要です。
診断方法
獣医師による診断では、以下のような検査が行われます:
- ウッド灯検査:紫外線を当てることで、感染した部分が蛍光を発するかを確認します。
- 顕微鏡検査:皮膚や毛のサンプルを採取し、真菌の存在を直接確認します。
- 培養検査:感染の確定や真菌の種類の特定のために、皮膚のサンプルを培養して調べます。
治療法
治療は、症状の程度や感染の範囲によって異なりますが、一般的には以下のような方法が用いられます:
- 外用薬の使用:抗真菌成分を含む軟膏やローションを患部に塗布します。
- 内服薬の投与:感染が広範囲にわたる場合、抗真菌薬を飲み薬として処方することがあります。
- 薬用シャンプーの使用:全身を洗浄することで、他部位への感染拡大を防ぎます。
治療は数週間から数ヶ月に及ぶこともあり、継続的なケアが重要です。改善が見られない場合は、獣医師と相談して治療計画の見直しを行いましょう。
感染を防ぐためにできること
カビの感染予防には、日常的な管理が不可欠です:
- 清潔で乾燥した環境を保つ:湿気を嫌う真菌の性質を考慮し、定期的に掃除・換気を行いましょう。
- 健康チェックの習慣化:定期的な動物病院での診察により、早期発見・早期治療が可能になります。
- 感染が確認された場合の隔離:他の動物や家族にうつさないよう、感染ペットを別のスペースで管理します。
- 人への感染予防:ペットに触れた後の手洗いや環境の消毒を徹底することで、自分自身の感染リスクを減らせます。
まとめ
犬猫に見られるカビ(真菌)による皮膚病は、人にもうつる可能性がある感染症です。早期発見と治療、そして日常的な予防対策が大切です。「いつもと違う」と感じたら、すぐに大田区大森西のイース動物病院を受診してください。ペットとご家族の健康を守るためにも、正しい知識と対策を身につけましょう。